「はてなどう」「ナラカ」「円環伝承」共用。書き手は ちゃすかとすわさきの二人。
無料WEBコミックは、アドレス変動したり公開停止されたりすることがままあります。
あくまで、この記事を書いている時点で無料で読める漫画ということでお願いします。

最近読んで面白かった、商業媒体の無料WEB漫画を、色々並べてみます。


メイドインアビス 【著:つくしあきひと】

世界に唯一残された秘境、アビス。
地底深く続くその巨大な空隙[くうげき]の中の世界には、未知のお宝や怪物たちが蠢いている。
多くの探窟家たちが探索に挑んだが、未だすべてが解明されてはいない。
というのも、危険な怪物が生息するだけでなく、より深く潜れば潜るほど、そこから地上へ戻る際の心身にかかる負荷が甚大となり、事実上、帰還が不可能になるからだ。
それでも挑戦する命知らずの探窟家は後を絶たず、アビスの周囲には巨大で雑然とした街ができていた。

主人公は12歳の少女・リコ。
探窟家の両親を物心つく前に相次いで亡くし、探窟家の遺児たち中心の孤児院で育った彼女は、見習い探窟家・赤笛の一員として、アビスの第一層で仲間たちとアイテムを回収する日々を過ごしている。
そんなある日、アビスの中で気を失った少年を拾った。見た目は人間と変わらない。しかし肌に触れた感触は、まるで金属。両腕は完全に機械だ。ロボットなのか?
目覚めた少年は自分のことを一切覚えておらず、リコと仲間たちは彼をレグと名付けた。

やがてリコは、脱走を決行して、アビス深部への冒険に行くことを決意する。
自分自身について知りたいレグも同行した。
レグがいれば、怪物や危険な自然からは守ってもらえるかもしれない。けれど負荷のため、リコは二度と地上には戻ってこられないだろう。
それを承知で彼女は行く。探窟家として燃える心と、アビスの底に消えた母に会えるかもしれないという淡い希望に従って。


竹書房の青年誌系無料WEBコミックサイト「まんがライフWIN+」で連載されている、冒険ファンタジー漫画です。
ゲームか長編アニメかでよくありそうな感じのお話。
昔から、漫画でこういう、マイナーネタ且つ壮大なのをやると、大抵途中で打ち切られちゃうものでしたが、これはWEB連載ですからその心配はないのかな。
是非 最後まで読みたいので、頑張ってほしいです。

現時点で、WEBサイトでは1~4話+最新話が読めます。
紙の単行本も出ていて、そちらには1~8話(リコとレグの旅立ち)までが収められています。

メイドインアビス 1 (バンブーコミックス)メイドインアビス 1 (バンブーコミックス)
(2013/07/31)
つくし あきひと

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絵は可愛いしキャラも魅力的。孤児院のリーダーはカッコイイ!
ただ、画面全体に画用紙みたいなテクスチャがかけてある。作者の本業はイラストレイターだそうで、漫画とは言え一枚絵として仕上げることにこだわりがあるんだなと推測しますけど、モノクロ漫画でそれやっても、画面が薄黒くなって見辛いだけなんで、出来ればやめてほしいなぁ。


恋のまえにクロワッサン、愛のあとには目玉焼き。 【著:秀良子】

小学館の青年誌系無料WEBコミックサイト「やわらかスピリッツ」で連載されているエッセイ漫画です。

仕事に追われてマトモな食事も摂れない作者に、WEB連載を持ちかけた担当編集者は告げた。

「ひきこもりの漫画家が、おいしい朝ごはんを食べに西に東へ出かけて行って、レポする漫画にしましょう。」
「自腹で。」


というわけで、パリだの沖縄だのに自腹で出かけて行っては、名店での朝ごはんを漫画でレポート。
作者の自画像がユニークで、生々しさや気取った感はなく、けれど背景はしっかり描きこまれており、旅行漫画としても十二分に楽しめます。
なにより、紹介されている朝ごはんが美味しそう…!!

が。
やはり自腹でってのは無理がある。
連載中盤になると、出かけられなくなる作者。
すると編集者たちが比較的近場へ連れて行ってくれたり、同行してガイドしてくれたりするようになります。
自腹な作者に対し、恐らく経費が出ているのだろう編集者たちがタクシー使いまくりなのが憎らしい(苦笑)。

キャラクター化した編集者たちが旅の同行者としてレギュラー的に活躍している感じは、宇野亜由美の旅エッセイ漫画『アジア行かされまくり』『リゾート行かされまくり』にも近いです。(あれみたいに、漫画家と編集の仲がギスギスはしてませんが 笑)

そうこうするうち、連載に人気が出て紙の単行本になることになり、ご褒美に経費でハワイに連れて行ってもらえることになって、最新話はハワイの朝ごはんになってました。よかった! と、変な所で安堵したり。

今月末に『おしゃべりは、朝ごはんのあとで。』とタイトルを変え、紙の単行本が出るそうです。
現時点ではサイトで全話が無料で読めるんですが、単行本が出たらその分は削除されて、タイトルも単行本に準じたものに変わるのかな?
なので、無料で読むなら今のうちです。


トド彼 【著:高嶋あがさ】

同じく、小学館の青年誌系無料WEBコミックサイト「やわらかスピリッツ」で連載されている、ゆる系四コマ漫画です。

アラサー地味系OL・茶山優子は、密かに同僚男性と同棲している。
その彼、トド山たつおは、名前の通りトドだった。

人間と様々な擬人化動物が、現代日本社会で当たり前に共存し、何の区別もなく会社や学校を共にしている、独特な世界観です。
しかし、人間キャラの個性を動物デフォルメで表現していると解釈して、普通のアラサー同棲カップル日常漫画として読んでも、全く問題ありません。おすすめ。

これも今月末に紙の単行本になるそうです。
現時点では、サイトで全話無料で読めますが、単行本が出たらその分は削除されるのかもしれません。読むなら今のうちです。

なお、同一世界観で、他のカップル達の日々を描いた外伝シリーズ『ダーウィンからの手紙』も、同サイトで連載中です。


弾丸ハニー 【著:皆月つなみ】

G-mode運営の少女誌系無料WEBコミックサイト「COMIC ポラリス」で連載していた、可愛くてコミカルな少女漫画です。
先日連載終了したところで、紙の単行本は二巻まで出ており、恐らく三巻で完結になります。
よって、三巻が出ると、今WEB上で無料で読める部分も削除されてしまうと思われますので、これまた読むなら今のうち、です。

おませな保育園児・梨乃は「しあわせな結婚」を夢見ている。そんな彼女が見染めたのは、給食センターの栄養士・和樹(22歳)。
最初は、イケメンで資格もちというところに惹かれたのだけれど、よくよく見れば、少年時代のトラウマから女性が苦手で、いつも下を向いて歩き、職場にもなかなかなじめない残念っぷり。ナイーブな青年なのだ。
ふつふつと湧きあがった感情そのままに、梨乃は彼に告げた。

「わたしが結婚して ずっとあなたを守ってあげるわ!!」


周囲の大人たちは笑うばかり。でも、梨乃は真剣なのだ。
かくて、正面一直線の、弾丸のようなアタックが始まった。

弾丸ハニー1 (Flex Comix フレア)弾丸ハニー1 (Flex Comix フレア)
(2012/11/12)
皆月 つなみ

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梨乃は年相応の子供ですが、揺らがない芯のような強さがあって、そこが大人に劣りません。
対して和樹は、優しく誠実なお兄さんだけれども、ちょっと内向的で女性が苦手な草食男子。相手が子供だからと軽んじた対応をしない(できない)不器用ぶりです。
そしてこの物語は、将来成長した梨乃が和樹と結ばれる未来を前提して描かれています。
年の差が二十近くもあるんですけど、なんだか違和感がないんですよね。
和樹は独立して食堂を開く夢があって、明るくしっかりして社交的な梨乃は、その奥さんにぴったりなんだなぁ。
勿論、最後はハッピーエンドです

物語開始時点で「幼女と青年」くらい年の離れたカップルを描く漫画は色々ありますが、「疑似親子・兄妹関係がない」「幼女時代からヒロインに芯があり、成長して青年と結ばれる結末に違和感がない」「作風に明るい力強さがある」という点では、古い漫画ですが、ひかわきょうこの『荒野の天使ども』とその続編『時間をとめて待っていて』を思い出す感じでした。


続ハーメルンのバイオリン弾き 愛のボレロ 【著:渡辺道明】

電子書籍の自主製作・販売サイト「パブー」、もしくは作者の公式サイトから、プロの漫画家さんが自主配信している少年漫画です。

現在、更新は作者公式サイトでのみ行われているようですが、更新停止しているパブー配信版の方が読み易い気がします。(公式サイトのは漫画の画像が大きすぎて、私の環境だと読みづらいです。)

黎明期の『少年ガンガン』の柱連載の一つで、劇場版・TVシリーズとアニメ化もされた人気漫画『ハーメルンのバイオリン弾き』(全37巻)の続編。
少し前に子供世代を描いた続編『ハーメルンのバイオリン弾き〜シェルクンチク〜』が『ヤングガンガン』で連載され、打ち切り終了してしまいましたが、それと本編とを繋ぐ、本編の最終決戦直後の物語です。

七話までが無料で、以降は有料。
また、紙の単行本が一部書店とAmazon、作者公式サイトで販売されています。

続ハーメルンのバイオリン弾き 1巻 (ココカラコミックス)続ハーメルンのバイオリン弾き 1巻 (ココカラコミックス)
(2013/08/10)
渡辺道明

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無印の本編の方は絶版になってるようですが、作者の公式サイトで、現時点で5巻分まで無料立ち読みできるようです。残りも毎月アップされていくらしい。
名作なので、未読の方には是非お勧めしたいです。ド外道な主人公に調子を崩されるギャグ漫画でもあり、壮大でシリアスなダークファンタジーでもあり、運命に翻弄される悲劇でもあり、それでも屈しない志や、様々な愛を描く感動の物語でもあり。読んで損はしません。
非常に独特のノリがある漫画です。その辺は『続ハーメルン~』からも感じ取れるかと思います。
ライエルが好きだったなぁ。
そこから続けてこの続編を読むと、より感情移入できるんじゃないでしょうか。


息子の嫁 【著:忍】

秋田書店の少年誌系無料WEBコミックサイト「Champion タップ!」で連載中の漫画。

49歳、チョイ悪オヤジ一人暮らしの高校教師、村正 縁[ゆかり]。
妻とは離婚し、一人息子の巽[たつみ]は十年前に出て行ったきりだ。
そんなある日かかってきた、見知らぬ女からの電話。

「伝えておいた方がいいと思って……
 アナタの息子さんが
 死にました」


教えられたアパートを訪ねた縁が見たのは、生活道具すらろくにないボロボロの四畳半で、骨壷を抱いて眠っている痩せたみすぼらしい少女だった。桃という名で、16歳だと言う。

「私は……
 巽さんの妻です」



あらすじを書き出してみると暗く思えますが、漫画は随所にコミカル要素が組み入れられていて、決して暗くはないです。
いわゆる、血の繋がらない成人男性と少女の疑似親子ものにカテゴライズされるのかと思いますが、連載が始まったばかりなので、どの方向に転がっていくのかは判りません。
同居することになる血の繋がらない少女が《息子の嫁》だという関係は斬新だと思います。

桃はワケありらしく、頑なに自立していこうとするんですけど、あまりにも頼りない。お腹を減らしてよろよろしているヒヨコみたいです。(ひどい例え?)
これはほっとけない。

こういうシチュエーションだと、少年・青年漫画なら淫猥な方向に描かれがちなものですが、この漫画家さんの作風はサッパリしていて、少しもそういう雰囲気がないので安心できます。
ハートフルな展開になってくれるといいなと思います。

この漫画家さんは「ガンガンONLINE」で連載している『ヤンデレ彼女』も可愛くて面白いです。


コンプレックス・エイジ 【著:佐久間結衣】

講談社の青年誌系無料WEBコミックサイト「モアイ」に掲載されている、読みきり漫画です。第63回ちばてつや賞の入選作だとか。
大賞作は別にあって、そちらの方が大衆性があるんですが、個人的に印象に残ったのはこちらの方でした。

主人公は三十代半ばの既婚女性。
彼女には15歳の頃から続けてきた趣味があった。だが、その趣味には相応しい年齢というものがあるのだ。自分がそれを超えたと自覚した時…。

人間は誰しも老いるし、変わらざるを得ない。
程度の差はあれ、誰もがこういう経験をし、あるいはすることになるのではないでしょうか。

それでも読後感が明るいのは、主人公が仕事や家庭でしっかりとした基盤を作っており、揺るがず愛してくれる人がおり、それらが支えてくれるからなんだなぁと思いました。


ニャンコロカムイ 【著:樹るう】

竹書房の青年四コマ誌系無料WEBコミックサイト「まんがライフWIN」で連載中の四コマ漫画。
アイヌ伝承の英雄・ポイヤウンペに想を得たファンタジーです。

神にも劣らぬ剛腕の英雄、ポイニャウンペことポイニャン。
強くたくましく、美しき妻を持ち……。
ところがある日、昼寝から目覚めると、コロコロもふもふの愛らしい半ネコ人間になっていた!?

サイトでは1~3話+最新三話が読めるようになっています。
ポイニャンの(あらゆる意味での)大人物ぶりや、その妻の天然にして夫至上主義ゆえのズレっぷりが楽しく、彼らに関わってくる様々な神々や精霊も面白いです。

紙の単行本も出ています。

ニャンコロカムイ 1 (バンブーコミックス WIN SELECTION)ニャンコロカムイ 1 (バンブーコミックス WIN SELECTION)
(2013/07/05)
樹 るう

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入院ノート 【著:火村正紀】

スクエア・エニックスの少年誌系無料WEBコミックサイト「ガンガンONLINE」で連載中のエッセイ漫画。

作者自身が癌になり、その闘病生活を漫画形式で描いているものです。
こういう、重い現実を描いた漫画を「面白い」と言ってしまうのは不謹慎になるのだと思うんですが、どういう表現が適切になるのでしょう。
治療の様子が細かく判るのは興味深いし、更新も早いので、気になって読んでしまいます。
深刻な事態を、犬の自画像で明るく、時にユーモラスにさえ描いているのは、流石はプロの漫画家だなぁと感心しますし(読者の目を常に意識しているというか)、そのしなやかさに希望を感じもします。
完治までが描かれることを祈ってやみません。


プロの漫画家が描いてWEBで無料連載していた癌の闘病エッセイ漫画というと、秋本尚美の『HEAVEN'S DOOR』というのがありました。(かつてあった、朝日新聞出版のWEBコミックサイト「ホラー&ファンタジー倶楽部」での連載だったかと思います。)
現在は、紙の単行本が出たのでWEB掲載分は削除され、無料では読めなくなっています。
本人の闘病記ではなく、長年の親友が癌になり、彼女の家族や恋人らと共に身内の立ち位置で関わり、戦い、看取った、数年前の日々を、淡々と、けれど精緻に回顧した内容です。親友の人となり、生き方、いかに愛され、愛すべき人物であったかが、明るく強く描き出されています。


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だいらんど 【著:がぁさん】

絶版本をデジタル書籍化する無料WEBコミックサイト「Jコミ」で公開されている漫画。広告を挿入することにより、著者に利益を与えています。

元は青年誌に連載されていたものですが、異色作です。
ハリウッド映画にしてもよさそうな、しっかりまとまった骨太のファンタジーであり、ラブストーリー。
でも絵はすっきり見易くて、可愛さや明るさがあります。

主人公は、三十半ばの半端者のヤクザ、正雄。
みじめな敗走の末に敵対するヤクザに撃たれる寸前、彼は何故か、花や動物やお日様さえ顔が付いていて歌う、童話ミュージカルのような世界に迷い込んでしまう。
これは何者かの陰謀か。元の世界に戻るため、この世界を支配するという夜の王様に会うべく、正雄はこの世界「だいらんど」の六つの国を旅することに。
そんな彼の後には、(正雄にとっては成り行きで)妻となった《童話の国のお姫様》メリーアンが、不思議な芯の強さを見せて健気に従っていた。

ディズニー映画や、1939年のミュージカル映画『オズの魔法使い』を好きな人なんかはハマりそう。
でも『オズの魔法使い』が、夢は儚く覚め現実が始まるというオチだったのに対し、この漫画は、意思と行動で夢を現実に引き戻す結末です。

ずっと昔、世の中にまだブログというシステムも存在せず、サイトの日記に無料WEB日記を使っていた頃に、この漫画のレビューを書いたことがあります。
つまり、私はこの漫画の紙の単行本を(今も)持っています。

すごい名作だと思っていて、なのに殆ど世に知られていないのが残念でした。
今は無料公開されて気楽に読めて、なかなかの人気を博したようで。(Jコミの「お気に入り」総合ランキング一位です。)嬉しいけど、ちょっとさみしいような気も?(笑)
読みでがあるし、面白いし、絵は可愛いし、爽やかに感動できるし。とってもオススメです。

あ、そういえばこの漫画も、二十歳前後の年の差カップルのラブストーリーですね。


ゼリービーンズ 【著:ふくやまけいこ】

こちらも、絶版本を無料配信する「Jコミ」で公開されているものです。
この漫画が掲載されていたのは『リュウ』という徳間書店の雑誌。アニメ誌の『アニメージュ』の増刊誌でした。つい最近新装復刊されてますね。
今でこそ、SFやファンタジーなど非日常を扱った漫画は少しも珍しくありませんが、昔はとても珍しかったし、まして、そういう漫画の専門誌というのは、すっごく珍しかったのです。そういう雑誌に載っていた漫画です。

人類が宇宙にも進出している時代。
25歳のアメリアは、図書館で働きながら詩集を自費出版し、独り暮らししている。
そんなある日、エリスと名乗る少女が前触れもなく訪ねてきた。
この時代、人工授精で生みだされる子供は少なくない。アメリア自身もそうだ。
エリスは義務的に提出したアメリアの卵子から生まれた子供で、11歳になって遺伝上の親に会う許可が出たため、学校の休暇を利用して遊びに来たのだと言う。
放り出すわけにもいかないので家に入れたが、アメリアは不干渉で通そうとする。だが次第に心ほだされ……。
最終的に、アメリアが遺伝上の母だという情報は間違いだったことが明らかになるが、二人の間には遺伝子とは無関係の仄かな絆が生まれつつあった。

以降、アメリアとエリスの疑似親子的な日常を描いたり、アメリアの過去を掘り下げたりしつつ、二人が本当の親子になるまでを描いています。

最近の、綺麗にトーンが貼られた漫画に親しんでいる人には、少し取っつきづらく感じられるかもしれませんが(なにしろサインペンで描かれている)、読みだせば気にならないと思います。
作家の田中芳樹がこの漫画の大ファンで、エリスをモデルにした少女の出る小説(夏の魔術シリーズ)を書いて、挿絵をふくやまけいこに依頼しています。

私は、この漫画の新装版の紙の本を持っています。
この漫画家さんのファンですが、結構絶版になってる本が多くて、田舎では集めるのは大変でした。
なので、今こうして無料で閲覧できるようになったのを見ると、嬉しいけどちょっと悔しい(苦笑)。

この漫画家さんの絶版作品では『チカチカ☆ミミちゃん』もおススメですね。
書店で買える近年の作品では『オリヒメ』『ヒコボシ』という対の短編集がとてもいいです。
安房直子(小学校の国語の教科書に載ってる『きつねの窓』の作者)系の短編小説が好きな人なら、なおハマるだろうと思います。
可愛くて心温まってちょっとセンチメンタルで、時に少し怖い。
オススメです。
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【2013/09/13 00:21】 | すわさき・感想
【タグ】 漫画の感想  
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とりとめもなく並べてみます。

甘々と稲妻(1) (アフタヌーンKC)甘々と稲妻(1) (アフタヌーンKC)
(2013/09/06)
雨隠 ギド

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主人公は高校で数学を教えている教師、犬塚公平。1年A組の副担任です。
つい半年前に妻を亡くしたばかりで、五歳の愛娘、つむぎとの日々を奮闘しています。
掃除も洗濯も、ぎこちなくはあっても頑張っている。つむぎは、一人で着替えもできるし、だだもこねずに元気に保育園に通っている。
でも、自炊だけはダメ。料理をしたことのない犬塚は、保育園のお弁当を冷凍食品中心で作るのが精一杯で、美味しい夕飯なんて作れません。

そんなある日、クラスの女生徒、飯田小鳥と奇妙な縁ができ、一緒に夕飯を作って食べることに。
トラウマから包丁を使えず、そのため料理も自分ではしたことのない小鳥は、けれど料理研究家の母を持ち、味覚や見て覚えの知識はかなりのもの。
食材を切る人・犬塚。監督と味付け・小鳥。お手伝い・つむぎといった役割で、小鳥の母に書いてもらったレシピや、小鳥の記憶を頼りに、不器用に、時に右往左往しながら調理に挑みます。

毎回、ささやかな日常ドラマを挟みながら、料理を作る楽しさ、一緒に食べる嬉しさ、愛しい者に美味しい顔をさせる喜びを噛みしめる漫画です。

…って、私がウダウダ説明するよりも、とにかく読んでもらった方が早い。
講談社の公式サイトで、第一話が丸々試し読みできますので、是非読んでみてください!
すっごくオススメです。

雨隠ギド『甘々と稲妻』 そのいち 制服とどなべごはん講談社 モーニング・アフタヌーン・イブニング合同Webコミックサイト モアイ

も~~うとにかく、五歳のつむぎちゃんが可愛いっ、のです!
毎回の最大の見どころは、彼女の「美味しいっ」て表情です。
一巻の帯に載せられた「全国の書店員さん」たちのコメントの中に

「たべるとこみてて!!」って
おとさんに言う
つむぎちゃんに、
おとさんじゃなくても
ウルッとしちゃいます!!


というのがあるんですけど、まさにそれ!

それから、女子高生の小鳥ちゃん。
母子家庭で仲の良い母が、料理研究家として忙しくなってしまって。頭では仕方ないと思っているけれど、どこか寂しい。
その寂しさを、つむぎ(子供)を愛する犬塚(親)の姿を見ることで、彼女は癒しているんだなぁと感じました。

こうしたストーリーのお約束通り、彼女は犬塚に仄かな恋心を抱くことになるようだけど、個人的には男女の関係にならず、今のほのぼのとした先生と教え子の関係を続けてほしい気がします。


あと、これはナラカ(テイルズ オブ ジ アビス ジャンル)側から読みに来ている方だけに言いますが、子ルークものの同人二次創作が好きだった方は、結構ハマるんじゃないかと思います(笑)

二巻冒頭に載ることになるだろう、野菜のグラタンを作る話のつむぎは、もう殺人級に可愛いです。
おとさんと小鳥ちゃんの依頼を受けて、ペシャメルソースがダマにならないおまじないの歌を歌ってくれるのです

-------------

もう一つ。
これも、奥さんを亡くしたばかりのやもめ男と、幼稚園児の娘のほのぼの日常漫画。
父とヒゲゴリラと私 1 (バンブーコミックス)父とヒゲゴリラと私 1 (バンブーコミックス)
(2012/06/16)
小池 定路

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この記事を書いている時点で、二巻まで出ています。

こちらでは、父(草原総一)と娘(草原みちる)の傍に入ってくる「もう一人」が、髭面のごついオッサンです(笑)。
在宅仕事をしている実弟(草原晃二)が、兄に頼まれて同居するところから始まる、ほのぼの四コマ。みちるは、このおじさんを「ヒゲゴリラ」と呼ぶのでした。

絵がちまちまっとして見やすくて可愛いです。
元気なみちるの日常。幼稚園のゴリラ恐怖症の西原先生と、ヒゲゴリラこと晃二の仄かな恋愛フラグ。そして総一の会社での日常。彼は部下の女子社員、比和つかさと地味に恋愛フラグ立ってると思うんですけど、二巻現在、本人達すら全く気付いていません(笑)。

読んでいてほっこりした気分になれる、いい漫画だと思います。
これもオススメ。

【2013/09/10 22:31】 | すわさき・感想
【タグ】 漫画の感想  
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面白いと思う無料WEB漫画。


Jコミ

ご存知、絶版になった漫画をWEBで無料公開し、広告収入を直接漫画家さんに贈るという、スゴいサイトです。
漫画家の赤松健さん主催で、ご自身の漫画『ラブひな』も全巻無料公開中という太っ腹ぶり。

何が凄いって、ビューワー閲覧だけでなく高解像度でのPDFダウンロードも自由ってところと、漫画のほんの一部ではなく、頭から終わりまでの全巻が無料でちゃんと読めるところです。

絶版漫画なんて、古かったり大して面白くなかったりするんじゃないか。なにしろ無料で公開するようなものなんだもの。
なんて危ぶんでいたんですが、いざ読んでみると、古くなんてないし面白い!
逆に、こんなに面白い漫画でも絶版になるんだと、世知辛い気分になったものでした。
これは、意識的に広告クリックして漫画家さんにお金を入れなければという気分にさせられます。

目下[もっか]のお気に入りは『交通事故鑑定人 環倫一郎』です。

まだそんなに作品数は多くはないですが、増えて行ってくれるといいなぁ。
単行本になっていないようなマイナー系漫画家さんの短編のWEB公開みたいなのも、いつかやってくれたらいいなぁなんて期待してしまいます。


先生と僕 ~夏目漱石を囲む人々~(Yahoo!コミック)

夏目漱石と、彼と交友した人々を、変にドラマじみた脚色はせず、でも面白おかしく描いた四コマ漫画。
漱石豆知識、という感じ。
絵に癖が無くて、クリアで読みやすいですし、四コマに毎回、漫画家さんのコメント(というか、最早ミニコラム)が付いているのもとっても良い。

この漫画、書店で単行本一巻をたまたま入手して、大変面白いと思い、連載はWEBでされているものだと知ってチェックするようになりました。
読むのが楽しみな漫画です。

それはそうと、この漫画家さんは漱石の奥さんのことは、嫌ってもないでしょうがそんなに好きでもないのかなぁ、と時々思います。気のせいかもしれません。


中国嫁日記
ツイッターなど、WEB各所で口コミ人気沸騰の大人気漫画ブログさん……という認識でいいのかな?

いわゆる国際結婚エッセイ漫画です。
漫画を描いているのは旦那さん。奥さんは若い中国の方で、彼女との生活を、基本突っ込みで描いています。
夫婦仲がとっても良くて、読むと幸せを分けていただける感じです。

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パエトーン(潮出版社)

『日出処の天子』で知られるベテラン漫画家・山岸凉子が、福島原子力発電所で現在も発展中の事故に際し、自身の読み切り漫画一本を、出版社の公式サイトから無料公開しています。
この漫画『パエトーン』は1988年、今から20年以上前のチェルノブイリ原発事故の際に描かれたもので、原発事故に関する学習エッセイ漫画のようなものです。

私はこの漫画家さんのファンなので、この漫画も以前から読んでいました。
それでか、今回の事故の際、この漫画のコマの一つが、しきりに頭に浮かんだものでした。
事故の起きたチェルノブイリ原発の中で軽装で働く作業員たちへ向けた

「この人たちは今 目に見えない火(死の灰)で焼かれているのです」


という手書き文字の言葉。
何故だかそれがとても鮮烈に印象に残っていたからです。

この漫画は20年も昔のものですから、今とは合致しない情報もあるでしょう。
けれど、一つの参考にはなるものだと思います。

【2011/03/29 21:04】 | すわさき・その他
【タグ】 漫画の感想  
トラックバック(0) |
漫画家が漫画にまつわる自身の半生を漫画化した漫画家漫画。
(なんか早口言葉か掛け言葉みたいですね 汗)

絵も語り口も軽くエッセイ風に書かれたものもあれば、重~い自伝もあり、時にドラマチックに脚色され、脚色が過ぎて半ばフィクションになっているものもある。

そんな漫画家漫画の何本かを、ざーっと紹介しつつ適当な感想を並べてみようかと思います。
なお、漫画家が主人公なだけのフィクション漫画は含みませんのでご了承を。



まんが道 (1) (中公文庫―コミック版)まんが道 (1) (中公文庫―コミック版)
(1996/06)
藤子 不二雄Ⓐ

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最初はやはりこれ。漫画家自伝漫画の金字塔『まんが道』です。
児童漫画の大家・藤子不二雄Ⓐが、かつて藤子・F・不二雄と二人一組の「藤子不二雄」だった頃の、出会い、デビュー、挫折、再起を、ある程度フィクションを交えつつ描いた自伝的青春物語。
1950年代を中心に描かれています。
主な舞台であるトキワ荘は、後に名を残した若き漫画家たちが集った、昭和漫画史の梁山泊として知られるようになりました。

藤子不二雄のみならず、手塚治虫や石ノ森章太郎、赤塚不二雄といった有名漫画家たちの人となりや知られざるエピソードを垣間見ることとが出来る。それも魅力ですが、もう一つの大きな魅力は、藤子不二雄が当時描いていた漫画の一部が再録されていて、作中漫画として実際に読むことが出来ること。当時本当に雑誌掲載されたものですから完成度が高い。一粒で二度美味しいと言うやつです。

ただ、現在連載中の続編『愛…しりそめし頃に…』は、コンビ解消で版権的問題があるのか、藤子不二雄Ⓐ側の漫画しか再録されないのが残念なところ。

ちなみに、アシスタントが藤子F視点から藤子不二雄伝を描いた『ハムサラダくん』という児童漫画もあるんですが。これは途中から完全フィクションになってしまっているのだとか。
こちらの漫画は子供の頃一度読んだことがあるきりですが、コピーと切り貼りを多用して漫画を大量生産していた、(某人を連想させる)人気漫画家を批判していたあたりを覚えています。あれは藤子不二雄のではなく、作者のヨシダ忠自身の体験が元になってたんでしょうか?







愛…しりそめし頃に…―満賀道雄の青春 (1) (Big comics special) 藤子不二雄物語  ハムサラダくん   ~完全版~  上 (レジェンドコミックシリーズ―ポケットレジェンドコミックス (14))
愛…しりそめし頃に…―満賀道雄の青春 (1) (Big comics special)
(1997/03)
藤子 不二雄A
藤子不二雄物語 ハムサラダくん ~完全版~ 上 (レジェンドコミックシリーズ―ポケットレジェンドコミックス (14))
(2007/01/25)
吉田 忠




ボクの手塚治虫 (講談社文庫)ボクの手塚治虫 (講談社文庫)
(1994/01)
矢口 高雄

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『釣りキチ三平』で知られる矢口高雄が、毎日中学生新聞で連載していた、自身の子供時代を描いた自伝漫画『オーイ!! やまびこ』のうち、手塚治虫や漫画に関する思い出部分をまとめたもの。手塚の死に際して、追悼的な気持ちで特別編として描かれたものだそうです。

矢口高雄は秋田の雪深い山村に生まれ、それゆえの苦労と、反面で豊かな自然を享受して育ちました。体は小さいながら学校の成績は優秀で、中学では生徒会長を務め、生徒教師一丸となって多数の行事を企画実行。高校卒業後は銀行に就職し妻子も得ていました。しかし組合の争議に嫌気がさして辞職、子供の頃からの夢だった漫画道へ進むことを一念奮起し、30歳にして遅咲きのデビューを果たしたのでした。

『ボクの手塚治虫』では、そんな作者の小学生時代(1940年代後半~1950年代)、山奥の村でいかにして漫画に出会い、惹かれ、それを入手するために努力したかが、生き生きとした筆致で描かれています。
手塚治虫の漫画に衝撃を受け、それが漫画道の入口となる点は藤子不二雄と同じですが、ファンになった手塚の漫画を読み続けるための苦労が、都市に住む子供たちとは比較になりません。

手塚漫画に飢えていた頃、遊びに来た親戚の子が持っていたボロボロの単行本『メトロポリス』。手塚治虫の名作です。
男にも女にも変化できる有機アンドロイド、ミッチイと、クラスメートのケンイチ少年との友情と愛情。自身が人間ではないと知ったミッチイはロボットたちを引き連れて人間に戦争を仕掛け、ケンイチと対立することになります。戦いの果てに、ついにケンイチを殺そうとするミッチイ。土壇場で彼女の体が崩壊をはじめ、摩天楼の上からまっさかさまに……。
ボロボロの本はそこから後のページが欠落していました。
けれど高雄少年は結末を色々と想像しては、二次元の少女ミッチイに淡い想いを馳せるのでした。

手塚漫画にすっかりまいった高雄少年は、漫画誌を買うために、小さな体で杉皮担ぎと言う重労働のアルバイトをこなして日銭を稼ぎ、自転車を片道20kmも走らせては町の書店まで急ぐのでした。

当時の山村の風俗史としても価値ある漫画です。人間の健やかさやたくましさ、日々への愛情があり、あらゆる意味で教科書に載せてなんらおかしくない逸品。別の新聞で連載した、作者の中学時代を描いた自伝漫画『蛍雪時代』も素晴らしい内容です。
文庫化されていて入手し易いと思うので、機会があればぜひ読んでみてください。お勧めです。

蛍雪時代―ボクの中学生日記 (第1巻) (講談社文庫)蛍雪時代―ボクの中学生日記 (第1巻) (講談社文庫)
(1999/03)
矢口 高雄

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青春少年マガジン1978~1983 (KCデラックス)青春少年マガジン1978~1983 (KCデラックス)
(2008/12/17)
小林 まこと

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『週刊少年マガジン』創刊50周年を記念して、かつて看板漫画家だった小林まことが、その頃の仕事や仲間について、現在の視点を交えつつ回顧したもの。タイトルにある通り、1978~83年の5年間を主に語っています。

ユーモラスに語られていますが、過酷な話です。
大きな賞をとってデビューし初連載が大ヒット。漫画家仲間にも恵まれて順風満帆。
しかし物理的にほぼ不可能な連載体制で、ろくに眠らずマトモな食事もとらずという生活を半年続けた結果、一日中頭痛、翌日は嘔吐、翌日は鼻血が止まらなくなり…。
それでも一週間寝込んだだけで連載は続きます。精神的に不安定になり、飛び降りてしまいそうな気がして必死に鉄柵を握りしめたこともあったとか。
正直、この辺りのくだりを読んでいて、出版社側が平気であまりに過酷すぎる要求をし続けていることに戦慄しました。若いから眠る時間もなくても半年は耐えている。それにしても、頭痛や鼻血滂沱の状態まで追いつめるなんてただごとじゃありません。漫画家はしょせん消耗品なのか……。(ただ、小林まこと自身には編集記者たちを恨むような気持ちがさしてないようです。上手く肩の力を抜くことも出来る方なんですね。)

小林まことは波を乗り切り、青年誌に移ってからもヒット作を生み続けました。けれどこの回顧録は、波に呑まれていった盟友たちの姿をも描いています。

同じ雑誌で連載し、友としてライバルとして交友を深めていた小野新二と大和田夏希。編集者に「新人3バカトリオ」と呼ばれたほど仲が良かった。
彼らも数十年漫画を描いて、終生漫画家であり続けましたが、その終わりは苛烈なものでした。
小野新二はハードスケジュールで描き続け、様々な病魔に襲われるも漫画を優先。致命的に体を壊し、連載を終了して入院してすぐに亡くなったそうです。
大和田夏希は人気取りレースに疲れて精神を病み、持ち直したり再び揺れたりを繰り返しながらも漫画を描き続けていましたが、自ら命を絶ちました。

こうまでして漫画に打ち込んだ彼ら。
彼らは消え、しかし新たな漫画家たちが現れ、そうして消えては現れてを繰り返している。
巨星にはなれずに消えていく星も数多い。
当たり前のことですが、消えていった星にも焼けつくような熱があり、眩さがあったのだ。そのことを、改めて感じさせられる漫画でした。




アオイホノオ 1 (ヤングサンデーコミックス)アオイホノオ 1 (ヤングサンデーコミックス)
(2008/02/05)
島本 和彦

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小学館の『サンデー』系列で活躍する漫画家、島本和彦が、自身のデビュー直前の大学時代(1980年代初め)を、大幅なフィクションを加えつつ語った自伝的漫画。現時点でまだ連載中。

『まんが道』で藤子 不二雄Ⓐが自身を「満賀道雄」というキャラクターに変えたように、本作では島本和彦は「炎燃[ほのお もえる]」というキャラクターになっています。

これ以前の漫画家たちの自伝と大きく異なること。
それは、《アニメ》の存在感がとんでもなく大きくなっていることです。
藤子不二雄や矢口高雄も手塚治虫の漫画に夢中になっていましたが、それは対個人への崇拝。アニメや特撮といった、作者が曖昧で認知度の非常に高いジャンルに夢中になり、自分のもののように分析したりパロディを描いたりする若者たち、いわゆる《オタク》が現れ、次第に層を厚くし始めた萌芽の時代。発売されたばかりのβビデオがある家庭は希少で、TV番組とは基本的に一期一会ですから、オタクの気合いの入りぶりも熱い。
炎燃もまたその一人。また、芸大の映像学科に通っていた関係で、周囲にもそんな友人が多くいました。

そして、語られているあれやこれやのエピソードが、とにかく痛いです(苦笑)。いい意味での、キモチイイ痛苦しさ。
アニメや漫画のキャラの言葉が座右の銘だったり(でも周囲には理解してもらません)。一読者なのにえっらそーに作品批評してみたり、この漫画の良さが解るのは自分だけと自負してみたり。根拠もなく自信満々で大言壮語を吐き、内心で現実との乖離に怯えてみたり。

意気揚々と上京して漫画の持ち込みに行って、貶されも冷たくもされなかったけれど特に称賛されることもなく、手ごたえのなさに何だか凹んで、価値のない漫画を苦労して描いてたんだと、しばし漫画道から遠ざかるエピソードが印象的でした。そう、若者って繊細なんですよね。

他にも、いまひとつ理想的に会話できなくて後悔したり。女の子を喜ばせようと全力で芸人のものまねをやってウケたけれどなんだか屈辱を覚えたり。思い当たることのある人の多そうなあれやこれやを、例の熱血節で描いています。


ところで、大学の同期生に後にアニメスタジオ「ガイナックス」を設立するメンバーたちがいたということで、この漫画、1/3くらいはガイナックスメンバーの伝記にもなっています。その点でも興味深いかもしれません。




私の血はインクでできているのよ (ワイドKC キス)私の血はインクでできているのよ (ワイドKC キス)
(2009/02/13)
久世 番子

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新書館のオタク少女向け漫画誌『月刊ウィングス』でデビューし、仕事エッセイ漫画『暴れん坊本屋さん』で人気を博した久世番子の、漫画をテーマとした自伝エッセイ漫画。描かれているのは1980年代後半~1990年代かと思います。

掲載誌が講談社の女性誌なので、新書館の頃のような目立ったボーイズ・ラブネタが入っておらず、その意味で安心して他人に勧められる内容です。

現在の作者の視点から、『アオイホノオ』と同系の痛苦しさ(黒歴史と言うべきか?)が、軽いタッチでユーモラスに語られ……いえ、「つっこまれて」います。
時代が進み、アニメオタクの層もいよいよ厚くなって、同人誌即売会も当たり前。漫画の仲間たちとの青春はそこにあり、実に沢山のアマチュア漫画描きたちがいる。そんな中から、一念奮起で羽ばたいてデビューへ。

変化していく時代を感じさせられます。
とは言え、幼少期に肉筆回覧誌を作って周囲に見せていた辺りは藤子不二雄と同じで、50年の時代を経ても、漫画描きには変わらぬ血も流れているのだなとも思えます。

【2011/01/21 20:37】 | すわさき・感想
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最近好きな無料WEB漫画をだらだら並べてみる。



商業もの

楽園番外地/桑田乃梨子(ウェブマガジン ウイングス)
好きな漫画家さんなので。
掲載誌が休刊してしまい単行本も一巻が出たきりでどうなるかと思っていましたが、無事WEBで再開。
ちなみに、一回一回読むよりある程度まとめて読んだ方がおもしろさを感じる漫画のような気がします。つまり単行本最強。とりあえず連載が続くことで単行本続刊可能になったのでよかった。

大柄で空手部で表情筋が固くて思ってることと見た目が裏腹で、周囲からはちょっと怖いと思われている自己完結気味の女子高生が、一学年先輩でちっちゃくて表情豊かでほんのり腹黒で、森の小リスのように働きものの男子高生に片思いする話。
ほのぼののような、ほんのりシュールなような。いつもの桑田節で、何とも言えない味わいです。

三蔵法師の大唐見聞録/諏訪緑(Yahoo!コミック)
この漫画家さんがむかーし描いた『玄奘西域記』という、『大唐西域記』に想を得た長編漫画がありました。
『大唐西域記』は七世紀に唐からインドへ取経の旅に出た玄奘三蔵の旅行記。玄奘三蔵はご存知のように三蔵法師のモデルになった実在の人物で、伝奇『西遊記』は彼の旅をファンタジーに大幅脚色して創作されたものです。
『玄奘西域記』は高僧・三蔵法師ではなく、高僧である兄の護衛兼通訳として取経の旅に同行した青年・玄奘を主人公とし、彼が僧となるまでの長い旅路を描いています。旅行記・歴史物語・青年成長譚としても楽しめる名作でした。(ボロボロ泣きました、私。)
で。つい最近ひっそり連載の始まっていたこの漫画は、その直接的な続編です。
出版社が変わっているせいか、続編であることは一切書かれていないんですが、内容はそのまま引き継がれていて、唐へ帰った玄奘が唐の中を(恐らく数ヶ月)旅する物語になっています。尉遅 敬徳絡みの模様。

正直、タイトルに「三蔵法師の」と入っているのは逆効果ではなかろうかという気がしなくもないんですが…。(ストーリー漫画とは思わず、ガイド漫画かエッセイ漫画か何かかと思いました。)

ともあれ、面白さは変わりないです。先に『玄奘西域記』を読んでおくと面白さが割り増すと思います。

舞勇伝キタキタ/衛藤ヒロユキ(ガンガンオンライン)
有名過ぎるので紹介するまでもないんですが…。
『魔法陣グルグル』の続編かつスピンオフ。相変わらずのヒロユキ節です。

主人公は、勇者に憧れる少年・チキ。かつての勇者パーティーの一員・キタキタおやじと知り合ってしまった彼は、なし崩しに共に旅立つことになってしまいます。
やがて、可愛いけれど風変わりな感性(キタキタ踊りが好き)の王女・ルウが旅に加わり、石にされた彼女の両親を救うために旅立った……はずなんですが、全てがキタキタ踊りによって左右される、何だかよくわからない道程が続いているのでした。

新主人公のチキとルウは、ニケやククリに比べると能力も個性も弱く、キタキタおやじに色んな面で喰われてはいるんですが、それでも普通に面白いです。
つーかキタキタおやじはどこまで進化してしまうのか……。

マンガで分かる心療内科(ゆうメンタルクリニック)
大変シュールな心療治療の学習漫画。『ヤングキング』で連載されているそうですが、原作者の経営する心療内科医院の公式サイトでも幾つかを無料で読むことができます。



同人もの

HEARTS(スタジオリルツ)
ミヒャエル・エンデの『果てしない物語』に想を得た、オリジナルのファンタジー漫画です。
冴えない苛められっ子の少年が本の世界に入り、冒険の旅に出て仲間を集めていく話。絵や話の雰囲気は20年くらい前の『少年ガンガン』系でしょうか(十分面白いのに、現代の商業誌には載りにくいタイプかも。WEBで読めるのは嬉しいことだと思いました)。ぐいぐい引き込まれて読みました。
まだ連載中ですが、更新が速めなのも魅力です。

Haevest(大魔王城)
ギリシア神話に想を得た、フルカラー漫画です。
とにかく綺麗! そしてキャラクターが魅力的。ぐいぐい読めます。ハシウスが好きだなー。
これも連載中で、更新が遅いのがちょっと残念。結末が楽しみな漫画です。



とりあえずここまで。

【2010/11/12 22:35】 | すわさき・感想
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