「はてなどう」「ナラカ」「円環伝承」共用。書き手は ちゃすかとすわさきの二人。
とめはねっ! 5 (ヤングサンデーコミックス)とめはねっ! 5 (ヤングサンデーコミックス)
(2009/06/30)
河合 克敏

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高校の書道部という特定世界の青春劇を、綿密な取材を生かしつつも、ユーモアを交えて描き出している。作中で使われる書は、実際にプロやアマチュアの書道家に書いてもらったもので、見応えがある。

作者は『週刊少年サンデー』で連載された『帯をギュッとね!』『モンキーターン』で人気を博し、やはり特定の技能に打ち込む若者を描いている。特に後者は、競艇の選手という漫画ではなかなか描かれたことのない世界を取り上げ、TVアニメ化もされた。

小学館の青年誌『ビッグコミックスピリッツ』で連載中。来年早々、NHKで短期ドラマ化される。


大江 縁(ゆかり)は、私立鈴里高校に入学したばかりの男子生徒。
実は小学二年から中学三年までカナダのプリンスエドワード島に住んでいた帰国子女だが、性格がおっとり、眠たげな目つきで雰囲気が地味なせいか、全く周囲にもてはやされることがない。長く海外にいたせいで日本の文化や流行にも疎く、携帯電話も持っておらず、どこかテンポがずれている。

入学式の日にたまたま隣に座っていたクラスメート、望月結希に憧れを抱くが、容姿端麗で柔道部の期待の星の彼女の眼中には入ってさえいない模様。

そんなある日、殆ど言いがかり的な流れで、縁は書道部に入部させられてしまう。
書道部の先輩は、小さくて優しく誠実な部長の日野ひろみ、髪は黒いがヤンキー気質の加茂杏子、美人だが狡猾な三輪詩織の三人。あと二人部員がいないと部の存続ができないのだと言う。

加茂と三輪は更に策を弄し、結希さえも、柔道部と兼部ながら入部させてしまった。
が、この件で利用された縁は結希に睨まれることになり、その怒りが解けた後も、負けず嫌いの彼女に書道のライバルとして敵視されることに……。せっかく部員として一緒に用具の買い出しに行ったり家を訪ねたりできるようになったのに、相変わらず、男としては眼中外なのだった。

帰国子女ながら、字の綺麗な祖母との文通のおかげで、縁の硬筆文字は素晴らしく美しい。が、小学二年から日本を出ていたため、習字の授業を一度も受けたことがなく、毛筆は全くの初心者だった。
ごくごく真摯に、縁は書道について技法や歴史を学び、打ち込んでいく。

その活動の傍ら、高校書道部らしく、大勢の見物客の前で歌謡曲に合わせて歌詞を大きな紙に書くようなパフォーマンスをも行い、あるいは書の甲子園に参加し、あるいは他校と合同で合宿も行う。
書道にかけた青春が始まった。


個性豊かな女子部員たちに囲まれて、影がうす~い感じの主人公・縁。
なんでも、現実の高校書道部員は殆ど女子で、連載開始前に取材に行った際、作者が男子部員がいたらどうですかと尋ねたところ「えーキモーイ(笑)」という反応が返ったため、逆に、主人公は男子生徒にしようと決めたとのこと。

この漫画、絵は綺麗だし、キャラクターたちのやり取りにはユーモアがあるし、高校書道部という未知の世界を教えてくれるし、その意味で確かに面白いのではあるけれど、三巻くらいまでは物語として面白いとは、あまり思わなかった。
というのも、主人公の縁が、あまりにも箸にも棒にもかけてもらえていなかったからだ。

縁の字は綺麗だが、なにしろキャリアが浅いし、他にもっと上手い人はいくらでもいる。
コツコツと真面目で誠実なのが長所だが、真摯に熱意をもって書に打ち込んで性格がよく、そのうえ容姿もいい他校の男子生徒が、初期から登場している。要するに、縁の長所は際立たない。
憧れの結希とはいつまで経っても距離が縮まらない。そもそも男として意識されてすらいない。一方的にライバル視されている始末である。

リアルに考えればこんなものかもしれないが、主人公がその他大勢に近い位置にいるというのは、やっぱり面白くなかった。

が。四巻あたりで、縁がアルバイトを始めると面白くなってきた。彼の真面目で誠実で物腰が柔らかいところ、細々と気がきくところ、帰国子女で英語が流暢なところが、そば屋の店員のバイトで存分に発揮され、一気に株が上がったのだ。
そば屋の主人が縁を非常に気に入って高評価してくれて、読んでいるこちらも嬉しくなった。

その関係で、多少打算的ながらも、縁にモーションをかけてくる女の子が出現。すると、どういうわけか今まで縁を全く異性視していなかった結希が、急に焼き餅を見せるようになってきた。

本当に急な変化だったので、多分、テコ入れなのだろう。
ともあれ、主人公が周囲に(字の上手さ以外では)軽んじられてばかりいる空気状態ではなくなった。うんうん。やっぱりこうでないとね。

また、先輩たちの過去が描かれるなど、物語が掘り下げられるようになったのも嬉しい。ライバルとなる他校も新たに出現した。

正直、これからどんな展開になってどう収まるのか見当はつかないが、楽しみに見守りたい漫画である。
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FC2blog テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

【2009/09/28 22:14】 | すわさき・感想
【タグ】 漫画の感想  
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