「はてなどう」「ナラカ」「円環伝承」共用。書き手は ちゃすかとすわさきの二人。
カタバミ

片喰/傍喰/片葉三/酢漿草/鳩酢草[カタバミ] Oxalis corniculata L.
別名:スイモノカズラ、酸物草[スイモノグサ]、酸葉[スイッパ/スイバ]、酸草[スグサ]、スイスイ、チスイスイ、雀の袴[スズメノハカマ]、雀の提灯[スズメノチョウチン]、雀草[スズメグサ]、スズメノサンショウ、スズメノカイロ、チョンコグサ、チョンガラ、鏡草[カガミグサ/カンガミグサ]、カンカングサ、磨き草[ミガキグサ]、銭磨き[ゼニミガキ]、カネコグサ、コガネグサ、三葉[ミツバ]、トンボグサ、メノクスイ(目の薬?)、モンカタバミ、ガンゾウ、ツンツングサ

カタバミ科カタバミ属の多年草。花期は春から夏。

カタバミ草地でよく見かける小さな草です。
8mm~1cmほどの花は鮮やかな黄色で目を引きますし、葉はハートが三つくっついた形をしていて可愛らしい。
「片喰[カタバミ]」という名は、このハート形の上部分、葉のへこんだところを「かじられた」とみなしてだと言われています。(「ハミ」は昔の言葉で「食べる、噛む」という意味。)由来も可愛いですね。

花や葉は時に折り畳まれます。夜や曇天が多いですが、葉は日が燦々と照っていても閉じることも……。
別名の「雀の袴」は、閉じて垂れた葉の形を袴に見なしてなのでしょう。

花が終わると、ツンと天を向いたオクラのミニチュアめいた朔果[さくか]を実らせます。
熟しきった実はちょっとした衝撃で弾けて辺りに種をまき散らします。1mも飛ぶそうです。
弾ける寸前の朔果に触れてパッと弾けるのは愉快。子供の頃、遊んだ人も多いのではないでしょうか。


茎は地面の上を横這いし、ところどころ根をおろしながら広がっていきます。
草取りの際はなかなかに面倒。

基本的に地面に貼り付くように茂りますが、五月頃から花茎が伸びて高く立っていきます。
そんな中に、花茎が10cm以上、果ては30cmもの高さになるものも。
この状態になったものを「立ち片喰[タチカタバミ]Oxalis corniculata f. erecta」と呼ぶことがあります。下写真参照。↓
※次項で紹介しているオッタチカタバミとは別種ですので、混同しないよう注意してください。
タチカタバミ

また、葉が濃紫になっている変種があり、「赤片喰[アカカタバミ]Oxalis corniculata f. rubrifolia」と呼びます。↓
花の色も赤味がやや強くなっています。
アカカタバミ

ほんのり紫がかっているだけの場合は「薄赤片喰[ウスアカカタバミ]Oxalis corniculata f. tropaeoloides」です。↓
青錆びたような濁色の葉が趣[おもむき]ありますよね。
ウスアカカタバミ

その他、葉表にも濃く毛が生えているものを「毛片喰[ケカタバミ]Oxalis corniculata var. trichocaulon.」という変種とするそうです。


カタバミは古くから親しまれた草でした。
平安時代の『枕草子』にも名前が出ています。

『枕草子』 草は

草は、菖蒲。菰[コモ]。
葵[アフヒ]、いとをかし。神代よりして、さるかざしとなりけむ、いみじうめでたし。物のさまも、いとをかし。
沢瀉[オモダカ]は、名のをかしきなり。心あがりしたらむと思ふに。
三稜草[ミクリ]。蛇床子[ヒルムシロ]。苔。雪間[ゆきま]の若草。木蚋[コダニ]。
酢漿[カタバミ]、綾の紋にてあるも、異[こと]よりはをかし。


草は、菖蒲。真菰[マコモ]。
二葉葵[フタバアオイ]がとてもいい。神代の昔から(葉が)然[さ]るお祭り(賀茂祭り)の挿頭[かざし](髪飾り)となっていて、非常におめでたい。様子もとてもいい。
面高[オモダカ]は名前が面白い。(「顔が高い」だなんて)思い上がっているんだろうなという感じ。
三稜草[ミクリ]、蛇床子[ヒルムシロ]、苔。雪間の若草。蔦[ツタ]。
カタバミは、(葉の形が)綾織物の模様になっている奴も、他の模様よりはいい。



カタバミ葉をデザインした模様は人々に愛好されていたようで、家紋も百種以上。植物紋の中では桐に次いで人気が高いそうです。
葉の形の美しさは勿論、抜いても抜いても絶えることなく繁茂し続ける生命力にあやかろうとしたものと言われます。


葉には蓚酸[しゅうさん]が含まれ、「酢漿草」「酸物草」の名に違[たが]わず、噛むと酸味があります。
カタバミ属の学名「Oxalis[オキザリス]」はギリシア語の「oxys」に因みますが、これは「酸っぱい」という意味なのです。
世界中の人が、カタバミ属を食べて「酸っぺぇな~」と思ってたんですね。世界はひとつ。

蓚酸はホウレン草などに含まれることでも知られていますが、漂白効果があり、日本では古く、カタバミの葉で銅鏡や真鍮製の仏具など、金属製品を磨いていたそうです。「カガミグサ」「ミガキグサ」「ゼニミガキ」の別名はこれに因むと思われます。

また、薬草としては酢漿草[サクショウソウ]の名で知られ、擂り潰した葉を虫さされや疥癬に塗ると効果があると言われていました。




次に、カタバミとよく似た外来種を。
オッタチカタバミ

おっ立ち片喰[オッタチカタバミ] Oxalis stricta

カタバミ科カタバミ属の多年草。花期は春から秋。
私見ですが、カタバミより一ヶ月くらい遅く咲き始める印象です。
花の大きさは1~1.5cmくらい。草丈10~50cm。

北米原産の帰化植物。1962年に京都で確認され、関東以西~九州北部を中心に広がっています。
ふと気付くと非常に増えていて、都市部の河原や道路脇が席巻されており、在来種のカタバミを駆逐する勢いです。

オッタチカタバミ


オッタチカタバミ最大の特徴は、名前の通り、茎が横這いすることなく立ちあがる点。
在来種のカタバミは横這いした茎のあちこちから根を張るので、かなり抜き辛いですが、こちらは簡単に抜けてしまいます。

その他、在来種のカタバミとの相違点。

・花や葉が在来種より少し大きい傾向がある
・葉が柔らかそうに見える。ムラサキカタバミやイモカタバミ系の感じ(光沢はない)
・葉が黄緑色の傾向がある。在来種は濃緑の傾向
・茎の色も黄緑で、在来種のように赤紫にならない
・晴れた日中でも葉が折り畳まれていることが多い

しかしこれらは、あまり頼りにならないかもしれません。
在来種のカタバミも、五月頃になると葉が大きくなって花茎が伸びて立ち上がっていくことがある。肥えた場所に生えていれば花も大きかったりする。
オッタチカタバミも、葉を畳まずピンと広げていることもある。時季が早ければそれほど立ち上がっていない。
そうすると、これはどっちなんだろうと迷ってしまいそうになります。

その場合は、茎と葉柄[ようへい]がくっついた根元部分にある小さな葉、托葉[たくよう]の形を確認すれば区別できます。

在来種のカタバミの托葉は角ばっています。
カタバミの托葉

一方、オッタチカタバミの托葉は指先のように丸いのです。
オッタチカタバミの托葉




次は、ピンクのカタバミを。
ムラサキカタバミ

紫片喰[ムラサキカタバミ] Oxalis corymbosa
別名:桔梗片喰[キキョウカタバミ]

ムラサキカタバミの花カタバミ科カタバミ属の多年草。花期は春の終わりから夏頃。5月末から咲く印象です。
南米原産で、幕末に観賞用として移入されましたが、現在は帰化して、普通に庭や道端に見られます。
これまた抜いても抜いても生えてくる厄介な雑草ですが、花がなかなかに美しいので、何だか許す気分になってしまうよーな…?


葉が黄色のカタバミに比べて大きく瑞々しいです。花も大きい。1.5~2cmというところ。
抜くと、根っ子が白く透明感のある鱗茎になっています。百合根を思わせる形です。種子は付けず、この鱗茎から伸びた根に新たな鱗茎を生じさせて増えていきます。ちょっとジャガイモみたいですね。

ムラサキカタバミの鱗茎





もう一つ、ピンクのカタバミ。
イモカタバミ

芋片喰[イモカタバミ] Oxalis articulata
別名:節根花片喰[フシネハナカタバミ]

カタバミ科カタバミ属の多年草。
花期は春から秋。
花の大きさはムラサキカタバミと同じくらいです。

こちらも南アフリカ原産で、第二次大戦後に渡来したらしいとされています。
やはり観賞用だったんでしょうか?
現在は日本各地で見られます。

名前の通り、根が茶色い塊茎になっていて丸い芋のように見えます。成長すると太くてごつごつ節くれだった短い円柱状の塊茎になるようです。(別名の「フシネハナカタバミ」はここに由来?)塊茎に小芋が出来、そこから増えていきます。


ムラサキカタバミと大きさや葉の感じ、花の色も似ています。
こうして写真で見ると区別がつかないと感じるかもしれません。
けれど現物を見るとあまり迷わないのではないでしょうか。

イモカタバミイモカタバミは花の色が微妙に濃く、花の中心部分が黒ずんで見えるのです。
対してムラサキカタバミは、反対に、花の中心部分が白っぽく見えます。

おしべの先の色も、イモカタバミは赤味の強いオレンジですが、ムラサキカタバミは白に近い黄色です。


余談ですが、この花を見ていると風車[かざぐるま]を連想しますよね。クルクル回りそう。


カタバミの花言葉(黄花・紫花共通)
喜び
輝く心
あなたと共に生きる
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【2010/04/15 19:00】 | すわさき・その他
【タグ】 この花なんだ  
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