「はてなどう」「ナラカ」「円環伝承」共用。書き手は ちゃすかとすわさきの二人。
とめはねっ! 5 (ヤングサンデーコミックス)とめはねっ! 5 (ヤングサンデーコミックス)
(2009/06/30)
河合 克敏

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高校の書道部という特定世界の青春劇を、綿密な取材を生かしつつも、ユーモアを交えて描き出している。作中で使われる書は、実際にプロやアマチュアの書道家に書いてもらったもので、見応えがある。

作者は『週刊少年サンデー』で連載された『帯をギュッとね!』『モンキーターン』で人気を博し、やはり特定の技能に打ち込む若者を描いている。特に後者は、競艇の選手という漫画ではなかなか描かれたことのない世界を取り上げ、TVアニメ化もされた。

小学館の青年誌『ビッグコミックスピリッツ』で連載中。来年早々、NHKで短期ドラマ化される。


大江 縁(ゆかり)は、私立鈴里高校に入学したばかりの男子生徒。
実は小学二年から中学三年までカナダのプリンスエドワード島に住んでいた帰国子女だが、性格がおっとり、眠たげな目つきで雰囲気が地味なせいか、全く周囲にもてはやされることがない。長く海外にいたせいで日本の文化や流行にも疎く、携帯電話も持っておらず、どこかテンポがずれている。

入学式の日にたまたま隣に座っていたクラスメート、望月結希に憧れを抱くが、容姿端麗で柔道部の期待の星の彼女の眼中には入ってさえいない模様。

そんなある日、殆ど言いがかり的な流れで、縁は書道部に入部させられてしまう。
書道部の先輩は、小さくて優しく誠実な部長の日野ひろみ、髪は黒いがヤンキー気質の加茂杏子、美人だが狡猾な三輪詩織の三人。あと二人部員がいないと部の存続ができないのだと言う。

加茂と三輪は更に策を弄し、結希さえも、柔道部と兼部ながら入部させてしまった。
が、この件で利用された縁は結希に睨まれることになり、その怒りが解けた後も、負けず嫌いの彼女に書道のライバルとして敵視されることに……。せっかく部員として一緒に用具の買い出しに行ったり家を訪ねたりできるようになったのに、相変わらず、男としては眼中外なのだった。

帰国子女ながら、字の綺麗な祖母との文通のおかげで、縁の硬筆文字は素晴らしく美しい。が、小学二年から日本を出ていたため、習字の授業を一度も受けたことがなく、毛筆は全くの初心者だった。
ごくごく真摯に、縁は書道について技法や歴史を学び、打ち込んでいく。

その活動の傍ら、高校書道部らしく、大勢の見物客の前で歌謡曲に合わせて歌詞を大きな紙に書くようなパフォーマンスをも行い、あるいは書の甲子園に参加し、あるいは他校と合同で合宿も行う。
書道にかけた青春が始まった。


個性豊かな女子部員たちに囲まれて、影がうす~い感じの主人公・縁。
なんでも、現実の高校書道部員は殆ど女子で、連載開始前に取材に行った際、作者が男子部員がいたらどうですかと尋ねたところ「えーキモーイ(笑)」という反応が返ったため、逆に、主人公は男子生徒にしようと決めたとのこと。

この漫画、絵は綺麗だし、キャラクターたちのやり取りにはユーモアがあるし、高校書道部という未知の世界を教えてくれるし、その意味で確かに面白いのではあるけれど、三巻くらいまでは物語として面白いとは、あまり思わなかった。
というのも、主人公の縁が、あまりにも箸にも棒にもかけてもらえていなかったからだ。

縁の字は綺麗だが、なにしろキャリアが浅いし、他にもっと上手い人はいくらでもいる。
コツコツと真面目で誠実なのが長所だが、真摯に熱意をもって書に打ち込んで性格がよく、そのうえ容姿もいい他校の男子生徒が、初期から登場している。要するに、縁の長所は際立たない。
憧れの結希とはいつまで経っても距離が縮まらない。そもそも男として意識されてすらいない。一方的にライバル視されている始末である。

リアルに考えればこんなものかもしれないが、主人公がその他大勢に近い位置にいるというのは、やっぱり面白くなかった。

が。四巻あたりで、縁がアルバイトを始めると面白くなってきた。彼の真面目で誠実で物腰が柔らかいところ、細々と気がきくところ、帰国子女で英語が流暢なところが、そば屋の店員のバイトで存分に発揮され、一気に株が上がったのだ。
そば屋の主人が縁を非常に気に入って高評価してくれて、読んでいるこちらも嬉しくなった。

その関係で、多少打算的ながらも、縁にモーションをかけてくる女の子が出現。すると、どういうわけか今まで縁を全く異性視していなかった結希が、急に焼き餅を見せるようになってきた。

本当に急な変化だったので、多分、テコ入れなのだろう。
ともあれ、主人公が周囲に(字の上手さ以外では)軽んじられてばかりいる空気状態ではなくなった。うんうん。やっぱりこうでないとね。

また、先輩たちの過去が描かれるなど、物語が掘り下げられるようになったのも嬉しい。ライバルとなる他校も新たに出現した。

正直、これからどんな展開になってどう収まるのか見当はつかないが、楽しみに見守りたい漫画である。
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【2009/09/28 22:14】 | すわさき・感想
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「魔導データ館」、投稿情報を元に、魔導タイトルに『Sega Superstars Tennis』を追加。それを含めて発売順リストに二件追加。魔導大事典を編集。

投稿ありがとうございます。

【2009/09/27 02:00】 | はてなどう更新管理
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エデンの檻 4 (少年マガジンコミックス)エデンの檻 4 (少年マガジンコミックス)
(2009/09/17)
山田 恵庸

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『週刊少年マガジン』連載中のサバイバル漫画。
残酷な描写も多々あるが、キャラ絵は可愛い感じ。


仙石アキラは横浜明協学園中等部の三年生。修学旅行でグァムへ行った帰途、突如 飛行機が揺れ、内部を巨大な鳥の幻が通り抜ける。

機長の卓抜した操縦によって飛行機は孤島に無事着陸したが、計器はめちゃくちゃに壊れ、しかも、巨大で見たこともない哺乳動物や鳥が襲ってくる。それらは、五千万年、果ては一億年以上前に生きていたとされる絶滅動物だった。

海図に存在しない、あるはずのない島。助けは来ない。巨大で凶暴な獣たちが襲ってくる。明協学園中等部の生徒たちは勿論、同乗していた大人たち、子供、年齢も職業も異なる様々な人々が、あがき、罪を犯し、時に醜く殺しあって命を散らしていく。

そんな中、アキラは緊急時のリーダーとしての資質を開花させ、数人の仲間を全力で護りつつ、若者らしい正しさを失わないまま、どうにか危難をかわして生き抜いていく。


この漫画は、SFなのだろうか。

遭難先の孤島には絶滅動物がいる。大きな島ではないようなのに複数種おり、生息年代もバラバラなので、自然にそうした生物が生き残っていたとは考え難い。
そもそも、遭難する直前に飛行機の中を絶滅動物の幻が通り抜けたり、海図で見る限り島がない筈の位置だったりと、この島が現在の地球上に存在するものではない、という伏線が色々と張ってある。

だから私は、この漫画を《異時空漂流》サバイバルものだと思っているのだが、連載漫画は臨機応変に設定を変えていけるものだから、この先、設定が変えられる可能性もなくはないのだろう。例えば、某国が秘密裏に絶滅動物をクローン復活させていた実験島だった、とか。


Wikiを見ると、アメリカのTVドラマシリーズ『LOST』との類似性が指摘してあった。飛行機が謎の島に着陸して遭難、いるはずのない獣に遭遇する、という部分が似ているそうだ。

しかし私はその番組を見たことがないので、思い出したのは《異時空漂流》ものの読み切り長編漫画『ミッシングアイランズ』(柴田昌弘/1988/『花ゆめEPO』白泉社)だった。

ミッシングアイランズ (ソノラマコミック文庫―柴田昌弘傑作集)ミッシングアイランズ (ソノラマコミック文庫―柴田昌弘傑作集)
(2005/02)
柴田 昌弘

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南太平洋での海洋研修中だった高校二年の奥村笙子たち。嵐の夜、甲板に出てセント・エルモの火を見ていると、彼方から眩い光が近付いてきて甲板にぶつかった。
気付くと、笙子と三人の同級生たちは見知らぬ島に漂着していた。ここが無人島であるなら、助けが来るまで生き抜くしかない。

幸いにして島に食糧は豊富にあり、四人は比較的落ち着いて日々を過ごす。が、そのうちに奇妙な生物の存在に気づく。31年前に絶滅したはずの幻の哺乳類・鼻行類がここには生きていたのだ。それらは小さく大人しく、無害であるように思われた。

が、満月の晩にある惨劇が起き、仲間の一人が巨大な鼻行類にさらわれて生死不明になる。同時に救いの手も現れた。この島、ハイアイアイ群島には、鼻行類を研究するために集まった西欧各国の研究者たちと、彼らとは別に国から派遣されたフランスの軍隊が駐留していたのである。

そして、彼らと会話をしていく中で笙子たちは気付いた。ここは31年前の世界なのだと。絶滅した鼻行類が生きていたのではない。絶滅する前の時代に時空漂流していたのだ。

物語はこの後、人類以上の知能を持つ鼻行類ナーゾナス、島に《神》が残した、時空や遺伝子さえ操作する超科学技術を有した遺跡を巡り、それらを消滅させようとするフランス軍との対立、歴史通りの島の滅亡を目前にした決死の脱出劇が語られる。《時空漂流》を利用した結末が、最初の伏線に綺麗につながっている。

※なお、鼻行類は柴田の創作ではなく、1961年にハラルト・シュテュンプケ名義で出版された なんちゃって学術書『鼻行類』(現在、日本語翻訳版は平凡社より刊行)を出典とする。

※更に余談だが、小学館の『flowers』で連載していた『AMAKUSA 1637』(赤石路代/2000)も『ミッシングアイランズ』とよく似た導入だったと記憶している。修学旅行で大洋を航行する船が嵐にあい、高校生の主人公が同級生たち数人と共に時空漂流。
 ただし以降の展開は違い、流れ着いた江戸初期の日本で、主人公が天草四郎の影武者になって歴史を変える、逆行パラレルとなる。ただ、元の世界に戻れるのが一人だけ、という点は同じ。


『エデンの檻』がどういう方向に行くかは分からないが、『ミッシングアイランズ』や『AMAKUSA 1637』、時空漂流ものの名作『漂流教室』(楳図かずお)の例を思うと、元の世界に帰ることができるのはメンバーの中の一人だけなのかもしれない。(可能性がありそうなのは、大森さんか りおんか?)
単純な海洋・宇宙漂流ものなら、古今東西の例を見る限り、ほぼ揃って帰還する話がほとんどだが。

ただ、現在の最新連載分を見ると、アキラたちは「学校」という名の国を作ろうとしている同級生の一団と合流していて、これはどうも『漂流教室』のオマージュらしく、しかし学校崩壊する暗示が見えるので、過去の同ジャンル作のパターンを踏みつつ、あえて外すことも考えられる。



それはそうと。
『エデンの檻』の主人公、アキラは、物語冒頭の遭難前、「世界が変わりでもしない限り俺は駄目人間」なんだと独白していたり、自分はつまらない人間だ、ザコだと卑下しつつ諦めている、平凡人間的な描かれ方をしているのだが、なんとも違和感があった。

なにしろ、そんな独白をしながら、実際はいい意味での悪ガキで友達も沢山いて皆に囲まれてワイワイじゃれている。
学校の人気者の幸平とは親友、同じく人気者のりおんとは幼馴染みでいつも一緒。それだけではなく、傍から見ていてもこの二人に心底好かれ、尊敬すらされていることがよく判る。
学業成績は振るわないらしいし、背も高くないらしいが、そんなに馬鹿には見えないしそんなにチビでもない。身長のせいでバレー部では補欠だそうだが、運動神経は悪くない、というより良さそうだ。

こんなに恵まれてて、何の不満があるというのだ。本当のザコに謝れコノヤロウ。(と、ザコの私は思った。)
それに、物語が進んで彼のナチュラルに勇敢で人間愛溢れ意思力のある言動が色々語られ出すのを見るにつけても、幸平や りおんよりも背や成績が劣るからと言って「自分はザコ」「駄目人間」とまで思うほどのネガティブ思考に陥るような人間には思えない。

どうも、一番最初のコンセプトとして
「日常生活では平凡で、むしろ駄目っ子だった主人公が、異世界でサバイバル生活を始めると才能を発揮してリーダーに」
というものがあり、そのテーマを際立たせようと思うあまり、コンプレックスを付加して冒頭で卑屈発言させたのではないかと感じた。

が、物語が動き出すと、アキラは勇気と行動力に溢れてガンガン進んでいく申し分のない主人公でしかないので、やっぱり、「駄目人間」発言は浮いているように思える。解り易いのだけれども。


なお、アキラとは別グループで行動している矢頼光一は、もしかすると企画段階で呈示された別タイプ主人公が基になっているのではないか、と感じた。一般的なタイプではないものの、彼もまた《主人公》然としている。


ちなみに、私の一番お気に入りのキャラクターは、アキラのグループに最初に入る真理谷 四郎。
ノートパソコンを抱えたチビメガネのツンツン秀才で、絶滅動物について教えてくれる説明要員。RPGで言うなら賢者キャラ。
こういうサバイバルものては、頭のいいツンツンキャラは「嫌な奴、主人公と敵対して問題を起こす奴」になることが多いように思うが、真理谷は冷静で合理的で、アキラのリーダーとしての資質をいち早く見抜き、道を見失いそうな時には助言して激励もしてくれる。

親友キャラではないし、爽やかでも人情家でもないのだが、なんだかイイのだ。
一巻など、彼の出てくる場面ばかり読み返していた私だった。

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【2009/09/26 11:58】 | すわさき・感想
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鬼 (潮漫画文庫)鬼 (潮漫画文庫)
(2002/12)
山岸 凉子

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※今回はグロテスクな内容を含むので、苦手な方は避けてください。


山岸凉子は「花の24年組」の一人で、今更紹介するまでもない女流漫画家の一人だ。
代表作は第七回講談社漫画賞を受賞した『日出処の天子』だし、現在連載中の『舞姫 テレプシコーラ』も面白いけれど、今回はあまり知られていなさそうな作品の中から、『鬼』を紹介したいと思う。


山岸凉子はバレエや神話伝承、それに繋がる歴史に造詣が深く、そうしたテーマの作品を描くことが多い。一方でホラーやサスペンスもよく手がけている。

現実の中に潜む狂気や妄執を、独特の細い描線、トーンやベタをあまり使わないシンプルな画面で見せてくれる。シンプルではあるが、過不足なく精緻でリアルなのだ。特に、夢と現実の境、朦朧としたイメージの世界の描き方が抜群に上手い。

山岸は心霊ホラーも多く手掛けているが、面白いことに、主人公が死者の方になっていることも数多い。死者たちは自分が死んでいることを知らずにいる。そして、夢と現実を行き来するかのように迷っている。その描写が悪夢の感じによく似ていて、だからか、リアルさえ感じてしまう。

彼女のホラーに感じる恐怖は、得体のしれない怪物に襲われるそれではない。自身が迷う恐怖だ。夢とも現実ともつかない中有(ちゅうう)の世界は、自分自身や親しい人が陥るかもしれない、心の迷路である。

『鬼』も、そうした要素を含む物語だ。
悪霊…鬼となってしまった少年自身の、夢とも現ともつかない、朦朧とした悪夢のような視点が描かれているのだから。



物語は、現代(1995年…平成七年)と過去(1838年…江戸時代、天保八年)の双方で交互に展開する。

まずは現代。
東京のM美大のサークル《不思議圏》は、民俗学研究を名目に各地に旅行するお気楽七人グループだ。夏の合宿で向かったのは、岩手県の広林寺。部長の父が住職で、その口利きで無料で宿泊させてもらえるとのことだったのだが、行ってみれば、修行体験ツアーのテストケースということでガックリ。

その寺は、七十年もの間 絶えていたものを、つい一年前に建て直して、サラリーマンから転職した新たな住職とその妻が越してきたばかりなのだという。なんとか地域に溶け込みたいと思っているが、地元の人々は「イゴク寺」と呼んで、じんわりと敬遠している様子である。

ちょっとしたきっかけから、かつて何度もこの辺りを襲ったという飢饉に興味を持ち、地元図書館で調べた不思議圏は、餓死した大勢の人々を一度に葬るため投げ込んだ穴を、イコク穴、またはイゴク穴と呼んでいたことを知る。

この寺は、飢饉に関係するのだろうか…?
もしかすると、寺の境内から続く塞がれた道の先にあるという「雀塚」は、本当は「鎮め塚」であり、餓死者の霊を鎮めているのではないか。

そう思いついたメンバーは面白がり、その塚を見に行く。
ところが、その時から一年生の草薙 宏の様子がおかしくなってしまった。もともと無口で一風変わった青年ではあったが。熱を出し、穴の中に子供がいたね、僕はあの子の気持ち解るよ、などと涙を流してうわごとを言うのだった。

一方、妊娠中だった住職の妻は体調を崩しており、ついには救急車で運ばれて行ってしまう。近所の老人は気まずげに呟いた。「あそこ わがんねえのぉ(駄目なんだ)」「あの寺は何度代替わりしても跡取りはでぎねえんだ」「子供は生まれねぇ所なの

思えば、この寺に来た当初から、どこかから子供の泣き声が聞こえることがあった。
何があったのか確かめたい。超常現象が本当にあるのか知りたくて、みんなこのサークルに集まったんじゃないか?
熱を出している草薙と、看護役の二年女子・葉山あぐりを留守番にして、不思議圏はこの寺を住職に紹介したという地元役所の職員・中村を訪ねる。

中村は、我々はその時の村が絶えた後に入植したんですから一切関係ないんですよ、一ヶ村が絶えるなんて当時でも異常なことですから、そんなデマが流れたんですよと前置きしてから、渋々と語り始めた。これは私の祖父さんがそのまた祖父さんから聞いた話ですから、随分と昔の話ですよ、と。天保の大飢饉の際に、この辺りで行われた恐ろしい事実を…。

一方、寺に留守番していたあぐりは、寝ていたはずの草薙の姿が消えていることに気がつく。一瞬前までは晴天だったはずが、冷たい雨が降りしきり、あの子供の泣き声が聞こえてくる。そう、「鎮め塚」の方から。草薙を放っておくわけにはいかない。震える足であぐりは山道を登り……。


もう一つの物語。今から百五十年ほど昔、天保八年の奥州枯野村。
何年も続く冷害で、深刻な飢饉が続いていた。今日死ぬか、明日死ぬか。村人たちはとうとう、家の跡取りや売ることのできる女の子を残して、残りの子供を間引きすることに決めた。が、直接手をかける勇気が持てぬ。そこで山の上に、入口を格子で塞いだ深い縦穴を掘り、その中に子供らを滑り落として閉じ込めたのだった。

捨てられた子供は十人ほど。年長は、力が強く粗暴な留吉と、気が弱く泣き虫の末松。(末松は、この極限状況下で、年下の子供たちへの責任感に基づいた優しさやリーダーシップ、様々な知識に基づく賢さを発揮するが、その素晴らしい成長も、イゴク穴の底では虚しい。)

子供たちは、最初は穴の底で寄り添っていた。
雨が降れば格子の下に立って口を開け、水を飲む。しかし濡れればガタガタと体が震えた。
飢えて、母を呼びながら泣き喚く子もいた。しかし救いがあるはずもない。

冷たい雨は毎日降り続け、とうとう、一番小さな一、二歳の子が衰弱して死んだ。
すると、五歳前後の子が、ニコニコ笑ってその肉を食べているではないか。
末松は青ざめて止めるが、他の子供たちの目の色が変わった。醜く争って《マンマ(食べ物)》を奪いあい始める。

そんな騒ぎの中、最初に肉を食べていた子供が突然苦しみだし、転げ回った挙句に泡を吹いて死んだ。末松は涙を流して言う。「お父(とう)がいってた」「何日も物を食ってねえ時は いきなり食べだらわがんねえ(駄目だ)って」。
留吉はそれにかこつけて、《マンマ》を一人占めにしようとし、他の子らと再び争う。末松は畜獣のような この有様に涙するが、留吉に勝てぬ子供たちが涙目ですがってきたのを見て、団結することを教えて留吉に対抗、全員に平等に《マンマ》を行き渡らせることを約束させる。

そうして、三ヶ月が過ぎた。
穴の底では、留吉と末松だけが生きていた。
末松は立ち上がれぬほどに衰弱していたが、体の大きな留吉はまだ元気だ。

殆ど朦朧としながらも、末松は留吉が近付くと俺(おら)を食うなと必死に抵抗した。生きながら食われるのは嫌だ。いや、死んでからも食われたくない。俺を食ったらお前は地獄へ行くぞ、お前はここで独りぼっちになり、独りで死んで行くんだと。

しかし留吉は、俺は必ずここを出ると力強く言い切り、どうして今までそうしなかったのかと言い出して、穴をよじ登って外へ出ようとする。泣き喚く末松を残して。

が。穴の壁面は出口へ向かうにつれて反り返っており、あと一歩のところで留吉は転がり落ちて、頭を打って死んだ。物言わなくなった最後の仲間にすがって泣き続ける末松……。

数日後、腐っていく留吉のぐちゃぐちゃの亡骸を、泣きながら末松は食べていた。

俺(おら)…食べでらな(食べてるな)? 留を食べでらんだ(食べてるんだ)俺…
俺 死にてぇ んでも食うのが止まんねぇ…

お父(とう) お母(かあ) なして俺ば殺して呉(け)ねばがったのや
留のお父だって留ば殺すべどしたんだ… 殺して呉れば なんぼが 良(い)がったが…

こったな所(どご)で俺ひとりなんて嫌(やん)だ…
寂しい…
おっかねよォ おっかねよォ

誰か助けて
俺ば こっから出してすけろじゃ
死ぬまで出られねんだべか
早く 早く 死んでここを出てェ

んだども死んだら 俺ァ 地獄さ行ぐ……
わろだぢ(みんな)食って 留ば食って 俺 地獄さ行ぐんだ

おっかねよォ おっかねよォ…



ここから先は、夢とも現実ともつかない。恐らく穴の底で末松は死んだのだが、彼はそれに気づかずに迷い続けている。

自分の家で、兄が病気で死んだ様子を見た。跡継ぎがいなくなったと両親は泣き喚き、末松にあんなことをしたからだと喧嘩していた。(当時は福祉制度などないので、跡継ぎがいないことは、その家の真の滅亡を意味した。そうした家で老いた者が食うものも食えず世話してくれる者も無く首を吊ることがよくあったという。)
ざまあみろ、俺ば捨てっからだと哄笑し、末松はハッと目を覚ます。穴の底だ。荒い息をつきながら起き上がり、夢だったのか、と思う。恐ろしい夢だ。しかし、と思いついた。もし本当だったら両親は自分を次の跡継ぎにして助けにきてくれるかもしれない。するともう、死ね、死ねと願ってしまう。鬼のように。

また別の時。気がつくと道を歩いていて、自分の家がある。喜んで駆け込んで両親を呼びながらガタつく戸を開けると、土間で父親が首を吊っていた。
ハッとして目を覚ます。穴の底だ。なんという悪夢だろう。いや、でもあれはお父じゃなかった、ぶら下がっていた人の髪が真っ白だったじゃないかと思いなおし、良かった、お父、早く俺を助けにきてけろと安堵する。

また別の時。大勢の人が穴の外に来た気配がある。ついに助けが来たと喜ぶが、穴の中にどっと土が投げ込まれ、埋められた。僧侶が読経している。村人たちが「おっかねえ」「ばが もうハァ 何年も昔のごどだ」「これで鬼も成仏すっぺなァ」と話しながら立ち去っていく。俺はここにいるのに。
ハッと目を覚ます。穴の底だ。埋められてなどいない。
よかった、まだ死んでないと思う。まだ地獄へ行きたくない…。

母親を探しては、小さな子供を抱いている女性にすがりつき、美味そうな子供を押しのける。
けれど母はいない。どこにいるのか。
押しのけられた子供は泡を吹く。イゴク寺では子供が育たない。

するとまた、どっと土が投げ込まれて埋められる場面に戻る。
やめてくれ、まだ死にたくない、地獄へ行きたくないと思い、またハッとイゴク穴の底で目を覚ます…。


半ば憑依された草薙は、自身の境遇と重ねて末松の言葉を口走っていた。何者かに足をつかまれ動けなくなったあぐりは、彼のそばに、泣きじゃくる子供の姿を見る。
鎮め塚に駆け付けた、残りの《不思議圏》メンバーたち。現代の子供たちは、図らずも子供を殺す鬼となってしまったこの迷い子を、悪夢の中から救い出すことができるのか…!?



シンプルな絵なので、凄惨な場面の嫌悪感は減退されている。が、読んで、しばらくは何とも言えない気分になった。
けれど、この漫画が、ただ気持ち悪さで受けを狙おうとしているような、スプラッタ漫画の類ではないことは確かだ。
それに、ラストは大団円である。過去と現代の子供たち皆が救われ、明るく前へ進む。よかった、本当によかった。


末松は、賢く優しい、倫理観のしっかりした子であったがゆえに迷っている。
自分を捨てた親を憎む。が、親を愛し求め、早く助けにきてと願っている。
親を憎むが、憎むまい、憎んではならないとも思う。が、思えば思うほどに許せない。
早く死んでこの地獄から出たいと思い、しかし、人の肉を食べた自分は、もう人間ではない、人殺しよりも悪い、許されないと泣き叫び、死ねば必ず地獄へ行くと恐れ、死にたくないと穴の底にしがみつく。
思えば思うほどに、友の肉を食べてしまった自分が許せない。

が、《不思議圏》部長の中沢は語った。許せと。
食べられたみんなも、きっと許している。だからお前も許すのだと。

愛とは「許す」ことなのだ、と、山岸は後の作品『ヴィリ』でも述べている。
言うは易いが難しい。
が、その境地に立てたとき、人は確かに、自分自身の業から救われるのかもしれない。



自分の中で、この漫画からイメージが繋がったものは三つある。

一つは、諸星大二郎の中国古典伝奇を模した漫画「緒怪志異」シリーズの一つ、『篭中児』。

諸怪志異 (2) 壺中天    アクションコミックス諸怪志異 (2) 壺中天 アクションコミックス
(1991/02)
諸星 大二郎

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時は宋も末の頃。
幼い少年、阿鬼は、師である道士・五行先生と共に旅をしていた。ところが、見鬼(霊能力者)である阿鬼は、鬼神(霊的存在)にしか見えない道を見てしまう。気付かずに一人だけ、あるはずのない道に迷い込んでいた。

その道を進むと村があり、足元もおぼつかないような村人たちが出てきて、先を争って泊めようとする。その村はずっと飢饉だと言い、子供がいないと言う。阿鬼は何故か、土間に置いてあった背負い篭が気になって仕方ない。そして怪異を見る。

恐ろしくなって逃げ出した阿鬼は、夜道を篭を負って歩いている村人と出会った。ところが、何故か篭の中に小さな子供がいる。声をかけると男は振り向いたが、なんと、両目がつるりと無かった。

逃げまどう阿鬼を、五行先生と土地神の老人が救いに来る。
土地神は語った。

「唐の末に黄巣が乱を起こした時 この地方では飢饉が重なって 人みな飢えに苦しみました」
「この村ではついに飢えに耐えかねて ある夜こうして子供を竹篭に入れて山中に集まり…」「それぞれ篭をとりかえて帰ると その子供を殺して食って飢えを凌いだのです」
「その時みんな より大きな子供をほしがったので 公平に暗闇の中で竹篭をとりかえました」
「ほら あの男などは結局気づかずに また同じ篭を持って帰り やむなく自分の子を殺して家族で食った………」「それを見まいとして目をつぶって食ったので あの通り天帝に目を取られてしまったのです」
「天帝はこの所業を憎んで大岩で村の道をふさぎ 鬼神以外は人も獣も外界と通交できなくしてしまいました」
「それ以来この村は天からも地からも引き離されて 呪われた別天地となり 村人たちは子供を食った年と同じ所業を毎年繰り返さねばならなくなったのです」



これを聞くと阿鬼は泣いた。子供たちが可哀想だと。
胸打たれた五行先生が天帝への奏文を書き、親たちは冥府へ送られ、百人の子供たちは生まれ変わらせることになった……。

二百年ほども親に食べられ続けていた子供たちが何を思っていたか、この漫画は語っていない。
しかし土地神が言うに、そのような境遇にあったため、生まれ変わっても残忍な性質になる恐れがあるという。

果たして、後に金の女真族に、生まれた年が同じ百人の族長が現れ、残虐な性質で百兄弟と呼ばれた。宋に侵入して略奪の限りを尽くしたので、かつての黄巣の乱の頃と同じような状態になった。
が、ある村が狙われた時、一人の旅の男(成長した阿鬼?)が、村の入口に竹篭を並べておくように指示した。百兄弟はそれを見ると何かを感じたようで、何もせずに金に去ったという。

彼らは、自分を捨てて食べた親たちを許すことができたのだろうか?


二つめは、良栄丸事件。昭和二年に実際に起こったという、無残な遭難事件である。
以下のサイトに詳細があるので、凄惨な描写が大丈夫な方はご照覧いただきたい。

良栄丸事件(逆襲日報)

小型漁船のエンジンが壊れ、太平洋に漂流し、数ヶ月は耐えたが、ある者は衰弱し、ある者は狂気に侵され、ある者は仲間の遺体を口にしたが悶死し、一年後に発見された時にはミイラ船になっていた。船長が家族にあてた遺書が胸を打つ。

船員が書き遺していた航海日誌に、壊血病の描写があるのが目を引いた。
百年以上前の紀行文や航海記録を読むと、よく出てくる病気だ。野菜が採れずにビタミンC不足に陥ると、コラーゲンや骨組織が損なわれる。歯ぐきがどす黒くなり、血がたらたらと流れ出るようになって、歯が尖ったりし、ついには内腿なども黒くなり、衰弱して死に至る。
北方の狩猟民族には、肉を加熱せず冷凍させて食べる食文化があったが、これは動物の血からビタミンを摂取し、壊血病を防ぐためだという。

ほんの百年か二百年前のこうした記録を読むと、冬であろうと海の上だろうと野菜が存分に食べられる有り難さ、冷害があっても外国から米を輸入できる頼もしさが身にしみる。物が食べられるのは、なんと素晴らしいことか。物が食べられるように貯蔵技術や購入ルートが確立されているのは、なんと頼もしいことなのか。


最後の一つ。
現代の若者たちが超常現象に出会ったことをきっかけに過去の歴史を調べていき、過去の残留思念を救って自分たちも前に進むという流れからは、松谷みよ子の児童文学『ふたりのイーダ』を思い出さされた。
こちらは原爆を取り扱ったものだが、切なさはあってもグロテスクな描写はないので、もし読んだことのない方がおられれば、是非お勧めしたい。なにしろ名作なので、図書館には必ず置いてあると思う。

ふたりのイーダ (講談社青い鳥文庫 6-6)ふたりのイーダ (講談社青い鳥文庫 6-6)
(1980/11/10)
松谷 みよ子

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ちなみに『ふたりのイーダ』は「直樹とゆう子の物語」五部作の第一作で、シリーズには『死の国からのバトン』『私のアンネ=フランク』『屋根裏部屋の秘密』『あの世からの火』がある。どれも名作だ。過去と現代は決して隔絶されず繋がっており、人の思いや業や命も連続していることを感じさせてくれる。




ところで。
記事に貼ってある商品紹介部分は、画像や「商品詳細を見る」をクリックすると通販サイトのAmazonに飛ぶのだけれど、商品タイトル部分をクリックすると、FC2ブログ内で同じ商品を紹介している他記事が検索される仕様になっている。その商品の感想を沢山読みたい時に便利だ。

で、『鬼』のそれを見てみたら、記事はなかったけれど紹介文があって(Amazonのカスタマーレビューの一つがチョイスされたもののようだ)、「作者のあとがきも併せて読むといい」とあった。

この本、今売られているのは文庫版なのだけど、私が持っているのは最初に出たコミックス版で、そちらにはあとがきなんて付いてなかった…。

そんなに素敵な、有用なあとがきが書き下ろされているのか…!?
にわかに文庫版が欲しいような気になってしまった。くぅう。

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【2009/09/23 23:57】 | すわさき・感想
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色見本のサイトを見ていたら、誕生色なるコーナーがあって驚きました。
誕生花や誕生石はよく聞きますが、誕生色というものもあったんですね。

誕生色辞典(色彩のスパイス)

せっかくなので、魔導・ぶよキャラの誕生色を調べてみました。

アミティ 5/5 ■水色

 特徴:理念を形にできる芸術家

 色言葉:奔放な表現力・洞察力・主役


ラフィーナ 7/25 ■ロータスピンク

 特徴:気品ある精神の持ち主

 色言葉:永久不変の理念・明るさ・献身と抵抗


シグ 6/16 ■黄土色

 特徴:努力により目標達成に近づくコツコツ型

 色言葉:評価・刻苦精励・ねばり強さ


クルーク 9/29 ■オペラ

 特徴:ひとつのことに集中できる人

 色言葉:天真爛漫・強靭な精神・鋭さと温かさ


レムレス 8/25 ■バフ

 特徴:人間関係を大切にする礼儀正しい人

 色言葉:節度・平和・優雅


フェーリ 11/13 ■アッシュグレイ

 特徴:寸暇を惜しんで仕事に励む働き者

 色言葉:堅実さ・公正な判断・仕事





アルル 7/22 ■臙脂色

 特徴:自分の力量を自覚し向上させる人

 色言葉:支持・向上心・弾力的思考


シェゾ 3/16 ■薄紅藤

 特徴:心も体も女性らしい素直な人

 色言葉:直観力・精神高揚・気高さ


ルルー 2/24 ■リードグリーン 

 特徴:いつも希望を抱き前に進もうとする人

 色言葉:リラックス・社交的・前向き


ウィッチ 10/31 ■ライラック

 特徴:ものごとを成功させるために燃える情熱家

 色言葉:機知・理論的・勇猛果敢


ドラコ 8/2 ■ペールヨット・ブルー

 特徴:内向的で格式ばったことを好む保守主義者

 色言葉:知能・責任感・スピーディ


セリリ 3/12 ■オレンジバーミリオン

 特徴:人を正しい方向に導く天使

 色言葉:無邪気・感性・純粋


ハーピー 9/13 ■パープルネイビー

 特徴:絵画のように繊細なロマンチス

 色言葉:こまやかさ・洗練・独創性


ラグナス 4/1 ■薄桜色

 特徴:幸せな雰囲気をつくり出すロマンチスト

 色言葉:洗練・友人・ほほえみ


※サタン、カーバンクルの誕生日は不明



まあまあ合ってる感じのキャラもいますが、壊滅的に合ってない人もいますね。(^_^;)
某闇の魔導師さんとか。ちなみに、彼の誕生石の宝石言葉は「愛を伝える」でしたよ。アレか。「お前がほしい」と言いまくっているからか。


それにしても、「シルバーウィーク」なんて言葉もそうですが、こういうのって、どこの誰が何の根拠で決めているのだろう。

【2009/09/21 22:59】 | 魔導・ぷよ系の話
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はじめまして
kei
はじめまして 
最近ここを訪れたものです 興味深く拝見させていただいています。
魔道データ館のどこかに セガスーパースターズについてかいてありましたので 気になったことを参考程度に書いていこうと思います。(もしもすでに書いてありましたらごめんなさい)
あれにはセガスーパースターズ テニスという続編がありまして ぷよぷよも(ぷよキャラクターは出てきませんが)フィーバーとして(海外版しかないのでPuyoPopと表記されています)あります。
テニスボールで同じ色同士くっつきあったぷよをまとめて消していく
というものになっており たくさん消していくと(条件)フィーバーモードに入ります
そうなるとたいてい三回(または無駄にぷよをのこさないですべて消さないといけないなど)や規定回数でさらに制限時間つきでぷよを消すと点数が上がるというゲームでした
ミニゲームモードやミッションモードにありました
あたしの調べたところではこのようになっていました

これからも少しずつここを訪れて行くつもりです
それではよろしくお願いします

ありがとうございます
すわ@管理人
こんばんは、はじめまして。
情報ありがとうございました。そういうゲームが発売されていたんですかー。
早速、データを追加させていただきます。
keiさんの情報を引用させていただきますね。

それにしても、調べてみたら、『セガスーパースターズ レーシング』というのも来年出るんですね。また海外だけなのかな?
流石に、レーシングでぷよは無理ですよね……と思ったけど、またぷよモノがあるのでしょうか? びっぐぷよが降る中を走り抜けるとか(笑)。

なんだか楽しみですね。

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そもそも3時間近くあるので見るのをためらっていましたが、好奇心に勝てず、最終章を観に行きました。

にじゅっせいきしょうねん

私の主目的は、ともだちがあの役者さんかどうかを確かめることでしたが、マスクをとってとき思った以上に暗い目でズギューンと撃ちぬかれた気分でしたv
退屈しない作品でした。

【2009/09/21 18:56】 | ちゃすか・感想
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ベンジャミン・バトン 数奇な人生 特別版(2枚組) [DVD]ベンジャミン・バトン 数奇な人生 特別版(2枚組) [DVD]
(2009/07/15)
ブラッド・ピットケイト・ブランシェット

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『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』公式サイト


原作は九十年ほど前に書かれた短編小説。(映画版は、時代をずらしてエピソードも変えている。)

俗に、人間は年をとるほどに子供に還っていくと言うが、それをネタに使っている。
つまり、老人のような醜く弱った姿で生まれた男が、年をとるほどに美しく若返って、ピークを過ぎると再び手足が弱っていき、最期は認知症で寝たきり……赤ん坊になって、死を迎える。
そんな男の、なかなか波乱万丈な人生を、彼自身の手記と、彼の妻の語りで描いている。

別の人間の体に、主演の役者の顔を自然な感じにはめ込み合成する、新しい特殊技術が用いられ、人間の少年期から老年期までを、殆ど一人の役者がこなすことに成功している。
第81回アカデミーの美術、メイクアップ、視覚効果の各賞を受賞している。


嵐の近付く病院で、一人の老女が息絶えようとしていた。付き添う娘に、彼女は古いノートを読みあげてほしいと頼む。それは、ベンジャミン・バトン(ボタン)という男の手記だった。

第一次大戦の勝利にアメリカ中が沸いていた日、彼は生まれた。大変な難産で、母は息子を夫に託してすぐに亡くなる。ところが、夫は待ち望んでいたはずの息子を見るなり発作的に抱いて外に駆け出す。川に投げ込もうかどうしようか迷った挙句、ある老人介護施設の玄関先に置き去りにした。
生まれたばかりの息子が、確かに赤ん坊ではあるが、まるで死に瀕した老人のようにしわだらけの、悪魔のような姿をしていたからである。

(実父は後に息子を見つけ出して謝罪し、経営していたボタン工場など全財産を遺したが、ベンジャミンは決して許さず、報復のように、父の遺産を全て使い潰した。)

捨てられた赤ん坊を見つけたのは、老人介護施設で働くクイニーという黒人の女性だった。子供を望みながら授かりにくい体質だった彼女は、この醜い赤ん坊に深い愛情を注いで、息子として育てた。その愛情は、後に彼女に実の娘が授かっても揺らぐことはなかった。

ベンジャミンは、赤ん坊だが80歳の老人のような肉体だった。内臓も手足も弱く、目は極度の老眼で殆ど見えない。四、五歳になっても歩くことができず、分厚い老眼鏡をかけて車椅子に座り、頭髪も殆ど生えなかった。そして子供らしい覇気もなく、じっとしていた。周囲の老人たちと彼は、まるで見分けがつかなかったのだ。

彼が七歳のとき、一つの奇跡が起こる。クイニーに連れられて行った教会の集会で、ステージ上の神父が祈ると、ベンジャミンは車椅子から立ち上がって、よろめきながらも歩き始めた。ところが、直後に神父自身が急病になってその場に倒れ、亡くなった。奇跡を起こしたはずの人さえ、自身の生死はどうすることもできない。次々に亡くなっていく介護施設の老人たちのように。

ベンジャミンは杖をついて歩き回るようになり、いつしか、杖なしで背筋を伸ばして歩けるようになっていた。まるで若返ったようだと周囲の人々は言った。

そんな、ある年の感謝祭。施設の祖母に会いに来た少女、デイジーとベンジャミンは出会った。彼は打ち明ける。僕は本当は子供なんだよと。彼女は受け入れた。初めて出来た同年代の友人だった。彼女が自分の家に帰っても、文通を続けた。

やがてベンジャミンは船の荷降ろしのバイトを始め、正式の船員になって施設(実家)を出た。船長の紹介で、商売女相手だったが女を知った。酒の味も覚えた。六十代くらいの姿だった頃、停泊中の宿で、某国の外交官夫人(実はスパイ)と出会い、背徳的で激しい恋に落ちた。

この恋を、ベンジャミンは手紙でデイジーに知らせ、二人の文通はここで途切れることになる。
一方、国家情勢の変化で外交官夫人はベンジャミンの前から姿を消し、恋は終わりを告げた。

その後、ベンジャミンの乗る船は民間船ながら志願して第二次世界大戦の真珠湾での海戦に参加。日本軍と戦ったが、小さな船はたちまち破壊され、生き残ったのはベンジャミンだけだった。

ベンジャミンは故郷に帰り、介護施設(実家)の手伝いを始めた。家を出たときに赤ちゃんだった妹(クイニーの娘)が少女になっていた。そしてベンジャミンは五十代くらいの姿だった。

施設を訪ねてきたデイジーと、彼は再会した。女性として成熟した彼女は、バレエダンサーとして成功し、確固たる地位を築いていた。
ベンジャミンは花束を持って彼女の舞台に行ったが、彼女は多くの友人やボーイフレンドに囲まれ、奔放で、別世界の人間のようだった。この世界で円滑にやっていくために、男はおろか女とも寝たと彼女は語る。そしてベンジャミンを熱っぽく誘ったが、彼はそれを拒んで立ち去った。

ところが、間もなくデイジーに悲劇が起こる。ヨーロッパでの海外公演中に交通事故にあい、足を折って、ダンサーとして再起不能になってしまったのだ。
知らせを聞いたベンジャミンはヨーロッパの病院にまで駆けつけたが、惨めな自分の姿をさらすことに堪えられなかったデイジーは、彼を冷たく追い返す。二人の縁は、ここでまた途切れた。


時が過ぎ、ベンジャミンは四十代の姿になっていた。若々しく、力に溢れ、魅力的で、大型オートバイを乗り回していた。更には、実父の遺産を受け継いで裕福でもあった。

長い苦悩の果てに、ダンサーとしての再起不能を受け入れたデイジーが訪ねてくる。二人は、初めて同年代の姿になっていた。今まで惹かれあいながらも(肉体の)年の差で噛み合わなかったが、今、かつてないほどに強く結びつく。享楽的で愛と蜜に浸された眩い日々を二人は謳歌した。
やがて二人の間には、娘、キャロラインが授かった。

ところが、幸せの絶頂のはずなのに、ベンジャミンは恐怖と不安に駆られ始める。このまま時を経れば、自分はどんどん若返って子供になっていくのだろう。こんな父親がいていいのか。妻子の負担になるだけではないか。妻に、二人の子供の世話をさせたくはない……。

デイジーが何を言っても無駄で、ある朝、彼は家を出て行った。


手記はそこで終わっていた。
病室でそれを読みあげていた娘、キャロラインは驚いた。自分が父の実の娘ではないこと、母に父以外の想い人、ベンジャミンという男がいたらしいことは知っていた。そのことで母に反発していた時期もある。しかしまさか、彼こそが自分の実の父親だったとは。

老いて死に瀕しているデイジーは語り始める。
十年ほど経って、十代くらいの姿になったベンジャミンがひょっこり帰ってきたこと。しかしその頃、既に自分は、全てを知って受け入れてくれた優しい男性と再婚していたこと。彼は再び去ったこと。

更に時が過ぎ、デイジー自身が老女になった頃、警察に保護されたベンジャミンが、彼の実家である老人介護施設に連れてこられたこと。五歳前後の幼児の姿で廃ビルに倒れていて、認知症が始まっていて言うことは要領を得ず、しかし持っていた手記から実家が特定されたという。

既に夫を亡くしていたデイジーは、毎日のように施設に通ってベンジャミンの世話をした。
彼はデイジーのことを思い出せなかった。認知症が進んで、屋根の上に登ったり、突拍子のないことばかりして施設の人々を困らせた。

数年が過ぎ、彼はどんどん弱って、歯も髪も無くなり、手足は萎えて寝たきりになり、しぼんで小さくなった。つまり、赤ん坊の姿に若返っていた。老いたデイジーは彼を膝に抱いて世話をした。彼の最期の瞬間まで。

「彼は私を思い出せなかった。ーーでもね」と、自らも最期の時を迎えようとしながら、彼女は言った。「最期の瞬間、彼は目を開けて私をじっと見たの。私が解ったのよ」と。誇らしげに、嬉しそうに。




上記のあらすじは、上映当時に劇場で一度見ただけの記憶で書いたので、間違っている箇所が結構あるのではないかと思う。けれど、大筋はこんな感じ。


この映画の日本でのキャッチコピーは「人生は、素晴らしい」で、Amazonのレビュー欄を見ても、「人生の素晴らしさを感じた」と書いてあるものが何本かある。

けれど、私はこの映画を見て、人生の素晴らしさは感じなかった。

いや。肉体的に大変なハンデを抱えながらも、物おじせず、常に前向きで果敢に物事にチャレンジし、そこらの人よりもよほど豊かな体験をしたベンジャミンは確かに凄い。長い老年時代を経た後のデイジーとの目の覚めるような愛の日々は、確かに人生の喜びを表していた。

けれども。最後に、彼は逃げてしまった。
この一点をもって、「人生の素晴らしさを語った映画」だとは、私は思えなかった。

物語として、デイジーと結婚して平凡に老いて(若返って)死んだのでは面白くないから、もう一波乱付けるために失踪しなければならなかったのだとは分かる。「老人=赤ん坊」というネタを完遂するために、最期には連れ戻されなければならなかったことも分かる。
けれど、結局デイジーに老後の世話をさせたのなら、逃げなければよかったのに、と思えてならなかった。

それまでの人生では、自分の肉体年齢のハンデをはねのけて前向きだったベンジャミンが、子供ができると、まだ何も起きていない時点で、頭の中の不安に負けて逃げてしまう。苛立ったし、残念でならなかった。デイジーに世話をされねばならない子供にまで若返る(老いる)のにはまだ二十年以上の猶予があったのだし、そのくらいあれば子供の成人は見届けられただろう。

子供の誕生日にはがきを一枚送るだけで絆を保っているつもりでいて、いよいよ人生の黄昏期になってひょっこり帰ったのも、卑怯だと思った。

老いるのはベンジャミンだけではない。デイジーだって老いて、誰かの世話を受けねばならなくなって、死ぬのだ。
なのに、彼は一人で逃げた。


私がこの映画を見て感じたのは、死の影だ。
ベンジャミンは生まれたとき老人で、もっとも輝かしいはずの幼児期から青年期を老人として過ごした。若者だったのはデイジーと過ごしたほんの一瞬で、その後、肉体的にピークを迎えたはずの時代は、心が老いていて、時間を無駄に浪費した。

彼は人生の殆どを死とばかり向きあって過ごした。

デイジーの視点で見れば、波乱万丈な運命の愛の物語、とみなすこともできるのだろう。
けれど私には、この映画は、生まれてから死ぬまで殆ど老人だった男の物語、であったように思えた。

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【2009/09/21 10:32】 | すわさき・感想
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攻略掲示板で質問があったので、『わくぷよ決定盤』のアイテム合成表をアップしました。

…疲れた~(笑)。
久々にファイルをいじったよーな気がします。

【2009/09/21 03:07】 | はてなどう更新管理
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「魔導データ館」、魔導大事典を編集。
投稿ありがとうございます。

投稿内容の確認のために久しぶりに魔神ぐり子さんの『わくわくぷよぷよダンジョン』に目を通したんですが、キュートなキャラとはっちゃけたギャグで、パワー満々な漫画だなぁと改めて思いましたです。

【2009/09/19 17:40】 | はてなどう更新管理
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デカガール 1 (KCデラックス)デカガール 1 (KCデラックス)
(2009/01/30)
長崎 尚志

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講談社の女性漫画誌『Kiss+』連載の、本格刑事漫画。


日野まる香は刑事になることを夢見て警察に入ったが、女性であることを理由に軽視され、上司が推薦をしてくれず、事実上、夢への道は閉ざされていた。

ついに辞表を書き上げたその日、事件が起こる。離婚した妻子を人質に、男が銃を持って立てこもったのだ。警察は説得を試みるが、返った返答は、腹が減ったから昼食の出前を届けさせろというもの。
若い刑事が出前人に変装して近づいたものの、元は飲食店に勤めていたという犯人に見抜かれて発砲される。警戒心を強めた犯人は、本物の出前人が防弾チョッキ無しで持って来い、さもなければ妻子と心中すると言ったのである。
本当に民間人にそんな真似をさせるわけにはいかない。しかし、このままでは…。

そこで白羽の矢が立ったのが、まる香だった。彼女は地元の警官であり、かつ、実家はそば屋で出前に慣れていたからだ。

戸惑いや躊躇はあったものの、彼女はその任を引き受ける。そして、彼女がとったある行動がきっかけとなり、警察は犯人の取り押さえに成功したのであった。


この件で推薦が通り、まる香は念願の刑事になれた。
しかし男ばかりの刑事たちは、この若くて頼りなさげな女を、あかさらまに軽視する。

が、実はまる香には、ある特殊な能力があった。
嗅覚が、それこそ警察犬なみに鋭いのだ。(同類的な何かがあるのか、犬猫にはよくなつかれる。)

この能力と、女性ならではの知識や発想、視点によって、まる香は男性の刑事たちには見えなかった事件の側面を照らしだし、事件を解決に導いていく。



原作者の長崎 尚志は元・小学館の漫画編集者で、ストーリー面に大きく関わるタイプであり、後に独立してフリーの漫画編集者・漫画原作者となった。複数のペンネームを持っている。
浦沢直樹と組んでの『20世紀少年』『PLUTO』が有名どころ。『20世紀少年』は劇場版の脚本にも関わっている。
なお、漫画編集者でもストーリー作りに関わる以上、著者の一人だと主張して、『PLUTO』(手塚治虫の漫画のリメイク)では著者欄に己の名を記載し、著作権を持っている。曰く、編集者が原稿取りをするだけの裏方扱いされるのが常々不満だったため、立場向上のためにやったとのこと。


やはり浦沢が作画を担当した『MASTERキートン』では、勝鹿北星(きむらはじめ)の原作を、担当編集者だった長崎が改変していたという。事実は不明だが、原作者が原作を書かないので長崎と浦沢のみで創ったと両氏が主張したという報道もある。

打ち合わせは長崎と浦沢の間のみで行われていたそうなので、そりゃ、原作を書いても断りなし・または一方的に改変され続けたのでは、書く気もうせていくのではないかと同情したくなる。

勝鹿は既に亡くなっているが、『キートン』が人気漫画であるにもかかわらず、予定されていた文庫化が土壇場で取りやめになり、ここ九年ほど絶版状態になっているのは、この件でトラブルがあるからだという噂もある。

勝鹿が亡くなる五年前、この漫画がコンビニ用にペーパーブック化された際、(浮世絵師の葛飾北斎をもじった)勝鹿北星のペンネームに対抗したかのような、(浮世絵師の東洲斎写楽をもじったと思われる)「藤州犀南北」なる人物が巻中にコラムを書き下ろし、この作品で扱われた考古学の学説について熱く語っていたものだが、これは長崎のペンネームの一つではないだろうか。彼が後に使い始めたペンネームの一つ「東周斎雅楽」とよく似ている。本当の作者は私だ、という主張だったのかもしれない。



さて。この話はここで置いておいて。
今回この漫画を取り上げたのは、別に理由がある。

この漫画は2008年4月8日発売の5月号から連載開始されたが、その一週間前の4月1日、集英社の女性漫画誌『YOU』No.8にて、森本梢子が『デカワンコ』を連載開始している。
作者の森本梢子は、ドラマ化された『研修医なな子』や『ごくせん』で知られている、人気漫画家。

この漫画、『デカガール』と基本設定の一部がそっくりなのだ。


デカワンコ 1 (クイーンズコミックス)デカワンコ 1 (クイーンズコミックス)
(2008/10/17)
森本 梢子

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警視庁捜査一課・強行犯捜査第6班。強面の刑事たちの揃うこの部署に、新人女性刑事が配属されてきた。彼女の名は花森一子。ぽやっとした幼い顔立ちにくるくるの黒髪ツインテール、ふりふりで派手なゴスロリ服を身をまとった彼女は、見た目通り、賢くも鋭くもなかった。そのうえ、よく警察学校に入れたなレベルの超鈍足。尾行もまともにできない。

そんな彼女は警察署長のお気に入り。
しかも、警察犬なみに鼻がきくという特殊能力を持っていた。(警察犬と真剣・対等にライバル関係を結んでいる。)

強面の刑事たちが、この奇妙な新人女刑事、通称「ワンコ」に振り回されつつ、事件を解決していく。



ご覧のように、『デカガール』と『デカワンコ』は、基本設定の一部…「ネタ」と言うべきか…が似ている。
警察犬なみに鼻の利く女刑事。新人で配属されたばかり。彼女が「匂い」を根拠に何かを主張しても、最初はなかなか信じてもらえない。……ついでにタイトルも似た感じ。(笑)

尤も、似ているのは設定だけで、味付けは全く異なるのだが。『デカガール』は真面目な刑事ドラマで、まる香の成長ドラマでもある。一方『デカワンコ』は、奇人・一子を中心にしたギャグである。


私は先に『デカガール』を読んでいて、後に『デカワンコ』を知ったので、『デカガール』の原作を手直しして別の漫画家に描かせたものなのかな? と最初は思った。しかしこちらには原作者表記などない。それによくよく見れば出版社が違うし、調べてみると『ワンコ』の方が一週間だけ初出が早い。

後発となる『デカガール』の方も、いくらなんでも一週間で真似はできないし、そもそも、同じ特殊設定のある、同じ購買層向けの漫画を、ほぼ同時に出す、なんてリスクを自ら負う必要はないので、本当に偶然、設定やタイトルの感じがかぶってしまったということなのだろう。


この件で思い出したのは、漫画『テレキネシス』二巻に収録された、「紳士同盟」というエピソードだった。
小学館の青年誌『ビッグコミックスピリッツ』に連載されていたこの漫画は、長崎 尚志が東周斎雅楽のペンネームを使って、やはり芳崎せいむと組んで創ったものである。

テレキネシス山手テレビキネマ室 2 (ビッグコミックス)テレキネシス山手テレビキネマ室 2 (ビッグコミックス)
(2005/12/26)
東周斎 雅楽

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野村 真希乃、通称マキノは山手テレビの新入社員。敏腕だが組織に迎合せず半ば左遷されているプロデューサー・東 崋山を上司に、旧社屋の試写室兼事務室、通称テレキネシスで、深夜映画番組「金曜深夜テレビキネマ館」を担当している。

ある日、マキノの祖父が上京してきた。旧制高校時代からの友人を見舞うためだ。彼は既に昏睡に近い状態にあるという。
しかし友人の家族に、直接会うことも見舞いの品も拒まれる。二人の間には深い確執があった。

マキノの祖父は、地方のラジオ局のプロデューサー。友人は東京のテレビ局でフリーの脚本家となり、互いにヒットを飛ばしていた。
ところが、マキノの祖父の企画した、少し特殊な題材のラジオドラマが地方で人気を博した一ヶ月後、設定などがそっくりのテレビドラマが東京のテレビ局で放送されたのだ。脚本は祖父の友人。

彼は何も真似していないと言い張ったが、親友同士の二人には定期的に会う習慣があり、彼は少し前にマキノの祖父の家に遊びに来たことがあった。

この件で局同士がもめ、マスコミにも取り上げられて騒ぎになったが、真相はわからなかった。
ただ、先に作品を発表したマキノの祖父は世間から同情的に見られ、友人の方は、その後、仕事に恵まれなかったという。


華山は、試写室でマキノの祖父に古い映画を観せた。『紳士同盟』。1960年のイギリス映画だ。マキノの祖父は驚いた。同年制作のアメリカ映画『オーシャンと11人の仲間』(2001年の『オーシャンズ11』のオリジナル)と、設定がそっくりだったからである。

驚く祖父に、華山は語った。

「『紳士同盟』と『オーシャンと11人の仲間』……」「同じ年、お隣同士の二つの国でまったく同じ設定の映画が生まれたんです。」「元エリート軍人が手を結び、無血でまんまと大金を手に入れる。」
「フランク・シナトラ、ディーン・マーティン主演の『オーシャンと11人の仲間』は明るいコメディーとして。」「ベイジル・ディアデン監督の『紳士同盟』は、骨太の男のドラマとして。」
「スタッフにはなんのつながりもありません。」「同じ時代を生きる才能同士には、しばしばそういう偶然が起きるんです。」




「同じ時代を生きる才能同士には、しばしばそういう偶然が起きる」。
それを、この漫画の作者自身が数年後に体現したのだから面白い。


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余談ながら。
似ているといえば、『おおきく振りかぶって』で有名なひぐちアサの初連載作『家族のそれから』(初出2000年)と、『花とゆめ』で活躍していた遠藤淑子の読みきり漫画『家族ごっこ2[セカンド]』(初出1998年)も、設定がよく似ている漫画だ。
機会があったら、読み比べてみてはいかがだろうか。どちらも秀作だし、バージョン違いのような二作を読み比べることで見えてくることもあって、面白い。

家族のそれから (アフタヌーンKC)家族のそれから (アフタヌーンKC)
(2001/06)
ひぐち アサ

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家族ごっこ (白泉社文庫 え 1-10)家族ごっこ (白泉社文庫 え 1-10)
(2007/07)
遠藤 淑子

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【2009/09/17 17:36】 | すわさき・感想
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ねこめ~わく 6 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)ねこめ~わく 6 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)
(2009/05/07)
竹本 泉

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村上百合子は、天下無敵の女子高生。……なんだけど、彼氏もいないしお小遣いも使いきっちゃったし、なんだか冴えない夏休みを過ごしていた。なにか、どひゃーっと言うようなスゴイことが起きないかしら、なんてぼやいていたら。

どこからともなく聞こえてくる、どんどこどんどこと響く太鼓の音。
気付けば床に魔法陣の描かれた怪しい部屋にいて、目の前にはいかにも怪しい儀式をしてましたという風体の猫たちがおり、ちっこいながら二本足で立って歩いて、流暢に日本語を喋るのだった。どひゃーっ。(望みが叶いましたよ)

そこは、百合子の住んでいたところとはパラレルワールドに当たる地球らしい。
数千年前に人類は猫を進化させ、星を譲り渡して宇宙へ去った。それ以降、猫たちは人間を神のように崇めながら、その文化を維持することに努めてきた。

そんなある日、人間時代の宇宙軍の亜光速宇宙船の試作機が、テスト飛行を終えて地球に帰ってきた。試作機の欠陥で五千年も予定がずれてしまったのだ。結果的に、宇宙軍パイロット、ヘンリヒ・マイヤーはこの星でたった一人の人間になってしまった。(彼は、猫を進化させた人類より、更に数千年前の時代の人間である。)

猫たちは彼を崇めて、人間文化のアドバイザーとして大事にするのだけれど、彼は猫が嫌いで取り付く島もない。そこで猫たちは、人間時代の本にヒントを得て、別世界の人間を魔法で召喚しようと思い立ち、思い込みの力で成功させてしまったのだ。

かくして、ハンサムだけど性格に癖のあるヘンリヒと、彼に命じられて猫の世界に、基本一回一時間で呼び出されることになった百合子と、人間のすることを何でも真似したがるうえ勘違いでみょーな暴走をするお祭り好きな猫たちとの、波乱があるようなないような、ほのぼののようなヘンテコのような、迷惑で不思議な日々が始まることになったのであった。


……などとあらすじも一応書いてみたが、この漫画は現在、Webで第一話と最新話が無料で読めるので、是非そちらで試し読みをしていただきたい。面白いから。

【無料Webコミック】ねこめ~わく(Yahoo!コミック内)


竹本泉は『なかよし』でデビューした少女漫画家で、男性。
少年漫画を描く女性は今では珍しくないが、少女漫画を描く男性は、今でもそう多くはないだろう。

一部設定を共有する、独特な世界観の魔法ファンタジーやSFを得意とし、初連載作の『あおいちゃんパニック!』は男性オタク層の支持も得た。『なかよし』を出て各誌を流浪した果てに、現在はやや地味な漫画マニア向け雑誌を主な活躍の場としているが、それでも少女漫画家という看板を下げることはしていない。

作風は独特で、すごい事件は起こらないような……でも実はとんでもないことが起こってる話ばかりのような……。うーん……うじゃうじゃ。

ちなみに、『ねこめ~わく』は四誌ほどを流浪しながら描いた読み切り連作で、現在六巻まで単行本が出ているけれど、第一話はなんと、十五、六年前のもの…。
初期は女子高生の百合子のスカートが短くない辺りが、時代を表していたりする。

このシリーズが、掲載誌が何度休刊しても不死鳥のごとく蘇ってきたのは、編集長が雑誌を新創刊するたびに依頼してくれたかららしい。

ともあれ、しょっちゅう掲載誌が消えて追跡不安だった漫画が、この夏からWeb連載に変わり、田舎でも確実に読めるようになったのだから、こんなにも嬉しい話はない。
しかも、毎月更新? 今までは季刊だったり年に一度だったのに。こんなにハイペースで読めちゃっていいのかしら。(ドキドキ)
配信四回目からは不定期更新(隔月?)みたいです。


特に変化なくまったりと続いているように見える漫画だが、作中時間は確かに流れていて、少しずつ物語が進んでいたりもする。
テスト飛行の失敗で猫の世界に帰ってきたパイロットが、あと二人増えたのが最も大きな変化。人間が増えたおかげで、物語のパターンも少しずつ変化している。

そしてもう一つ。百合子の女性的成長がある。
開始時点では高校二年くらいで、かなり子供っぽかった彼女も、今は浪人を経て女子大生。物腰が女性らしくしっとりしたように思える。特に、ヘンリヒへの対応が。
ヘンリヒからの反応も、どこか変化した感がある。はっきり言葉を交わしたわけではないけれど、ああ、この二人は通じあっているんだなぁと思わされる場面が増えてきた。


それはそうと、このまま物語が進めば、百合子はいずれ大学を卒業して社会人になるはずだ。教育学部だと言うから教師を目指しているのだろうか。
社会人になったら、今のように頻繁に召喚されると、まともな社会生活を送れなくなる…。ちょっと心配だが、その辺どうなるんだろう。
ヘンリヒとの関係も気になる。本人たちは、いつか別れなければならないことを覚悟しているようではあるけど。それはいつ、どんな形で訪れるのか。
ヘンリヒがずっと地球にいるとしても、一時間の召喚時間が過ぎれば自動的に元の世界に戻ってしまう百合子とでは、落ち着いた関係を結ぶことは難しそうだし…。

でも、特にどうということなく、何となく楽しくのほほんと過ごせるのかもしれない。竹本泉だから。



ところで、竹本泉は古くから漫画マニアに人気の高い、作家買いするファン層を持つ漫画家なのだけれど、不思議なことに、アニメ化された作品が一本もなかったりする。(アニメのコミカライズをしたことはある。)
話は何度も持ち上がるそうだが、何故かそのたびに潰れるのだと言う。

つい最近連載を終えた『MAGI×ES』も、そんな企画の関係だそうだ。

MAGI×ES 魔法小路の少年少女3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)MAGI×ES 魔法小路の少年少女3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
(2009/07/23)
竹本 泉

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イギリスにある学校が実は魔法学校で、そこにアメリカから超能力を持つ少年たちがある使命を帯びてやってきて…という、『ハリーポッター』とSFと日本の変身魔法少女アニメを混ぜくたにしたような設定の話。実は聖杯をめぐる戦争、だったらしい。漫画版では殆ど触れられていないが。


これ、かなり気に入って楽しく読んでいたのだけど、漫画版主人公のポリンは、従姉妹でアニメ版主人公のアリサの裏側で出過ぎないよう邪魔にならないよう動いているばかりで、描かれず示唆だけされる場面ばかりがあまりに多く、なかなかもどかしくはあった。
なにしろ、ポリン自身には恋のお相手すら用意されていない。

本来は、竹本泉がキャラデザインを担当した1クールTVアニメの、(アニメにはいない?)別主人公視点裏バージョン、という企画だったらしい。


連載終盤、アニメの話の後日談となるあたりでやっと、漫画版主人公ポリンが、もしかして大魔法使いになれるかも…? 本当の主役になれるかも…? と盛り上がってきたのだが、そこでスッと連載は終わってしまった。アニメの企画が完全にお蔵入りしたためらしい。

ポリンの魔法物語が面白かっただけに、最後まで裏方のまま、芽が出ないままで、もどかしくはあったなぁ。
けれど、最近の竹本泉作品の中では、かなり好きだった。


ところで、アニメ版主人公のアリサがハマっているという古い魔法少女アニメ。…これ、モデルは『魔法のエンジェル スイートミント』じゃないのかな? 根拠はないけど、叔母の家に居候してツインテールで魔法を使うというアリサ自身の設定が、なんとなく連想させた。

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【2009/09/16 06:09】 | すわさき・感想
【タグ】 漫画の感想  
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外国のサイトにある診断ゲームが面白かった。

Akinator, the Web Genius

このトップページにいるランプの魔神の吹き出しの赤文字「PLAY」をクリックし、ハンドルネームと年齢と性別を入力したら診断開始。
吹き出しの中に表示される「あなたのキャラクターは男性か?」「あなたのキャラクターは実在しているか?」などの簡単な英語の質問に、「はい Yes」「たぶんそう Probably partially」「知らない I don't know」「たぶん違う Probably not Not really」「違う No」のどれかをクリックして答えていく。表情アイコンが付いてるから分かりやすい。


実在の人気芸能人やスポーツ選手、政治家はもちろん、日本のマイナー気味のアニメやゲームのキャラクター、果ては自分の飼い猫やら黒いGやら現実で密かに想う人、この診断ゲームの魔神のおっさんまで当てられてしまう!
す、スゲーっ!
なんでそんなに知ってるの!?

やってみて、そんなに海外でメジャーではなさそうなアルルもシェゾもアミティも、(あと、『テイルズ オブ ジ アビス』のキャラたちも)みんなちゃんと出てきたのでビックリ。
しかもアルルとシェゾは『魔導物語』のキャラとして登録されていますよ。二重にビックリ! 外国でも『魔導物語』は知られているのかなァと興奮し、嬉しく思ったりしたのだけれど。


…よくよく見てみれば、この診断ゲームは自己学習型で、閲覧者がどんどんデータを足していけるものだった。アルルやシェゾが魔導キャラとして登録されていたのは、日本人の魔導ファンの誰かが、そう登録したんだろうなぁ。


なんにしても、すごいし面白い。
見事に当てられちゃうと、見透かされたような気がしてゾクゾクできる。
魔神のおっさんが、当たるとチョー嬉しそうにするのも面白い(笑)。
一度お試しあれ。

【2009/09/15 17:42】 | すわさき・その他
【タグ】 暇潰しゲーム  
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山桜 [DVD]山桜 [DVD]
(2008/12/24)
田中麗奈篠田三郎

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原作は藤沢周平の短編時代小説。
原作を尊重し、変にアレンジすることもなく昇華して、美しい映像作品として仕上げられた秀作。

■映画『山桜』公式サイト


武家の娘・野江は、若くして夫に病で先立たれ、一度実家に出戻った後、磯村家に二度目の嫁入りをした。ところが磯村と舅は驕慢で品性下劣。そのうえ、野江の実家がやや格上であることにコンプレックスを持ち、折に触れて生意気だと責め立てる。姑は厳しく、嫁を蔑んでおり、野江にとって辛く暗い日々が続いていた。

そんなある日、久しぶりに里帰りを許され、一人で叔母の墓に参った帰り道。道端に大きな山桜の木があり、爛漫と花を咲かせていた。その見事さに、一枝手折って帰りたいと思ったが、手が届かない。
ふいに背後から声がかかり、スッと男の手が伸びて枝を折り取った。
振り向けば、一人の侍である。見知らぬ彼は花枝を手渡して、親しげに笑いかけながら「手塚弥一郎」だと名乗った。

その名には聞きおぼえがあった。野絵が一度 出戻っていたとき、縁談のあった相手である。しかし会うこともせず断っていた。剣の達人だと聞いて、亡夫の友人で酒癖の悪かった男を思い出し、自分にはそんな人の妻は務まらぬと忌避したからである。だが目の前にいる弥一郎は、感じのいい男であった。

縁談を断られた恨みを言うでもなく、彼はただ、こう尋ねた。
「それで、今はお幸せでござろうな」
一瞬言葉に詰まりはしたものの、様々なものを押し殺して、野江は答える。
「……はい」
すると彼は微笑んで、
「さようか。案じておったが、それは何より」
と言うと立ち去った。

ただ、それだけの出会い。
しかし、野江の心には光が射していた。
この世界のどこかに、自分を心配して、気にかけてくれている人がいる。
その事実が、彼女を元気づけ、日々を生きる勇気を与えてくれたのだった。
彼女は活力を取り戻し、もう一度やり直してみようと、婚家での生活に戻っていく。

それから半年後。
帰宅した夫の着替えを手伝っていた野江の耳を、手塚弥一郎が牢に入れられたという言葉が貫いた。藩主が江戸入りしているのをいいことに我が物顔で私腹を肥やしていた重臣・諏訪平右衛門を斬ったというのだ。誰もが見て見ぬふりをしていた悪を、我が身を犠牲にして裁いたのである。

諏訪側にいた夫は手塚をなじり、野江が手塚に同情する様子にも苛立って、切腹は必至だと嘲笑った。
その瞬間、野江の中で怒りがひらめいた。思わず、持っていた家紋付きの夫の羽織を、床に投げ捨ててしまったのである。
その直後に離縁され、そのまま野江は磯崎家から出された。彼女は、この家にとってそれだけの存在でしかなかったのだ。

二度目の出戻りをした娘を、実家の両親も弟も暖かく迎え入れた。
噂に聞くに、手塚は擁護する者も多く、即刻切腹にはならずに、春に藩主が江戸から戻るまで、沙汰は待たれるということである。

北国の厳しい冬が過ぎ、春。
藩主の帰国まであと一ヶ月となったある日、再びあの山桜の下に野江は立っていた。
枝に伸ばす手が届かなくても、当然ながら、手塚は現れない。
通りすがった農夫に頼んで一枝折り取ると、それを持ち、野江は何かに引かれるように歩き始めた。向かった先は……。



原作は文庫二十ページほどしかなく、たとえば野江が不倫愛に身を焦がしたり、夫を捨てて手塚のもとへ駆けつけるような、背徳的な盛り上がりも用意されてはいない。
まさに山桜のように、淡く、淡々として、しかし柔らかな光が静かに満ちていく。そして最後の瞬間、光は強さを増し、ついに世界を満たす。そのカタルシス。

蒙昧のあまり、遠回りをしてしまった。けれど、自分の行くべき場所はここだったのだ。きっと、最初から。
そう思わせてくれる人々との出会いが嬉しい。


地味だけれど、誰もにオススメできる映画である。


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 映画の感想【花のあと】

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【2009/09/14 22:19】 | すわさき・感想
【タグ】 映画の感想  
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米光さんのブログにて、
池袋コミュニティカレッジ講座「『1Q84』をめぐる読書の冒険」の告知がされている。
その記事中に、
『「そうだ、村上さんに聞いてみよう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける282の大疑問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?』(朝日新聞社)
という本から、“僕が考える「これは読まなくていい」という類の解説・評論”九箇条が引用されていた。村上春樹が自サイトで読者からの質問コメントに返答したログをまとめたものだそうだけど、《重箱の隅つつき》《引用が多い》など、自分自身の書く感想に当てはまる部分が多くて軽く鬱々となった……。

なんてことは置いておいて。
不思議に思ったのは、《難解な専門用語を多用したもの》と並べて《全てを単純明快に説明しているもの》までもが、読む価値のない解説・評論として挙げられている点だった。

なんでだろう? 単純明快に説明できるのはいいことじゃないんだろうか。
そうした文章には不足や不備があるに違いないってことなのか。それとも、読んで面白くないってことだろうか?
元の本には理由が書いてあるのかもしれないけど。



評論家が自論を自身の尺度で展開することを否定気味なこの九箇条を見るうち、クリエイター(批評される側)の人が理想とする評論と、受け手側が望むそれは、必ずしも一致しないんじゃないかな、などと考えた。

【2009/09/14 20:11】 | すわさき・その他
【タグ】 屁理屈こねこね  
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友達100人できるかな 1 (アフタヌーンKC)友達100人できるかな 1 (アフタヌーンKC)
(2009/08/21)
とよ田 みのる

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独特でプレーンな恋愛関係を描いた『ラブロマ』で好評を博した作者による、SF(すこし・ふしぎ)な最新作。

主人公は、36歳の小学校教員・柏 直行。大学時代に知り合った妻と晩婚をし、出産を間近にして幸せ絶頂! ……だったのだが。
気がつくとなんか変な人(?)がいて、産院の病室での夫婦の様子を「あらあらv」って感じで微笑ましそうに見てる。しかも、なぜかそれが全然気にならない直行。なんじゃこれ?

人間大のボーリングのピンが昔の漫画の未来服を着たみたいなその人(?)は、愛を研究する宇宙人なのだという。この異常事態に直行が平然としているのは、アドレナリンの分泌量を抑える電波を出して精神操作しているからとのこと。(リモコンでワンタッチです。)

言われるままにTVを点けると、空一面を覆い尽くすUFOが報道されているではないか。あと数分で地球制圧は完了できる。しかし彼らにはルールがあり、知的生命体と認められる他種族の生息する地域には侵攻できない。その基準は《愛》を持つか否かである。

よって、テストをすると言うのだ。
全人類の中からランダムに選ばれた個体、すなわち直行が、人類が《愛》を持つことを証明できたなら、侵略は中止される。しかし証明できないなら、人類は滅ぼされると。

かくして、(リモコンワンタッチでほにゃほにゃと同意してしまい、)直行は三十年近く前の1980年代、小学生だった頃に逆行した。そこは試験場であり、パラレルワールドである。ここで小学校卒業までの三年間に友達を百人作ること。それが試験の内容だった。友情の成立を判定するための腕時計型の不思議アイテムも渡される。
しかし、肉体は小学生でも、中身は頭の固くなり始めた36歳。果たして、友達100人できるのか…!?


連載第一回目を雑誌で読んだとき、これは面白い! 面白くなると、胸が震えた。
この設定なら、ドタバタでも人情話でもなんでもござれだ。

80年代懐古の側面もある。
そもそも、宇宙人のキャラデザインや、人類から一人を選んでの侵略テストという設定も、藤子・F・不二雄テイストで懐かしい。
けれど、古臭過ぎはしない。いい感じに古びた雑貨を見るような、ワクワクするような新しさがある。

なにより、宇宙人こと道明寺さくらのキャラクターがいい。
ヘンテコなのに素のままで場に溶け込んでいるし、のほほんとした顔も面白いし。
直行を査定するために同級生の女の子の姿に偽装するのだが、それでもいちいち言動が面白い。人類社会の常識はきちんとあり、人当たりが良くて社交的で言葉づかいも優しいのだが、不思議系で、決して恋愛対象にはなりえない。

そんな彼女を、直行は最初の友達に選ぶ。装置に表示された彼女の側の友愛値は最初からMAXなのが面白い。人類とは精神構造が違うのだ。一方、直行の彼女への友愛値ははるかに低かった。

「アナタ達ではスグに心ヲ開くコトはできナイのデショウ」「時間ヲかけレバ良イのデス」「何年カカるかワカリまセンが」「デハまた明日」


立ち去って行こうとする彼女に、直行は告げる。

「子供が産まれるんだ……」「頑張ってマイホームの頭金も作った」「僕だけの家族を作るためにやっと大人になったんだ」「それなのにこんなことになって お前のことなんか好きになれるわけがないだろ……」「バカヤローッ!!!


その瞬間、直行からの友愛値がMAXに達し、友達成立が認定される。

「……これが僕の本音だよ」「でも君を信用するって決めたんだ!!!」「友達になって下さい


興味深い。彼女はそう思ったのかもしれない。

ハイ喜んデ


二人は握手を交わし、直行の二度目の小学生生活はスタートしたのだった。



小学生時代の親友、けれど今は名前もすぐには思い出せなかった相手。
かつては全く交流することのなかった、クラスでも敬遠されていた乱暴な奴。
気まずいまま疎遠になってしまった、今思えば初恋の相手だったのかもしれない幼馴染みの女の子。

友達を作る日々は、人間関係の再構築でもある。
一方で、本来ならこの時間に会うはずのない未来の妻の顔を見に行ったり、別のパラレルワールドから来た、同じ試験を受けている女性(今は同級生)&試験官の宇宙人と出会ったり。

無事にクリアできるのか。
また、ここがパラレルワールドである以上、友達百人達成しても別れが必ずやってくる。ここで築いた友情は本来の世界には繋げられない。
一体どんなことになるんだろう。ドキドキする。

百人分の物語をそのままやったら、完結までには八年かかるということだけど。最後まで失速せずに面白い話を見せてほしいなと、期待の膨らむ第一巻だった。



ところで、作者さんの公式サイトには無料で読める漫画も展示されていて、色々お得です。

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【2009/09/13 17:11】 | すわさき・感想
【タグ】 漫画の感想  
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>シェアル希望。更新日をきめたり、早くしてくれたら嬉しい。

コメントありがとうございます。
んー…。
管理人はナマケモノで、歩みはナメクジより遅いので、ご期待に添えないです。
(更新日時を決めたりしたら、すんごーくオタオタした挙句に破綻する気が 汗)
ごめんなさい。

【2009/09/13 15:31】 | すわさき・魔導小説レス
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「魔導データ館」、魔導大事典を編集。
投稿ありがとうございます。


発売から一ヶ月経って、『ぷよ7』フィーバーも落ち着きましたね。
ちなみに、PSP/Wii版の発売日が決定したようで。11/26。思っていたより早い。

案の定、シナリオ方面の追加モードはない感じ?
PSP版が、一台のゲーム機で二人で対戦できるという、コンパイル時代の『ぷよBOX』やセガ時代になってからの携帯『ぷよ』についてたみたいな機能付きで、
Wii版が、『ぷよ!』のときにもあった「リモコンぷよぷよ」モードつき、ってことみたいです。

【2009/09/13 15:28】 | はてなどう更新管理
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裁判員の女神 1 (マンサンコミックス)裁判員の女神 1 (マンサンコミックス)
(2009/05/15)
毛利 甚八

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裁判員制度開始に伴って現れた、裁判を扱う漫画のうちの一本。
そうした漫画の中では絵が格段に綺麗で可愛いので目を引いた。(この漫画家さんが以前手掛けていた『大使閣下の料理人』も好きだったし。)
なお、原作者は、ドラマ化された漫画『家裁の人』も手がけている。

トータル主人公は若き判事補(裁判官)の勇樹美知子。明るく聡明で決して出しゃばりでも意固地でもないが、裁判において自身の信念を曲げず、裁判長に睨まれて地方に左遷された過去を持つ。
そんな彼女が左陪席を務める裁判員裁判を描く。

各裁判エピソードでの主人公は、裁判員を務めることになった一般人だ。メイン主人公とサブ主人公が存在する。一巻で扱われた強盗殺人裁判のメイン主人公はホームレスの男性。サブ主人公は平凡なサラリーマン。二巻で扱われた強姦殺人裁判のメイン主人公は、暴力団とつながるテキ屋の男で、サブ主人公は死刑推進派のジャーナリストである。通常なら司法の世界とは全く無縁のはずの彼らが、犯人の姿を通して自身を見つめ直し、被害者や加害者の家族について考え、自身の生き方をも変えていく。勇樹美知子はその導き手で、タイトルにある通り、まさに「裁判員の女神」である。

実は彼女自身が犯罪被害者であることが、かなり早い段階で明かされる。
しかし、彼女はすでに苦しみをほとんど乗り越えていて、むしろ減刑を推す傾向がある。
やや綺麗すぎるきらいはあるが、連載が長く続けば、彼女自身の生の姿も、もっと見せてもらえるのかもしれない。


裁判員制度の実際について解り易く学べるし、色々と考えさせられもする。
総じて、犯人側に同情的で、司法側やインテリ層に批判的という偏りがあるのは気になるけれど、とても面白い漫画であることは間違いがない。

ドラマ映えしそうな内容なので、そのうちドラマ化したりするかも?


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【2009/09/13 00:58】 | すわさき・感想
【タグ】 漫画の感想  
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元は朝日新聞社の雑誌『夢幻館』に連載されていたけれど、雑誌の休刊・WEB化に伴って、WEB連載になった漫画。今なら1話から3話まで、全て無料でWEBで読める。(09/10/19まで)

【無料コミック】人造動物園(Yahoo!コミック内)


主人公は、大内花梨という女子高校生。
声優を目指しているが看護師の母親に反対されているため、専門学校の学費を自分で稼ごうと、「大神官亭」なる喫茶店でバイトを始める。

ところが、その喫茶店が実に奇妙で、外観も内装も自在に変わるし、長髪美形のマスターの背には白い翼が広がっているし、ウェイターは狐のような尻尾と耳をはやした美少年だし、お客はどう見ても異形な感じで、でも賑やかで楽しげで忙しいのだった。そしてマスターたちも客も、なにやら花梨に対して含みがあるよーな…?


ああ、山田ミネコだなぁ、という漫画だ。
山田ミネコは、いわゆる《花の24年組》と呼ばれる、戦後の少女マンガ革命期に注目された少女漫画家たちの一人。様々な雑誌・出版社を渡り歩きつつ、《最終戦争シリーズ》《パトロールシリーズ》等の大河SFファンタジーを描き続けて、根強いファン層を得た。

しかし強いアレルギーが出て体調を崩すようになり、次第に作風がデフォルメ化していき、ついに商業の仕事から姿を消して、十年ほどは同人誌で活動していた。
近年、《最終戦争シリーズ》や《ふふふの闇シリーズ》の文庫化をきっかけに、再び書き下ろし単行本やWEB漫画で商業誌の世界に戻ってきた。


山田ミネコの漫画には、《孤独》がある。そして、そこから誘われる、ぽっかりと開いた底しれぬ穴のような恐ろしさがある。
商業誌デビュー作(デビュー自体は貸本用書き下ろし)からして、一人で留守番をする少女のもとに寸足らずの異形が現れ、お前は友達にも両親にも愛されていない一人ぼっちだと、孤独の幻影に捕らえようとする話だ。

孤独を描くエピソードは実に数多い。そして孤独と幻影、異界は常に隣り合わせてある。異界行きは魅力的ではあるが、現実には消失であり、死にも通じる。孤独を抱える人間を飲みこもうとする、幻想の穴だ。

死は、時にはもっとはっきりした形で描かれる。
死を恐れ妖魔と化した女たちは男たちの生気を吸い、石のようなミイラに変える。
女たちの夢に飲まれての死は幻想的ではあるけれど、残されたミイラは醜悪で冷たい。
死は容赦なく訪れ、命をもぎ取っていく。


反面、山田ミネコの漫画には、恐ろしい事象を強くデフォルメした滑稽さも常にある。
孤独に誘う異形は可愛くてコロコロした姿をしているし、生気を奪う妖魔は、愛らしくごく普通の少女の面も持っている。少女たちの心臓をえぐりだした、魔に魅入られていた美貌の王子が、物語終盤には子供っぽい性格のギャグメーカーになっていたりする。

また、主人公が生まれる前からの《選ばれた超能力者》で、問題をその超能力で一挙解決してしまったり、人殺しの恐ろしい敵に何故か好かれまくって、敵を愛の奴隷…というより、子供のように従えてしまう、ご都合的とも言える展開も珍しくない。

が、これが山田ミネコ節というものだ。


この『人造動物園』にも、そんな山田ミネコ節が濃く表れている。
好き嫌いは分かれるだろうけれど、私は、ああ山田ミネコだなぁと、妙な安心感を得たのだった。


それはそうと、この漫画を見ていると、とにかく既視感を覚えて仕方がなかった。
山田ミネコは一時期、小説家として活躍していたころもあるのだけれど、その中の一作、《裏側の世界シリーズ》一作目『カナアンの竜兄弟』に、すごく似ている。喫茶店のバイトの様子や、実は最初から仕組まれていて、やがて異世界へ連れて行かれる展開や、恋人にはそっくりの兄弟がいて性格が悪いところや。
……焼き直し、ということなんだろうか。

もっとも、この漫画家さんの作品の殆どが、どこか共通した設定を持っていて、似たような雰囲気なのだけれど。


関連記事
 人造動物園 壱


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ここはゲーム『魔導物語』(ぷよぷよ)ファンサイトのブログでもあるので、以降はそれに引っ掛けた話。
判らない人は無視してください。

ところで、『魔導物語』のサタンやシェゾが、実は幻想小説『闇の公子』のパロディでもあったと知って、私の頭に真っ先に浮かんだのは、山田ミネコの漫画だった。
彼女の漫画には異能の力を持つ長髪美形が数多く表れ、耽美で冷酷で恐ろしい。けれど、彼らはユーモラスにも描かれ、ケーキをぱくぱく食べたり、特定の少女に対してだけ、幼い子供のように従ってしまったりする。
最初期『魔導』のサタンのイメージは、私の脳内では山田ミネコの漫画のキャラに近くなったのだった。

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【2009/09/12 00:44】 | すわさき・感想
【タグ】 漫画の感想  
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単行本化!
金魚
2010/04/15、○天から新入荷メールが来ました。
○陸書房シリーズのに似てるんですね・・・webに表紙とか全然出てこないのですが、即注文してしまいました。手元に届くのが楽しみです。

Re: 単行本化!
すわ@管理人
こんばんは。書き込みありがとうございます。
『人造動物園』、紙の単行本になるんですか! めでたいです。
いつものように書き下ろしのあとがきが付くんでしょうか。


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■菓子工房フラノデリス プリンシェイク (ポッカ公式サイト)

プリンを飲み物にしちゃいましたという奴で、容器の中に入ったゆるいプリンを振って飲む。
昔からたまに自動販売機で見かけるシリーズなのだけど、それの豪華版。なんと一本180円。

お高価いだけあって、なかなか美味しいです。缶ではなく小さなビンボトルに入ってますし、コンビニだとデザートのコーナーに置いてあったりする。
ただ、振ってもなかなか中身が出なかったりすることがあるのはお約束。


それはともかく、個人的にプッシュしたいのは、公式サイトに置いてある
菓子工房フラノデリス プリンシェイク物語 ~開発ストーリー~
という漫画。
なかなか面白い。
こんなところで、なかなか読みでのある漫画が無料で読めちゃって、ちょっと得した気分になれました。

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【2009/09/11 22:21】 | すわさき・感想
【タグ】 怪しい飲料試飲委員会  食べ物  
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萌えの死角 (ニチブンコミックス)萌えの死角 (ニチブンコミックス)
(2008/12/27)
今 市子

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私の今市子作品初体験は『百鬼夜行抄』で、民俗ファンタジーや鳥エッセイコミックの印象が強かった。なので、書店にこの漫画家さんのBL(ボーイズ・ラブ)漫画が沢山並んでいるのに気付き、そもそもデビューはそちら側だと知った時は「へええ」と驚いたものだ。

そんな今市子さんの、BL雑誌連載のエッセイコミックが単行本化していたので、ふらふらと手に取ってみた。
色々な映画や演劇、バレエ、日常で見かけた通りすがりの人(笑)を腐女子視点で見て、萌えドコロを語るという趣旨。

世の中はこんなにもゲイに溢れていたのかと驚いた。
妄想というレベルでなく、ゲイの芸術家がその意図で作った作品の数々。
普通に名作映画だと思っていたものまで、実は…なんて。ううむ、カルチャーショックだ…(汗)。

それにしても。
現実の訃報をネタに、故人と、その死を悲しんだと報じられている知人を、怪しい関係だったに違いないと描き立てていたのは、「バチあたり」と自主ツッコミを入れてはいたけれど、さすがに不謹慎なよーな。


今のようなBL小説レーベルがなかった昭和の少女時代、百科事典で怪しい単語を調べるところから始まって様々な文学を遍歴し、ホモ度の高い赤江瀑の耽美伝奇小説に辿り着いたと熱く語っていて、そうまでして男性同性愛を求めずにいられないのか、この人は本当にそれが好きなのだなぁと感心して読んだら、巻末あとがきには「私は腐女子度が低い、そっち系の嗅覚が鈍い、フツーに男女の恋愛ドラマ好きです」と書いてあって、なんだかちょっと途方にくれた。(^_^;)
いろいろ複雑なのかもしれない。

ともあれ、様々な芸術作品を紹介してくれ、新たな視点を呈示してくれるという点で、なかなか面白い一冊だったと思う。
あと、トコロテンという隠語を初めて知りました。カルチャーショ~ック。

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【2009/09/10 23:53】 | すわさき・感想
【タグ】 漫画の感想  
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「魔導データ館」、魔導大事典を編集。
また、攻略掲示板から投稿していただいた情報で、『ぷよ通』の音楽情報を修正・更新しました。
投稿ありがとうございます。

【2009/09/04 17:02】 | はてなどう更新管理
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魔導四五六アルル

『ぷよ7』のダークアルルを見ていると『魔導四五六』のアルルを思い出すので、フィバっぽい(?)絵柄で描いてみました。紐飾りのあたりは、フィバ系デザインなら革リボンっぽく処理するんだろーなぁと思ったのでそんな感じに。

アルルも結構色んな衣装を着てますよね。

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【2009/09/02 22:52】 | 魔導・ぷよ系の話
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