「はてなどう」「ナラカ」「円環伝承」共用。書き手は ちゃすかとすわさきの二人。
エデンの檻 4 (少年マガジンコミックス)エデンの檻 4 (少年マガジンコミックス)
(2009/09/17)
山田 恵庸

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『週刊少年マガジン』連載中のサバイバル漫画。
残酷な描写も多々あるが、キャラ絵は可愛い感じ。


仙石アキラは横浜明協学園中等部の三年生。修学旅行でグァムへ行った帰途、突如 飛行機が揺れ、内部を巨大な鳥の幻が通り抜ける。

機長の卓抜した操縦によって飛行機は孤島に無事着陸したが、計器はめちゃくちゃに壊れ、しかも、巨大で見たこともない哺乳動物や鳥が襲ってくる。それらは、五千万年、果ては一億年以上前に生きていたとされる絶滅動物だった。

海図に存在しない、あるはずのない島。助けは来ない。巨大で凶暴な獣たちが襲ってくる。明協学園中等部の生徒たちは勿論、同乗していた大人たち、子供、年齢も職業も異なる様々な人々が、あがき、罪を犯し、時に醜く殺しあって命を散らしていく。

そんな中、アキラは緊急時のリーダーとしての資質を開花させ、数人の仲間を全力で護りつつ、若者らしい正しさを失わないまま、どうにか危難をかわして生き抜いていく。


この漫画は、SFなのだろうか。

遭難先の孤島には絶滅動物がいる。大きな島ではないようなのに複数種おり、生息年代もバラバラなので、自然にそうした生物が生き残っていたとは考え難い。
そもそも、遭難する直前に飛行機の中を絶滅動物の幻が通り抜けたり、海図で見る限り島がない筈の位置だったりと、この島が現在の地球上に存在するものではない、という伏線が色々と張ってある。

だから私は、この漫画を《異時空漂流》サバイバルものだと思っているのだが、連載漫画は臨機応変に設定を変えていけるものだから、この先、設定が変えられる可能性もなくはないのだろう。例えば、某国が秘密裏に絶滅動物をクローン復活させていた実験島だった、とか。


Wikiを見ると、アメリカのTVドラマシリーズ『LOST』との類似性が指摘してあった。飛行機が謎の島に着陸して遭難、いるはずのない獣に遭遇する、という部分が似ているそうだ。

しかし私はその番組を見たことがないので、思い出したのは《異時空漂流》ものの読み切り長編漫画『ミッシングアイランズ』(柴田昌弘/1988/『花ゆめEPO』白泉社)だった。

ミッシングアイランズ (ソノラマコミック文庫―柴田昌弘傑作集)ミッシングアイランズ (ソノラマコミック文庫―柴田昌弘傑作集)
(2005/02)
柴田 昌弘

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南太平洋での海洋研修中だった高校二年の奥村笙子たち。嵐の夜、甲板に出てセント・エルモの火を見ていると、彼方から眩い光が近付いてきて甲板にぶつかった。
気付くと、笙子と三人の同級生たちは見知らぬ島に漂着していた。ここが無人島であるなら、助けが来るまで生き抜くしかない。

幸いにして島に食糧は豊富にあり、四人は比較的落ち着いて日々を過ごす。が、そのうちに奇妙な生物の存在に気づく。31年前に絶滅したはずの幻の哺乳類・鼻行類がここには生きていたのだ。それらは小さく大人しく、無害であるように思われた。

が、満月の晩にある惨劇が起き、仲間の一人が巨大な鼻行類にさらわれて生死不明になる。同時に救いの手も現れた。この島、ハイアイアイ群島には、鼻行類を研究するために集まった西欧各国の研究者たちと、彼らとは別に国から派遣されたフランスの軍隊が駐留していたのである。

そして、彼らと会話をしていく中で笙子たちは気付いた。ここは31年前の世界なのだと。絶滅した鼻行類が生きていたのではない。絶滅する前の時代に時空漂流していたのだ。

物語はこの後、人類以上の知能を持つ鼻行類ナーゾナス、島に《神》が残した、時空や遺伝子さえ操作する超科学技術を有した遺跡を巡り、それらを消滅させようとするフランス軍との対立、歴史通りの島の滅亡を目前にした決死の脱出劇が語られる。《時空漂流》を利用した結末が、最初の伏線に綺麗につながっている。

※なお、鼻行類は柴田の創作ではなく、1961年にハラルト・シュテュンプケ名義で出版された なんちゃって学術書『鼻行類』(現在、日本語翻訳版は平凡社より刊行)を出典とする。

※更に余談だが、小学館の『flowers』で連載していた『AMAKUSA 1637』(赤石路代/2000)も『ミッシングアイランズ』とよく似た導入だったと記憶している。修学旅行で大洋を航行する船が嵐にあい、高校生の主人公が同級生たち数人と共に時空漂流。
 ただし以降の展開は違い、流れ着いた江戸初期の日本で、主人公が天草四郎の影武者になって歴史を変える、逆行パラレルとなる。ただ、元の世界に戻れるのが一人だけ、という点は同じ。


『エデンの檻』がどういう方向に行くかは分からないが、『ミッシングアイランズ』や『AMAKUSA 1637』、時空漂流ものの名作『漂流教室』(楳図かずお)の例を思うと、元の世界に帰ることができるのはメンバーの中の一人だけなのかもしれない。(可能性がありそうなのは、大森さんか りおんか?)
単純な海洋・宇宙漂流ものなら、古今東西の例を見る限り、ほぼ揃って帰還する話がほとんどだが。

ただ、現在の最新連載分を見ると、アキラたちは「学校」という名の国を作ろうとしている同級生の一団と合流していて、これはどうも『漂流教室』のオマージュらしく、しかし学校崩壊する暗示が見えるので、過去の同ジャンル作のパターンを踏みつつ、あえて外すことも考えられる。



それはそうと。
『エデンの檻』の主人公、アキラは、物語冒頭の遭難前、「世界が変わりでもしない限り俺は駄目人間」なんだと独白していたり、自分はつまらない人間だ、ザコだと卑下しつつ諦めている、平凡人間的な描かれ方をしているのだが、なんとも違和感があった。

なにしろ、そんな独白をしながら、実際はいい意味での悪ガキで友達も沢山いて皆に囲まれてワイワイじゃれている。
学校の人気者の幸平とは親友、同じく人気者のりおんとは幼馴染みでいつも一緒。それだけではなく、傍から見ていてもこの二人に心底好かれ、尊敬すらされていることがよく判る。
学業成績は振るわないらしいし、背も高くないらしいが、そんなに馬鹿には見えないしそんなにチビでもない。身長のせいでバレー部では補欠だそうだが、運動神経は悪くない、というより良さそうだ。

こんなに恵まれてて、何の不満があるというのだ。本当のザコに謝れコノヤロウ。(と、ザコの私は思った。)
それに、物語が進んで彼のナチュラルに勇敢で人間愛溢れ意思力のある言動が色々語られ出すのを見るにつけても、幸平や りおんよりも背や成績が劣るからと言って「自分はザコ」「駄目人間」とまで思うほどのネガティブ思考に陥るような人間には思えない。

どうも、一番最初のコンセプトとして
「日常生活では平凡で、むしろ駄目っ子だった主人公が、異世界でサバイバル生活を始めると才能を発揮してリーダーに」
というものがあり、そのテーマを際立たせようと思うあまり、コンプレックスを付加して冒頭で卑屈発言させたのではないかと感じた。

が、物語が動き出すと、アキラは勇気と行動力に溢れてガンガン進んでいく申し分のない主人公でしかないので、やっぱり、「駄目人間」発言は浮いているように思える。解り易いのだけれども。


なお、アキラとは別グループで行動している矢頼光一は、もしかすると企画段階で呈示された別タイプ主人公が基になっているのではないか、と感じた。一般的なタイプではないものの、彼もまた《主人公》然としている。


ちなみに、私の一番お気に入りのキャラクターは、アキラのグループに最初に入る真理谷 四郎。
ノートパソコンを抱えたチビメガネのツンツン秀才で、絶滅動物について教えてくれる説明要員。RPGで言うなら賢者キャラ。
こういうサバイバルものては、頭のいいツンツンキャラは「嫌な奴、主人公と敵対して問題を起こす奴」になることが多いように思うが、真理谷は冷静で合理的で、アキラのリーダーとしての資質をいち早く見抜き、道を見失いそうな時には助言して激励もしてくれる。

親友キャラではないし、爽やかでも人情家でもないのだが、なんだかイイのだ。
一巻など、彼の出てくる場面ばかり読み返していた私だった。
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【2009/09/26 11:58】 | すわさき・感想
【タグ】 漫画の感想  
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