「はてなどう」「ナラカ」「円環伝承」共用。書き手は ちゃすかとすわさきの二人。
ねこめ~わく 6 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)ねこめ~わく 6 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)
(2009/05/07)
竹本 泉

商品詳細を見る


村上百合子は、天下無敵の女子高生。……なんだけど、彼氏もいないしお小遣いも使いきっちゃったし、なんだか冴えない夏休みを過ごしていた。なにか、どひゃーっと言うようなスゴイことが起きないかしら、なんてぼやいていたら。

どこからともなく聞こえてくる、どんどこどんどこと響く太鼓の音。
気付けば床に魔法陣の描かれた怪しい部屋にいて、目の前にはいかにも怪しい儀式をしてましたという風体の猫たちがおり、ちっこいながら二本足で立って歩いて、流暢に日本語を喋るのだった。どひゃーっ。(望みが叶いましたよ)

そこは、百合子の住んでいたところとはパラレルワールドに当たる地球らしい。
数千年前に人類は猫を進化させ、星を譲り渡して宇宙へ去った。それ以降、猫たちは人間を神のように崇めながら、その文化を維持することに努めてきた。

そんなある日、人間時代の宇宙軍の亜光速宇宙船の試作機が、テスト飛行を終えて地球に帰ってきた。試作機の欠陥で五千年も予定がずれてしまったのだ。結果的に、宇宙軍パイロット、ヘンリヒ・マイヤーはこの星でたった一人の人間になってしまった。(彼は、猫を進化させた人類より、更に数千年前の時代の人間である。)

猫たちは彼を崇めて、人間文化のアドバイザーとして大事にするのだけれど、彼は猫が嫌いで取り付く島もない。そこで猫たちは、人間時代の本にヒントを得て、別世界の人間を魔法で召喚しようと思い立ち、思い込みの力で成功させてしまったのだ。

かくして、ハンサムだけど性格に癖のあるヘンリヒと、彼に命じられて猫の世界に、基本一回一時間で呼び出されることになった百合子と、人間のすることを何でも真似したがるうえ勘違いでみょーな暴走をするお祭り好きな猫たちとの、波乱があるようなないような、ほのぼののようなヘンテコのような、迷惑で不思議な日々が始まることになったのであった。


……などとあらすじも一応書いてみたが、この漫画は現在、Webで第一話と最新話が無料で読めるので、是非そちらで試し読みをしていただきたい。面白いから。

【無料Webコミック】ねこめ~わく(Yahoo!コミック内)


竹本泉は『なかよし』でデビューした少女漫画家で、男性。
少年漫画を描く女性は今では珍しくないが、少女漫画を描く男性は、今でもそう多くはないだろう。

一部設定を共有する、独特な世界観の魔法ファンタジーやSFを得意とし、初連載作の『あおいちゃんパニック!』は男性オタク層の支持も得た。『なかよし』を出て各誌を流浪した果てに、現在はやや地味な漫画マニア向け雑誌を主な活躍の場としているが、それでも少女漫画家という看板を下げることはしていない。

作風は独特で、すごい事件は起こらないような……でも実はとんでもないことが起こってる話ばかりのような……。うーん……うじゃうじゃ。

ちなみに、『ねこめ~わく』は四誌ほどを流浪しながら描いた読み切り連作で、現在六巻まで単行本が出ているけれど、第一話はなんと、十五、六年前のもの…。
初期は女子高生の百合子のスカートが短くない辺りが、時代を表していたりする。

このシリーズが、掲載誌が何度休刊しても不死鳥のごとく蘇ってきたのは、編集長が雑誌を新創刊するたびに依頼してくれたかららしい。

ともあれ、しょっちゅう掲載誌が消えて追跡不安だった漫画が、この夏からWeb連載に変わり、田舎でも確実に読めるようになったのだから、こんなにも嬉しい話はない。
しかも、毎月更新? 今までは季刊だったり年に一度だったのに。こんなにハイペースで読めちゃっていいのかしら。(ドキドキ)
配信四回目からは不定期更新(隔月?)みたいです。


特に変化なくまったりと続いているように見える漫画だが、作中時間は確かに流れていて、少しずつ物語が進んでいたりもする。
テスト飛行の失敗で猫の世界に帰ってきたパイロットが、あと二人増えたのが最も大きな変化。人間が増えたおかげで、物語のパターンも少しずつ変化している。

そしてもう一つ。百合子の女性的成長がある。
開始時点では高校二年くらいで、かなり子供っぽかった彼女も、今は浪人を経て女子大生。物腰が女性らしくしっとりしたように思える。特に、ヘンリヒへの対応が。
ヘンリヒからの反応も、どこか変化した感がある。はっきり言葉を交わしたわけではないけれど、ああ、この二人は通じあっているんだなぁと思わされる場面が増えてきた。


それはそうと、このまま物語が進めば、百合子はいずれ大学を卒業して社会人になるはずだ。教育学部だと言うから教師を目指しているのだろうか。
社会人になったら、今のように頻繁に召喚されると、まともな社会生活を送れなくなる…。ちょっと心配だが、その辺どうなるんだろう。
ヘンリヒとの関係も気になる。本人たちは、いつか別れなければならないことを覚悟しているようではあるけど。それはいつ、どんな形で訪れるのか。
ヘンリヒがずっと地球にいるとしても、一時間の召喚時間が過ぎれば自動的に元の世界に戻ってしまう百合子とでは、落ち着いた関係を結ぶことは難しそうだし…。

でも、特にどうということなく、何となく楽しくのほほんと過ごせるのかもしれない。竹本泉だから。



ところで、竹本泉は古くから漫画マニアに人気の高い、作家買いするファン層を持つ漫画家なのだけれど、不思議なことに、アニメ化された作品が一本もなかったりする。(アニメのコミカライズをしたことはある。)
話は何度も持ち上がるそうだが、何故かそのたびに潰れるのだと言う。

つい最近連載を終えた『MAGI×ES』も、そんな企画の関係だそうだ。

MAGI×ES 魔法小路の少年少女3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)MAGI×ES 魔法小路の少年少女3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
(2009/07/23)
竹本 泉

商品詳細を見る


イギリスにある学校が実は魔法学校で、そこにアメリカから超能力を持つ少年たちがある使命を帯びてやってきて…という、『ハリーポッター』とSFと日本の変身魔法少女アニメを混ぜくたにしたような設定の話。実は聖杯をめぐる戦争、だったらしい。漫画版では殆ど触れられていないが。


これ、かなり気に入って楽しく読んでいたのだけど、漫画版主人公のポリンは、従姉妹でアニメ版主人公のアリサの裏側で出過ぎないよう邪魔にならないよう動いているばかりで、描かれず示唆だけされる場面ばかりがあまりに多く、なかなかもどかしくはあった。
なにしろ、ポリン自身には恋のお相手すら用意されていない。

本来は、竹本泉がキャラデザインを担当した1クールTVアニメの、(アニメにはいない?)別主人公視点裏バージョン、という企画だったらしい。


連載終盤、アニメの話の後日談となるあたりでやっと、漫画版主人公ポリンが、もしかして大魔法使いになれるかも…? 本当の主役になれるかも…? と盛り上がってきたのだが、そこでスッと連載は終わってしまった。アニメの企画が完全にお蔵入りしたためらしい。

ポリンの魔法物語が面白かっただけに、最後まで裏方のまま、芽が出ないままで、もどかしくはあったなぁ。
けれど、最近の竹本泉作品の中では、かなり好きだった。


ところで、アニメ版主人公のアリサがハマっているという古い魔法少女アニメ。…これ、モデルは『魔法のエンジェル スイートミント』じゃないのかな? 根拠はないけど、叔母の家に居候してツインテールで魔法を使うというアリサ自身の設定が、なんとなく連想させた。
スポンサーサイト

FC2blog テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

【2009/09/16 06:09】 | すわさき・感想
【タグ】 漫画の感想  
トラックバック(0) |
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック