「はてなどう」「ナラカ」「円環伝承」共用。書き手は ちゃすかとすわさきの二人。
カラスビシャク


烏柄杓[カラスビシャク] Pinellia ternata
別名:半夏[ハンゲ]、杓子草[シャクシソウ]、狐の杓子[キツネノシャクシ]、雀の柄杓[スズメノヒシャク]、カラスノコメ、ミヅダマ、ツブロコ、カブラブス、ヘブス、ヘヒス、クリコ、ホゾクリ、ヘソクビ、ホソクミ、カタホソ

ミニチュアの天南星[テンナンショウ]といった様相の草です。

サトイモ科ハンゲ属の多年草。ハンゲ属は東アジアに7種ほど存在。
日本には古代に中国から移入されたのではないかと言われています。
草丈20~40cmほど。日当たりのいい場所を好んでヒョロヒョロと首を伸ばし、庭先にもよく生え、抜いても抜いても繁茂する憎いやつ。

枝(葉柄)を二つ出し、三枚の小葉から成る三つ葉を広げるのが基本。小葉は長卵形で、丸みを帯びるタイプや尖るタイプがあります。
葉の形には変化があり、サトイモと同じ形の一枚葉や、頂小葉だけが特別大きい三つ葉もよく混じります。

カラスビシャクの葉の変化


時季が過ぎると、地面に潜る辺りの茎(地表)や小葉の基部に、先がチョンと尖った球根型の小さな球芽(むかご)が育っていきます。種からだけでなく、これからもどんどん殖[ふ]えます。

カラスビシャクの球芽


別名にある「クリコ」「ホゾクリ」は、この球芽に因んでいるのでしょうか。まるでデベソみたいに見えますから。


カラスビシャクの球茎と球芽サトイモ科ですので、小さいですが根は根茎(芋)になっています。パチンコ玉~ビー玉くらいの大きさ。

この芋は蓚酸[しゅうさん]カルシウムを含み、生食はできません。しかし干したものを生薬として利用します。
例えば、干した根を煎じた汁を、冷まして生姜を混ぜて少し飲むと、吐き気や喉の痛みが治まるとされます。

一説に、かつて農家の老人がこの塊茎を集め、薬材として売って小遣い稼ぎをしていたので、別名に「ヘソクリ」とあるのだと言われます。


生薬としての名は「半夏[ハンゲ]」です。
夏至から11日目の、太陽の黄経が100度になる日(毎年七月二日頃)のことを「半夏生」と言いますが、これは「半夏(カラスビシャク)の根茎がよく生い育つ頃」という意味で付けられた雑節名だとか。

なお、「半夏」は元々カラスビシャクの中国名。
『礼記』月令の五月の段に「(この月は、)鹿角落ち、蝉はじめて鳴き、半夏生じ、木菫[ボクキン](ムクゲ)栄[はなさ]く」とあると、明代の李時珍は『本草綱目』に引き、「五月はおおよそ夏の半ばに相当する。だから半夏と名付けたのだ」と書いています。

和名の「烏柄杓[カラスビシャク]」の方は、花の形を柄杓に見立て、「人間は使えない、カラスが使うような柄杓」の意味で付けられたとされています。柄杓系の見立ては日本では好まれたようで、江戸時代の『本草綱目啓蒙』を見ると、地方によって「雀の柄杓」「狐の杓子」、単に「柄杓草」などとも言っていた模様。

なお、平安時代の『本草和名』など、昔の書物に半夏の和名は「保曽久美[ホソクミ]」(細首?)だと書いてありますが、これは今は廃れた名みたいですね。もしや「ヘソクリ」がその名残なのでしょうか?


カラスビシャクの仏炎苞カラスビシャクの不思議な形の花について。

緑色のフード部分は仏炎苞と呼ばれます。その内側からニョロリとはみ出して天向かう線は肉穂花序[にくすいかじょ]。これが花です。
正確には、ニョロ伸び部分は花序の上側にくっついた付属体。花の本体は仏炎苞で包まれた底に隠れています。

そちらの方がずっとずっと大きいですが、サトイモ科テンナンショウ属の浦島草[ウラシマソウ](Arisaema urashima)の花も、肉穂花序の付属体が釣り竿の糸のように伸びて天に突き出しており、少し様子が似ています。


カラスビシャクの花右の写真は仏炎苞を剥いて肉穂花序を露出させたもの。
白くゴツゴツと固まっている部分が雄花で、その下のトゲトゲした子房の群れが雌花です。

雌花が実になると、仏炎苞の合わせ目の下部分がパクリと開いて、トゲトゲした緑色の集合果が顔を出します。


仏炎包の内側が紫褐色のものを、特に「紫半夏[ムラサキハンゲ] Pinellia ternata f.atropurpurea」と呼ぶことがあります。
また、近縁種に「大半夏[オオハンゲ] Pinellia tripartita」というものもあります。やや大型で、仏炎苞の口辺部が円く開きます。なかなか珍しいものだそうで、私は未だお目にかかれたことがありません。

これらは林内などの日陰を好んで生えるそうです。人間は日に当たると黒く焼けますが、カラスビシャクの仲間は日に当たらないと黒く(紫色に)なるんでしょうか。


カラスビシャクの花言葉
心落ち着けて



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【2010/05/05 01:40】 | すわさき・その他
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