「はてなどう」「ナラカ」「円環伝承」共用。書き手は ちゃすかとすわさきの二人。
ダルダルな日記ではございますが、本年もお付き合いくださりありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。

で、さらによろしければ拙いものではございますが、ゆぎおSS、どーぞ。
 永遠と偶然

 冬の空は澄み切っている。
 地上の明かりが煌々と照らす中でも、目が慣れれば、星の輝きを見つけることができる。
 はぐれないように友人たちの服を掴んで、人の流れに沿っていく。
 みんなの声も人のざわめきで上手く聞き取れない。
 人ごみの中で新鮮な空気を得るために空を仰いだ。

 一瞬の清涼な空気とともにようやく見つけた星の光が、ボクの目に触れたのは星が光を発してどれくらいの時が経ってのことだろう。
 そういえば。
 この星が生まれて46億年が経っているという話を聞いたことがある。
 この星の寿命を現在年齢に換算した上で1年と例え、その1年の中で人類の誕生は12月31日、それも遅い時間だと聞いたことがある。
 その一日にも満たない時間に人類はこの星の環境に多大な影響を与えているのだ、…と。

 足元もおぼつかないまま、ボクは必死に服を掴んでついていく。
「大丈夫か」声が聞こえた。「うん」とボクは応える。
 ボクは現実世界に目を戻す。

 星の一生を人間の一年に例えたら、この星の12月31日、人の世界では3千年という一瞬にボクらは出会い、宿命の糸を絡ませ解いていったのだ。
 その間に、星は瞬きをひとつくらいはしたのだろうか。

 星にとっては、あいつとボクの出会いもほんの一瞬の出来事、3千年という間は儚く、星にとっては同じ時間に凝縮されたものなのだろう。ボクたちはとても密度の濃い存在なのだ。
 星にとっての一瞬をあいつもボクも本気で一生懸命生きてきたんだ。
 と、大声で誇れるように。
 ボクとあいつが出会ったのは、偶然ではなく必然。
 当たり前のことだったんだ。


 12月31日、学問の神を祭る神社の参道は思っていた以上に込んでいる。みんなとともに夢がかなうように願いに来たのだ。ボクは”とりあえず”大学合格。留学、就職、進学、それぞれに目の前の現実の最初の一歩を踏み出すために祈るのだ。
「そで振り合うも他生の縁」
 ボクたちはそでを振り合うどころか、身を寄せ合って歩いている。離れないように、はぐれないように。
 新しい年が明ける瞬間をともに過ごすために。
 大勢の人が今ここにいる。
 人類の誕生がこの星にとってわずか数分数秒のことだったとしても、今生きてここにいるそれがすべて。
 おめでとう。新しい時。
 永遠の一瞬。
 巡り合ったのは偶然ではなく必然。
 ほんの数秒の混ざりあう時間。
 ボクたちにとって変わることのない永遠。
 過去も未来もつながり続ける。
 すべては現実。
 誰にとっても時間は同じ方向に流れている。
「あけましておめでとう」
 改めて、遊戯君が笑って手を差し出した。
「あけましておめでとう」
 差し出された手を握り、ボクは笑った。
 瞬きひとつ分の命ならば、笑って生きるほうがいい。
 憎しみあうことしかできなかったボクたちの相棒のためにも。


 雑踏が現実であるように。
 雑踏の中では、思いにふけることもできる。

 歴史を見れば、何十年も何百年も何千年も、ただひとつの瞬き。
 現在を生きる自分たちにとっては過去でしかない。
 今ですら過去になっている。
 幾多の喜びも悲しみも憎しみもさまざまな感情を人が紡いできたとしても過去でしかない。
 ボクがここに辿りつくまでのすべてが過去でしかない。この一瞬ですら。
 過去と現在(いま)と夢を紡ぎながら、生きている。
 出会いは偶然ではなく必然。
 凝縮された時間の中をボクたちは必死に生きている。

 凝縮された時間の中で出会うのは必然。
 ボクたちはまた何度でも出会う。
 だから。

 過去からボクまでの道標を付けておこう。
 おまえがもう二度と迷わぬように。

 終
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 永遠と偶然

 冬の空は澄み切っている。
 地上の明かりが煌々と照らす中でも、目が慣れれば、星の輝きを見つけることができる。
 はぐれないように友人たちの服を掴んで、人の流れに沿っていく。
 みんなの声も人のざわめきで上手く聞き取れない。
 人ごみの中で新鮮な空気を得るために空を仰いだ。

 一瞬の清涼な空気とともにようやく見つけた星の光が、ボクの目に触れたのは星が光を発してどれくらいの時が経ってのことだろう。
 そういえば。
 この星が生まれて46億年が経っているという話を聞いたことがある。
 この星の寿命を現在年齢に換算した上で1年と例え、その1年の中で人類の誕生は12月31日、それも遅い時間だと聞いたことがある。
 その一日にも満たない時間に人類はこの星の環境に多大な影響を与えているのだ、…と。

 足元もおぼつかないまま、ボクは必死に服を掴んでついていく。
「大丈夫か」声が聞こえた。「うん」とボクは応える。
 ボクは現実世界に目を戻す。

 星の一生を人間の一年に例えたら、この星の12月31日、人の世界では3千年という一瞬にボクらは出会い、宿命の糸を絡ませ解いていったのだ。
 その間に、星は瞬きをひとつくらいはしたのだろうか。

 星にとっては、あいつとボクの出会いもほんの一瞬の出来事、3千年という間は儚く、星にとっては同じ時間に凝縮されたものなのだろう。ボクたちはとても密度の濃い存在なのだ。
 星にとっての一瞬をあいつもボクも本気で一生懸命生きてきたんだ。
 と、大声で誇れるように。
 ボクとあいつが出会ったのは、偶然ではなく必然。
 当たり前のことだったんだ。


 12月31日、学問の神を祭る神社の参道は思っていた以上に込んでいる。みんなとともに夢がかなうように願いに来たのだ。ボクは”とりあえず”大学合格。留学、就職、進学、それぞれに目の前の現実の最初の一歩を踏み出すために祈るのだ。
「そで振り合うも他生の縁」
 ボクたちはそでを振り合うどころか、身を寄せ合って歩いている。離れないように、はぐれないように。
 新しい年が明ける瞬間をともに過ごすために。
 大勢の人が今ここにいる。
 人類の誕生がこの星にとってわずか数分数秒のことだったとしても、今生きてここにいるそれがすべて。
 おめでとう。新しい時。
 永遠の一瞬。
 巡り合ったのは偶然ではなく必然。
 ほんの数秒の混ざりあう時間。
 ボクたちにとって変わることのない永遠。
 過去も未来もつながり続ける。
 すべては現実。
 誰にとっても時間は同じ方向に流れている。
「あけましておめでとう」
 改めて、遊戯君が笑って手を差し出した。
「あけましておめでとう」
 差し出された手を握り、ボクは笑った。
 瞬きひとつ分の命ならば、笑って生きるほうがいい。
 憎しみあうことしかできなかったボクたちの相棒のためにも。


 雑踏が現実であるように。
 雑踏の中では、思いにふけることもできる。

 歴史を見れば、何十年も何百年も何千年も、ただひとつの瞬き。
 現在を生きる自分たちにとっては過去でしかない。
 今ですら過去になっている。
 幾多の喜びも悲しみも憎しみもさまざまな感情を人が紡いできたとしても過去でしかない。
 ボクがここに辿りつくまでのすべてが過去でしかない。この一瞬ですら。
 過去と現在(いま)と夢を紡ぎながら、生きている。
 出会いは偶然ではなく必然。
 凝縮された時間の中をボクたちは必死に生きている。

 凝縮された時間の中で出会うのは必然。
 ボクたちはまた何度でも出会う。
 だから。

 過去からボクまでの道標を付けておこう。
 おまえがもう二度と迷わぬように。

 終
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【2010/12/31 23:00】 | ちゃすか・ゆぎおSS
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