「はてなどう」「ナラカ」「円環伝承」共用。書き手は ちゃすかとすわさきの二人。
スイバ

酸葉/酸菜/酸模[スイバ] Rumex acetosa L.
別名:スカンポ、スイカノポンポン、キビスイコ、スッカシ、スイコンベイ、スイカショ、スッパショー、スカナ、酸い酸い[スイスイ]、酸い酸い草[スイスイグサ]、スイコ、ダヤス、赤羊蹄[アカギシギシ]

タデ科ギシギシ属の多年草。北半球の温帯に広く分布。

春スイバのロゼット葉

お馴染み、路傍でよく見る草。
普段は地面に放射状に広がるロゼット葉で、太ったホウレンソウくらい。冬には赤紫に紅葉し、春に緑になります。鮮やかなオレンジ色の太い根を地中深くに伸ばすので、厄介な雑草でもあります。

スイバの根

4月頃から30cm~1mの高い薹[とう]を立て、3mmほどの花の集まった穂を付けます。雌雄異株。草は大きいのに花穂は地味ですが、よく見ると雌花は鮮やかな紅色、雄花は緑色ながら可愛い形をしていて、愛らしく思えてきます。

スイバの花穂

スイバの花


風媒花で、花粉をモワモワ飛ばします。虫はあまり寄ってきません。

スイバの実花が終わると左のような実になります。ピラピラと翼片状に見えるのは変化した花被(花びら)で、三枚を貼り合わせた袋になっており、中には小さい種子が一つ。

葉は蓚酸[しゅうさん]を含み、噛むと酸っぱい。それで「酸い葉[スイバ]」という名になりました。
別名の一つ「スカンポ」も同じ由来。ちなみに、タデ科イタドリ属のイタドリも酸味があり、やはりスカンポという別名を持っています。見かけは全く異なります。
イタドリは茎が中空になっていて、折り取ると「ポカン」と音を立てる、それで味は酸っぱいから「スカンポ」だと言うのですが、スイバも同じ理由でしょうか。

中国名は「酸模」。英名は「Common sorrel[コモン・ソレル]」。どちらも酸味があることに因んだ名です。


若葉は食用にします。湯がいて晒してあく抜き。ホウレンソウより多く蓚酸が含まれますから、アクを抜かず食べ過ぎると肝機能障害を起こす可能性があります。
また、昨今は葉や茎からジャムを作る人も多いようです。同じタデ科で姿の似ているルバーブRheum rhaponticum L.)のジャムは有名ですが、その応用の模様。酸味があって美味しいとか。
スイバの栽培種「フレンチ・ソレル」はヨーロッパでは野菜です。

その他、ヨーロッパでは根が染料に使われてきました。

中国では根を薬用とし「酸模根」と称します。刻んで干して煎じて下剤・利尿剤に。
抗菌作用があるので煎じ液を外傷に塗布。生の根をすり下ろして患部に塗布し、タムシや疥癬に。ただ、皮膚の弱い人は負けてかぶれることもあるので注意です。

民間では、虫刺されや腫れもの、湿疹に生葉の搾り汁を塗付します。先に酢を塗っておくのがポイントらしい。もしくは根の粉末を焼酎か酢で練って塗布します。
花穂を干したものにお湯を注ぎ、ハーブティーとして飲みます。健胃、整腸、抗癌作用があるとされています。


スイバの花言葉
愛情、親愛の情、博愛
私を食べてみて



次に、似た草その1。
ヒメスイバ

姫酸葉[ヒメスイバ] Rumex acetosella

タデ科ギシギシ属の多年草。小型のスイバ。薹を立てても20~50cm程度にしかなりません。
花期は5~8月。
ヨーロッパ原産の帰化植物で、日本には明治初期の渡来かと言われています。
やはり蓚酸を含み、噛むと酸っぱい。

種でも殖えますが、横這いする細い根からも殖えていきます。
道端に一面茂って赤緑の草波を作っている様は、よくよく見ればなかなか見事です。

↓実になっている状態
ヒメスイバ

「ヒメ」と名に付いているように、スイバに比べて小型です。
草丈だけを見るならスイバの小さめのものと同じくらいのこともありますが、葉や花穂そのものが小型。
様子が全く異なるので、実際に見比べれば見分けは容易です。

以下の写真は、ヒメスイバとスイバの根生葉の比較です。
スイバの葉は、ヒメスイバと草丈の変わらないような小さめの株のものを選びました。それでもこれだけ大きさが違います。
ヒメスイバの葉
ヒメスイバの根生葉は特徴的な鉾型をしています。


スイバと同じく雌雄異株。
花はほんの2mmほどですが、雄花穂はつぼみの黄色が目立ってスイバより鮮やかに見えます。
ヒメスイバの花


名の由来はそのまま、小さいスイバだから。
英名は「Sheep Sorrel[シープ・ソレル]」。


ヒメスイバの花言葉
甘酸っぱい恋

意外にもロマンチック系の花言葉。
噛むと酸っぱい草で名前が「姫」だからでしょうか?




似た草その2。

ギシギシ

羊蹄[ギシギシ] Rumex japonicus
別名:牛草[ウシグサ]、馬酸葉[ウマスイバ]、犬酸葉[イヌスイバ]、ヘビスイコ、地獄の根[ジゴクノネ]、野大黄[ノダイオウ]、牛葉大黄[ウシノハダイオウ]、羊蹄大黄[ギシギシダイオウ]

タデ科ギシギシ属の多年草。日本や朝鮮半島、中国に分布。

スイバが大体 実になった5、6月頃、1mほどの薹[とう]を立てて花穂を付けます。雌雄両性花。
花穂は過密なほどでボッテリして見え、その様子の差がスイバとの識別点にもなります。
緑色の花は、まず赤みを帯びることがありません。

ギシギシの花

ザラザラ沢山下がった緑色の花の中から黄色い雄しべが覗いています。
上の写真では殆ど見えていませんが、雌しべはスイバの雌花とよく似ています。

ギシギシの実実は、スイバと同じように三枚の花被(花びら)が貼り合わされて袋になり、種子一つを包み込んだもの。

花被はスイバのそれより尖ったハート形で、縁にはギザギザした鋸歯があります。これが特徴で、識別のポイントになります。

上部中央(基部)には粒体と呼ばれるゴマ形のコブがあります。
三面の粒体が全て同じ大きさに揃うのもギシギシの特徴で、近似種との識別点とされます。

実は緑色で、赤味を帯びることは基本的にありません。時間が経つと穂全体が濃茶色になります。


根はやはりオレンジ色で、太く、地中に深く伸びて抜き辛い。雑草としては憎たらしいやつです。

やはり蓚酸を含み、葉をかじると酸味があります。
スイバと同じように湯がいてアク抜きし、食用にします。独特のぬめりがあって美味しいそうです。

晩秋から冬にかけて掘り出した根を、スイバの根と同じ効能の薬として用います。漢方名は「羊蹄根」。
葉の方もスイバと同じように使います。薬草としてはスイバと殆ど区別されないみたいです。


「羊蹄」は中国名で、日本名「ギシギシ」の由来は定かではありません。
江戸時代の『本草綱目啓蒙』など見ると、「羊蹄」の項目、各地での地方名が書かれてある中に、京都では「ギシギシ」と呼ぶとあります。ここから、京都での地方名が全国に広まったとの説もありますが、それはそれで、どうして「ギシギシ」なのか、という話ですよね。

一説に「花穂をしごいて花を取ろうとするとギシギシ鳴るから」「茎と茎をすり合わせるとギシギシ鳴るから」、或いは「実が生った時に穂を振るとギシギシ鳴るから」と言います。


ギシギシの花言葉
忍耐
隠れ話、抜け目のなさ
朗らか

バラバラな感じ…。
どういうイメージで付けられた言葉なんだろう?



次に、ギシギシによく似た近縁種。

ナガバギシギシ

長葉羊蹄[ナガバギシギシ] Rumex crispus

タデ科ギシギシ属の多年草。
ヨーロッパ~西アジア原産の帰化植物で、明治時代に渡来したと言われます。

ギシギシよりも葉の縁が著しく波打っている、根生葉の葉柄が長い等と言いますが、自分が見た限りでは殆ど区別がつきませんでした……。

ナガバギシギシの花

花穂や実が赤味を帯びることがあるのも識別点とは言えますが、必ずしもそうなるわけではないので当てには出来ません。困ったものです。

ナガバギシギシの実最も簡便にして確実な識別法は実を見ること。
花被がスプーンのように丸みを帯び、縁の鋸歯(ギザギザ)は殆どありません。
また、実の三面に一つずつある粒体(コブ)の大きさが不揃いがちです。


ただ、ギシギシとナガバギシギシの交雑もあるそうで、どっちつかずのものもあるそうな。
ややこしいですね。


ナガバギシギシの花言葉はありません。



更にギシギシの近縁種。
エゾノギシギシ

蝦夷の羊蹄[エゾノギシギシ] Rumex obtusifolius
別名:広葉羊蹄[ヒロハギシギシ]

タデ科ギシギシ属の多年草。
草丈50cm~1m。花期は5~7月。
ヨーロッパ原産の帰化植物。最初に帰化が確認されたのが北海道だったため「蝦夷の」と名付けられていますが、日本全国に分布しています。

↓花。雌雄同株。毛玉のようなものが雌しべで、黄色またはオレンジのピラピラぶら下がったものが雄しべ。
エゾノギシギシの花

花~実は時季が過ぎるにつれ赤みが強くなる傾向があります。


エゾノギシギシの特徴は以下の通り。

・茎や、葉の中脈が赤くなる傾向がある
エゾノギシギシの葉
薹[とう]の立っていない根生葉の時点でも赤いことがあるので、見分けが容易です。
また、花期には葉が上の写真のような、やや黄土色がかった黄緑色になることも。

・実の縁の鋸歯が大きく、トゲトゲと突出している
エゾノギシギシの実
この実の形は特徴的です。
また、粒体三つのうち一つが特に大きくなります。


同じような形の実をつける近縁種に「小羊蹄[コギシギシ] Rumex dentatus L.」がありますが、こちらは葉脈や実が赤くなりません。また、花期がエゾノギシギシよりも早いです。


エゾノギシギシの花言葉はありません。



最後におまけ。
以下の写真は、当初「ギシギシ」としてアップしていたものですが、どうも違うんじゃないかと思えてきました。
葉が大きくてツヤツヤし、ちりめん状にシワシワしています。
確信はないのですが、真大黄/土大黄[マダイオウ](Rumex madaio)ではないかと。

マダイオウ?

マダイオウはタデ科ギシギシ属の多年草。日本固有種です。
大型で、1.5mほどの高さに育つことも。花期は晩春から夏。
ギシギシやスイバが街の道端や河原に繁茂するのに対し、比較的山の中の水気の多い場所に生えます。地域によっては絶滅危惧種らしい。
関東以東には、よく似た野大黄[ノダイオウ]があります。(ギシギシの別名とは別)

名前は中国原産の「大黄[ダイオウ]」に似ているかららしいですが、あちらはタデ科ダイオウ属で属が違う。
けれど、ギシギシの別名にも「野大黄[ノダイオウ]、牛葉大黄[ウシノハダイオウ]、羊蹄大黄[ギシギシダイオウ]」等とあるように、よく似た草として認識されてきたようですね。
とりあえず、長い葉の柄の方が太くなるのがギシギシ系、中央辺りが太いのがマダイオウ系らしいです。

花はアレチギシギシのように隙間を空けて輪生し、基本、赤味がかることはありません。
実はナガバギシギシに似て縁がなめらか。最大の違いは粒体(基部のコブ)が全くない点です。

根は、スイバやギシギシ、そしてダイオウ属のそれと同じく下剤として用いられます。

↓出始めの花穂。
マダイオウ?


マダイオウの花言葉はありません。
スポンサーサイト

【2010/06/06 22:03】 | すわさき・その他
【タグ】 この花なんだ  
トラックバック(0) |

管理人のみ閲覧できます
-


コメントを閉じる▲
コメント
この記事へのコメント
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2010/06/08(Tue) 20:46 |   |  #[ 編集]
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック