「はてなどう」「ナラカ」「円環伝承」共用。書き手は ちゃすかとすわさきの二人。
ヤブツバキ

藪椿[ヤブツバキ] Camellia japonica
別名:山椿[ヤマツバキ]、カタシ

山に生えている原種のツバキです。
ツバキ科ツバキ属の常緑高木。日本と台湾、朝鮮半島南部に分布。
シンプルな五弁花で、赤色が基本ですが、白花もあるようです。

園芸品種は数多く、大輪のもの、八重咲きのもの、赤と白の入り混じった斑入りのものなど、様々あります。

↓これは、たぶん園芸品種。



ツバキは、日本では古くは霊木の一つとみなされていました。今でも神社に植えられているのをしばしば見かけます。
『日本書紀』には、景行天皇がツバキの杖で土蜘蛛を倒した話が載っています。

一方では、繋がった花弁が一度に落花するのは首切り・落馬に通じるとて、武士の不吉の象徴とみなす考え方も。
けれど概ねは、花の形のまま落ちる様を風情あると見、美しい花よと愛好されているように思います。


「ツバキ」という名の語源は、厚葉樹[アツバキ]または艶葉樹[ツヤバキ]の意味だとか、落ちた花が刀の鍔[つば]に似ているから鍔木[ツバキ]だとか、幾つもの説が挙げられてきました。
近年は、朝鮮語で「冬柏[ツンバク/ツウパク/トンベゥク]」と言うのが転訛してツバキになった、という説が有力視されています。
(朝鮮では翠柏、春柏、叢柏とも言ったそう。常緑樹で冬も柏[カシワ]のように青々としているから、ということらしい。)

少し脱線。
日本最古の餅菓子とされる椿餅[つばいもち]は、柏餅や桜餅の祖だと言われています。
『源氏物語』にも記されており、室町時代の源氏物語ファンブック『河海抄[かかいしょう]』に「甘葛[あまずら]で捏ねた餅粉を椿の葉で包んだもの」と説明されています。当時は小豆餡が入ってなかったらしいのですが、現在は餡入り道明寺を椿の葉二枚で挟むレシピが一般的のようです。
ツバキには、葉が常緑で香気があるという点で、カシワとイメージを重ね易い部分があるのでしょうか。



「椿」の漢字は、『出雲国風土記』(733年)の頃から使用されていました。春に花の咲く木なので、この字があてられたようです。
が、実は中国では、この字は別の木を指しています。
香椿[チャンチン]はセンダン科の落葉高木で、花も葉も日本のツバキとは似ても似つきません。春に芽吹く葉が美しいので、春の木の意味で「椿」だとか。
また中国の伝説に、三万二千年が人間の一年分に相当するほど長寿の大木「大椿[ダイチン]」が見えます。これも、本当は栴檀[センダン]の木なのでしょうか?

中国にはヤブツバキは自生していません。
雲南省に雲南山茶花(Camellia reticulata 和名:唐椿[トウツバキ])という近似種はありますが、ヤブツバキより大輪です。
けれども、隋の煬帝の頃の漢詩に「海榴」とあるのはヤブツバキのことだろうと言われています。『出雲国風土記』に「海石榴または海榴とは椿のこと」と書いてあるからです。

「海榴」の「海」は、「海外から来た」という意味。「榴」は「石榴[ザクロ]」のこと。
ツバキの実は赤く、光沢のある果皮は硬い。大きさや形は違いますが、石榴の実に質感や色味が似ています。
つまり、「海外の石榴に似た木」という意味で「海榴」。輸入されたヤブツバキを詩に詠みこんでいたのだと。

尤も、確かなことは判りません。「海石榴」とは朝鮮石榴のことだ、という説もあるようです。
(ただ、日本の文献で「海石榴」と言う場合は、ツバキでおおむね間違っていないと思われます。石榴から油は採りませんし。)


現在の中国では、ツバキは「山茶」と言います。
これは「野生の茶」の意味。実は、お茶の木はツバキの仲間です。
ツバキやチャノキの近似種に「山茶花[サザンカ]」があります。西日本原産とされ、ツバキとは違って花弁がバラバラに散ります。


ツバキの実はまん丸で硬く、熟すにつれて赤くなります。完全に熟すと果皮が三裂し、黒い種が五つくらい出てきます。これを搾ると椿油が採れます。サザンカやチャノキの実から搾る地方もあります。
椿油は昔から整髪料としてよく使われており、合成整髪料の台頭で一時は廃れていましたが、近年は見直されつつあるようです。


花言葉
誇り
完璧な魅力
控えめな魅力、謙遜の美徳
わが運命は君の掌中にあり(私は常にあなたを愛します)、理想の恋愛

例によって幅が広すぎて何でもアリ状態…



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【2010/04/12 19:00】 | すわさき・その他
【タグ】 この花なんだ  
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