「はてなどう」「ナラカ」「円環伝承」共用。書き手は ちゃすかとすわさきの二人。
タチイヌノフグリ

立犬陰嚢[タチイヌノフグリ] Veronica arvensis

ゴマノハグサ科クワガタソウ属の越年草。春から初夏にかけて咲きます。
アフリカ~ユーラシア原産の帰化植物で、日本には類縁種のオオイヌノフグリと同時期、明治年間に渡ってきたと言われています。

草の海に散らばる青い星のように目立つオオイヌノフグリに対し、タチイヌノフグリは非常に地味で、草むらをよほど注視していないと気付けません。
花の直径は、僅か3、4mm程度。しかも、日照の強い朝から昼ごろにしか全開では咲かず、後は閉じかけた状態なのですから、目立たないにもほどがある。

タチイヌノフグリとオオイヌノフグリの花の比較


↓下の写真、ツクシの足元に小さな青い花があるのが判るでしょうか。そのくらいの大きさです。

つくしとタチイヌノフグリ


タチイヌノフグリ・全体
咲き始めの時期(四月頭頃)は上の写真のように草丈が低いですが、育つと15~50cmくらいにもなり、茎を立ち上がらせます。

オオイヌノフグリが茎を倒して横這いしていくのに対し、このように立ちあがって咲くので、「立ち」と名前に付けられました。

オオイヌノフグリと同じく、ちょっとした衝撃で花が丸ごとポロッと落ちてしまいます。


小さな花弁は、他のイヌノフグリの近似種に比べて尖った感じです。
また、オオイヌノフグリやフラサバソウよりも濃い瑠璃色に見えます。

花の周囲を互生して取り囲む葉も、花弁と同じくツンツン尖っています。
(ただし、茎の下の方の葉は対生し、オオイヌノフグリに似た丸い形をしています。)

英名が「Corn speedwell(角クワガタ草)」なんですが、やっぱり、全体に角のように尖った感じがこの草の特徴ですよね。

実の形はオオイヌノフグリより更に扁平で、二つ並んだ形はハートマークのように見えて愛らしいです。

タチイヌノフグリの実



タチイヌノフグリの花言葉
信頼、女性の誠実、清浄


実は、オオイヌノフグリのそれと同じです。
要するに「貞淑な女性」のイメージのようで、オオイヌノフグリと結び付けられているキリスト教の老聖女ベロニカが原像なんでしょう。




次に、タチイヌノフグリに似た花を紹介。

フラサバソウ

フラサバ草[フラサバソウ] Veronica hederaefolia
別名:蔦葉犬陰嚢[ツタノハイヌノフグリ]

ゴマノハグサ科クワガタソウ属の越年草。花期はタチイヌノフグリと同じ。
アフリカ~ユーラシア原産の帰化植物。

オオイヌノフグリより小型で、タチイヌノフグリより花が大きい。

明治時代(1875)、長崎で採取したこれがヨーロッパのものと同じだと、フランスの植物学者フランシェ氏(Adrien Rene Franchet)とサバチェ氏(Paul Amedee Ludovic Savatier)が共に著した『日本植物誌』にて報告しました。その後ずっと未確認でしたが、1937年、《1911年に田代善太郎が長崎で採集した標本》を植物学者・奥山春季が再発見し、和名をフラサバソウとしました。
この名は、最初の発見者であるフランシェ氏とサバチェ氏の名を繋げて省略したものです。

発見当初は、海外の窓口たる長崎にしか生えていなかったようですが、第二次大戦後には日本全国で見られるようになりました。

基本的に、オオイヌノフグリと同じように茎が倒れて横這いしていきます。

フラサバソウ・全体


ただ、環境によっては立ち上がって繁茂していることもあるので注意です。

フラサバソウ


茎を立てて繁茂し、小さな青い花を咲かせている様子は、パッと見てタチイヌノフグリに似ています。

けれども花はタチイヌノフグリより少し大きく、色も薄く、花を囲む葉が尖っていません。
茎の下の方の葉の形もタチイヌノフグリとは違います。
別名の「ツタノハイヌノフグリ」が示すように、ちょっと蔦[ツタ]みたいな形の葉ですよね。

英名が「Ivy-leaved speedwell」ですから、同じ発想なのか、和別名はこの英名を訳したものなのか。

全体的に、タチイヌノフグリよりも目立つ感じです。

フラサバソウ
←フラサバソウの花。一緒に映っている白い花はハコベ。
フラサバソウの花は直径5mm程度。

タチイヌノフグリにもぼんやりと産毛は生えていますが、フラサバソウは「毛むくじゃら」と言っていいほどに剛毛が生えて目だっています。

タチイヌノフグリの花
→タチイヌノフグリの花。

フラサバソウに比べ産毛が薄く、花を囲む葉がツンツンと尖っています。
花弁も尖り気味。
花の直径は3、4mm程度。


なお、フラサバソウの果実の形は、「イヌノフグリ」の名を冠した他の植物たちとは違っています。
イヌノフグリは、二つ並んだ実の形が犬の陰嚢を連想させる事に因んだ名。
しかしフラサバソウは丸い実が一つだけなのです。

フラサバソウの実

実の真ん中に通った一筋の線が、二つの実がくっついて一つになった名残を感じさせはしますが、「フグリ」には見えません。
そうしてみると、別名の「ツタノハイヌノフグリ」は看板に偽りあり?



フラサバソウの花言葉
一見こわもて

毛がもしゃもしゃと生えていることに因むようです。
使いどころが難しそうですね。
「パッと見て怖いけれど、あなたは素敵な人」……と伝えたい時に使うんでしょうか?




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【2011/04/12 12:10】 | すわさき・その他
【タグ】 この花なんだ  
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