「はてなどう」「ナラカ」「円環伝承」共用。書き手は ちゃすかとすわさきの二人。
『アビス』のサブイベント《宝剣ガルディオス》にて、ファブレ公爵に「ルークに永遠の忠誠を……いや、友情を誓ってやってくれまいか」と言われたガイがルークの前にひざまずき、ルークが慌てて「俺は忠誠の儀式とか、そんなのしないぞ」と止める場面があります。

さて、ガイはひざますいてどんな儀式をしようとしたのか? ルークの言う《忠誠の儀式》ってどんなものなのでしょうか。

『アビス』の舞台、惑星オールドラントは架空のファンタジー世界ですので、地球の文化習俗は単純には当てはめられません。それでも、空気的に少し近い匂いのある中世ヨーロッパのそれから考えてみると。
一番単純に浮かぶのは、ルークの手か足の甲にキスしようしたのかな、ってイメージ。

ひざまずいて手の甲にキス、というのはイギリスなどの男性が女性に行うやや古いマナー…という印象が強いのですが、必ずしもそれだけではなく、服従・敬愛の印として、臣下が王の手や、指にはめた指輪(王権の象徴)に、あるいは王が司祭や法皇の足の甲にキスすることも行われていたそうですから。

インゴベルト王やピオニー陛下も、導師イオンの足の甲にキスしたことあるんでしょうか?



そういえば、中世を描いたイラストで、王がひざまずいた騎士の肩に剣を当てている(正確には、剣の腹で騎士の首筋を軽く叩く)ものがありますが、これは騎士の叙任式の様子です。ちょっと違う感じではありますが、これも《忠誠の儀式》の一種と言えるでしょうか?
ちなみに使われている剣は、叙任されている騎士に、この日 騎士となった証しとして与えられたものです。

この系統の叙任式は中世の中期以降のもののようで、主君(父親)や司祭が、騎士となる若者の首筋を平手か拳で強く殴る、というものもあったようです。

この、剣や手で首を叩く行為に何の意味があったのか、私には分かりませんでした。
成年の通過儀礼の名残で、「今までの私は死に、騎士として生まれ変わる」ということなのか。それとも、命を主君に捧げるという意味なのか。「この痛みで誓いを忘れるな」という意味だろうと解説したページもありましたが。


中世と言っても一千年の幅がありますが、その初期~中期頃は、《主従関係》は「託身」と「忠誠の宣誓」の儀式により結ばれるものだったそうです。
主君が臣下となる者に尋ねます。「私の臣下となることを望むか」。臣下となる者は「それを望みます」と返し、両手を組んで差し出す。差し出された手を、主君は両手で包みこんで握る。(主君が臣下に知行権を与える等、権利経済的に守る契約を行う、という意味です。)ここで例の誓いのキスが入ることもあったようです。こうして身を託します。
それから、臣下となった者は聖書に片手を触れながら「○○さまの家臣として誠心誠意、忠誠を誓います」と、神に誓う。これで儀式終了です。

ガイがやろうとした《忠誠の儀式》は、どんな感じだったんでしょうね。



二君に仕えず、という武士道が美徳として染みついている日本人にはあまりピンと来ない感じですが、西欧の王や騎士の主従関係とは軍事同盟のようなもので、主君に臣下が絶対服従するものではないそうです。
あくまでギブ&テイクの契約であり、どちらかが違反すれば契約が破棄されて文句は言えません。
また、ある王に忠誠を誓った騎士がいたとして、その騎士に忠誠を誓った臣下がいた場合、その臣下は王とは主従関係を持たないそうです。直接契約を結んでいませんから。
知行権と引き換えに騎士が主君に捧げる誠実とは、有事には戦争に参加する、ということ。
あくまで実利的な契約ですので、一人の騎士が複数の主君を持つこともあります。もしも二人の主君が争った場合、中立の立場を取って動かないよりは、どちらかに加勢するのが望ましいとされていたそうです。ふむふむ。




余談。
騎士(貴族)の子供は七歳くらいで別の騎士の家に奉公に出て、小姓として働きながら武術や馬術を学び、十四歳くらいで父の主君の家に移って、従騎士(先輩騎士の付き人)となり、二十歳前後で正式な騎士に叙任されるものだったそうです。
こういう情報を見ていると、ファブレ家の使用人にして軍人だった『マイソロ2』版のガイは、こんな背景持ちだったのかもなー、なんて妄想が湧いてきます。
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【2010/01/19 00:47】 | テイルズ系の話【レス含】
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