「はてなどう」「ナラカ」「円環伝承」共用。書き手は ちゃすかとすわさきの二人。
セイヨウタンポポ

蒲公英[タンポポ] Taraxacum
別名(日本在来種):藤菜[フジナ/フチナ]、グジナ/クジナ、ムジナ、田菜[タナ]、鼓草[ツヅミグサ]、鼓花[ツヅミバナ]、乳草[チチグサ]、デデッポ

キク科タンポポ属の多年草。
今はどこにでもある雑草のように認識されがちですが、古くは園芸植物として愛好され、幕末には園芸品種も数十種ありました。

写真は西洋蒲公英[セイヨウタンポポ](Taraxacum officinale)。
明治時代に帰化したこれが、近年、日本在来種を押して繁茂していることは、よく取り沙汰されている通りです。
と言っても、素人目には在来種と外来種の区別はよくわかりません。

セイヨウタンポポ一番簡単な見分け方は、下から花を包む葉・総苞外片が反り返っているかどうか。つぼみの頃から花が終わるまでグルンと反り返っているのがセイヨウタンポポで、日本在来種の関東蒲公英、関西蒲公英、筑紫蒲公英などは花にピタッと添っています。
つまり、左の写真はセイヨウタンポポですね。

ただ、在来種のタンポポも花が終わる頃には多少反り返りますし、中途半端に反り返る交雑種もありますので、注意しなければなりません。



また、日本在来種のタンポポは春にしか咲きませんが、セイヨウタンポポは春から秋まで咲き続けます。
一年中婚活してるから、こんなに繁栄しちゃったのか……?
なお、在来種のタンポポは虫に他株の花粉を運んでもらわないと受粉できませんが、セイヨウタンポポは単為生殖で、花粉と無関係に実を作るのでした。……婚活必要なかった!

セイヨウタンポポと同様に総苞外片の反り返る外来種のうち、痩果[そうか](綿毛の付いた、種のように見える果実)が暗赤色のものを「赤実蒲公英[アカミタンポポ](Taraxacum laevigatum)」として区別します。(セイヨウタンポポは灰褐色。)近年の都市部では、セイヨウタンポポよりこちらの方が多いとか。


和名「タンポポ/タンホホ」は、安土桃山時代頃の書物から現れるようになる、比較的新しい名前です。それ以前は「藤菜[フジナ]」と呼ばれていました。

「タンポポ」の由来は諸説あって、これと言って有力な説はありません。

・鼓草の異名があるように、花と茎で鼓のおもちゃが作れるので、「タン、ポンポン」と叩く音にちなんだ
・花の散った後の形が拓本を作る時に使うたんぽ(綿を丸めて布や革で包んだもの)に似ているから
・たんぽ槍(穂先の刃部分をたんぽに換えた練習用の槍)に茎から花(綿毛)の形が似ているから
・古い中国名「丁婆婆[チンポポ]」の転訛 (現在のモウコタンポポの中国俗名の一つは「婆婆叮」)

何にしても可愛くて語呂のいい名前ですから、古名を駆逐して正式名になってしまったのも頷ける気がします。


英名「ダンデライオン dandelion」は中世フランス語の「ライオンの歯 dent de lion」が転訛したもので、ギザギザした葉の形に由来します。ドイツ語の「レーヴェンツァーン Löwenzahn」も同様の意味。
オランダ名「モールスラ molsla」は「モグラのレタス」。フランス名「ピサンリ pissenlit」は「寝小便」。煎じ汁を利尿剤として用いたことから。

タンポポ属の学名「タラクサクム Taraxacum」は、「苦い菜」という意味のアラビア語「タルフチャコーク tharakhchakon/taraxacon」に由来するとの説があります。十世紀頃のアラビア医師たちが、タンポポをそう呼んで薬草利用していたそう。
(ただし、ギリシア語の「taraxos(病気)」「akos(治療)」を組み合わせた、学名を付けたドイツの医師・Wigger, F. H.による造語との説もあります。なお、セイヨウタンポポの学名の種小名「オフィキナーレ officinale」は「薬用の」という意味。)


タンポポは春の山菜として世界中で親しまれ、フランスでは食用の栽培種がいろいろ作られて、栽培野菜になっています。
葉には苦みがあるので、ゆがいてサッと水にさらしてアクを抜きます。あとは普通に野菜として調理。フランスでは、カリカリに炒めたペーコンを、熱々のうちに油ごとジュッと若い葉の上にかけたサラダなんかにして食べます。日本人ならじゃこを入れてもおいしそう。

根は、刻んでサラダに入れたりきんぴらにして食べるほか、よく干したものを香ばしく炒って、細かく砕いて、コーヒーと同じようにして飲みます。たんぽぽコーヒーと呼ばれます。かつては代用コーヒーでしたが、最近は健康茶として人気がある様子。

たんぽぽの葉や茎をちぎると、白い乳汁が出ます。そのため「乳草」の異名もあったわけですが、中国ではこの汁に薬効成分があるとし、特に根にその成分が多いとしました。
開花前に全草を取って乾燥させ、煎じて飲みます。健胃、解熱、消炎、利尿、強壮作用があるとします。
また、干した根を煎じたものを漢方では「蒲公英湯」と言い、乳の出をよくする妊産婦用の薬とされました。乳汁の出る草から作ったから、というイメージなのでしょう。(乳の出をよくする薬として漢方で処方される場合、他にも色々と生薬を入れます。)

※秋田県には逆に、タンポポの乳汁を手に付けると乳の出が悪くなる、という俗信があります。

Webで検索すると、たんぽぽコーヒーを売っているサイトが沢山出てきますが、「乳の出がよくなったという喜びの声」が沢山掲載されています。蒲公英湯の効能を引いているんですね。ついにはそれを通り越して、不妊症や生理不順に効くと言われ始めているようで。うーむ。効能も進化するのか…。

最近はC型肝炎に効く、抗癌作用がある、育毛効果があるなどと言われていたり。万能ですね。


タンポポ属の花言葉
飾り気のなさ、真心の愛
思わせぶり、軽薄
別離
解きがたい謎
田舎の神託、幸運を知らせる花、愛の神託


流石、人気の高い花だけあって、花言葉が多過ぎでバラバラ。
「真心の愛」と「軽薄」なんて真逆ではないですか。

「別離」は綿毛が飛ぶ様子から。
「田舎の神託」系統は、イギリスをはじめとする西欧で綿毛を吹き飛ばして吉凶や恋を占った習俗に因みます。




シロバナタンポポ

白花蒲公英[シロバナタンポポ] Taraxacum albidum

キク科タンポポ属の多年草。花期は春。
日本在来種。珍しいようでいて、あちこちに咲いている花。

関西蒲公英[カンサイタンポポ](Taraxacum japonicum Koidz)と林白蒲公英[ケイリンシロタンポポ](Taraxacum coreanum)の交雑種です。

ケイリンシロタンポポは普通のシロタンポポよりもやや花が大きく、総苞外片が総苞の2/3ほどあってやや長い。中国や朝鮮半島に分布。別名「朝鮮白蒲公英[チョウセンシロタンポポ]」「高麗白蒲公英[コウライシロタンポポ]」。

日本(特に九州)のシロバナタンポポのうち幾らかは、実はこのタンポポらしいです。ケイリンシロタンポポとシロバナタンポポの更に交雑種もあり、「筑紫白蒲公英[ツクシシロタンポポ]」と名付けられている模様。
でも、素人目には全く判りません。


シロバナタンポポの花言葉
私を探して、そして見つめて
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【2010/05/14 19:00】 | すわさき・その他
【タグ】 この花なんだ  
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