「はてなどう」「ナラカ」「円環伝承」共用。書き手は ちゃすかとすわさきの二人。
当時それなりに話題になりましたから、ご存知の方も多いでしょうが、
三年くらい前、『ドラえもん』のオリジナル最終回を描いた漫画同人誌に、小学館が販売停止・在庫処分を申し立てて、売上金をも還元賠償させたということがありました。

ドラえもん最終話同人誌問題(ウィキペディア)

現在、無許可の二次創作作品は世に溢れていて、一つの市場すら形作っています。
そんな中で、どうしてこの同人誌が問題になったのか。
理由は、以下の二つだと言われています。

・一万三千部を売り上げ、ファン活動の域を超えた数百万の利益を得ていた
・原作によく似せた仕上がりのうえ、web上であちこちに転載されて出典が曖昧になったこともあり、本物だと勘違いする読者が出た

これにより、小学館と藤子プロが、著作権利の深刻な侵害だと危機感を覚えたわけです。


この同人漫画を読みましたが、確かに素晴らしいものでした。
原作版風の絵柄の過去パートと、アニメ版風の絵柄の現在パート。
特に過去パートは、コマ割り(テンポや構図)すらも原作によく似せていて。
のび太が動かなくなったドラえもんに夜通し、しみじみと語りかけるシーンや、ドラえもんが起き上がるラストシーンは特に感動的で、じ~んと泣けてしまったくらいです。
これなら、小学館が脅威を感じるほど「本物そっくり」「本当に本物だと勘違いした」と話題になるのも無理がないと思います。

この件への各所の記事を見ても、「あまりに上手すぎたから、出る杭が打たれた」という論調のものすらあって、作品自体への評価は高い感じですね。


けれど、この作品にはもう一つ、道義的な問題点があるように思います。
この同人漫画の絵やコマ割りは、原作に似せた借り物。
そしてストーリーもまた、この漫画家さんの考えたものではない、借り物だったからです。

世間に広く流布している都市伝説の「ドラえもんの最終回」を漫画化した。
そういうことなんですけども、実を言えば、その「ドラえもんの最終回」は作者不明の都市伝説でも何でもなく、ある個人ファンサイトに掲載されていたファンノベル…同人二次創作小説だったのですね。
これは、大手ドラえもんファンサイトなどで解説されていたりしたので、調べると割と簡単に判ることでもあります。

つまり、同人漫画「ドラえもんの最終回」は、《『ドラえもん』の二次創作小説》を元に作られた三次創作。他人のふんどしを二重に締めたうえで作られた漫画だったのでした。
その漫画で大きな収益を得ていた。


ちなみに小説の作者さん(佐藤さんと仰るそうですが)の方は、個人サイトで無償公開していた小説を無断転載されチェーンメールで広められて、サイト上で停止を呼びかけても効果なく。
自分の作品が作者不詳ストーリーとして勝手に広められたわけですが、その一方で、知っている人たちには、勝手に偽物の最終回を広めた原作を汚したと叩かれて、小説を削除して謝罪文を掲載し、最後はとうとうサイト閉鎖されたのだそうです。
二次創作者として、恐ろしい話だと感じます。

ただ、話はここで終わらず、都市伝説として広まっていた《ドラえもん最終回》を知った映画特撮スタッフの山崎貴(後に『三丁目の夕日』監督)が感動し、それを基にオリジナルの脚本を書き上げ、更に、二次小説の作者を探し当てて許可を取り、藤子プロの許諾も得、偶然ながら小学館をスポンサーにして、自らが監督となって映画『ジュブナイル』として結実させた、という顛末があります。

映画 《ジュブナイル》 と 『ドラえもん』(ネオ・ユートピア)

二次小説の作者さんは、本来は二次創作なのだから原案者とされるのはおこがましいと、結局「Director's Thanks」の名目でクレジットされ。そしてこの映画のクレジットには「For Fujiko・F・Fujio」(藤子・F・不二雄先生に捧げる)とも書かれたそうです。
この顛末はちょっと羨ましい。

が、数年後に、今度は無許可で同人漫画化されて、それは小学館ともめてニュースにされたわけで…。
自作品が手を離れて一人歩きしているというのは、恐ろしいことだろうなと思います。

しかし、逆に言えば、それだけ人の心をとらえる魅力が、その二次創作にはあったということですね。凄いことです。


さて。
今更こんな話題をずらずら書いたのは、たまたま、この件に関する記事を読み返したのと同じ日に、原作そっくりの『ドラゴンボール』後日談漫画(勿論、二次創作)を読んだからです。

ドラゴンボールAF(toyblog)

これ、とっても面白いです。絵もコマ割りの感じも原作から違和感ないし。
それに、ブログで発表されてる割には、ごちゃごちゃしてなくて、ページ送りもしやすくて読みやすいです。
現時点で150P以上公開されていますが、一気に読んじゃいました。
『Vジャンプ』辺りで連載してても問題ない感じですよ。

ただ、WEBで無償公開されているのと同時に、同人誌として、決して安くない値段で販売もされている…。
ドラ最終回同人漫画が問題視されたのは

・販売して高い収益を得た
・原作そっくりの(本物と混同される恐れがある)ものをWEBで広く公開

という点があったから。
むむむ…。
売り上げがそんなに伸びてなければ問題ないのかな?

と言うか、どうも、これも三次創作らしいです。
アメリカで作られた『ドラゴンボール』続編ファンアート(嘘企画)を『ドラゴンボールAF』と称するらしく。(海外ファンは、これが日本で製作された正式な続編だと信じていたという説もありますが、どうなの?)新キャラや、パワーアップした旧キャラクターたちのイラストがWEBに出回っているようで。それに想を得て漫画化したもの……らしいです。ちゃんとした説明がブログに見当たらないので判りません。


ちょっと検索してみると、『ドラゴンボール』の同人続編漫画って色々出てきますね。悟空が凶暴化して敵になってるやつとかあって驚きました。
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【2010/01/22 20:54】 | すわさき・その他
【タグ】 屁理屈こねこね  
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