「はてなどう」「ナラカ」「円環伝承」共用。書き手は ちゃすかとすわさきの二人。
サザンカ(白)

山茶花[サザンカ] Camellia sasanqua
別名:姫椿[ヒメツバキ]、小椿[コツバキ]、ヒメガタシ、コガタシ

ツバキ科ツバキ属の常緑小高木。花期は晩秋から冬。
インドネシア、中国、台湾、日本等に分布。日本では、山口県・四国・九州に自生しています。
この属は本来、熱帯~亜熱帯産で、日本自生種は温帯に適応したのであり、山口県が自生の北限なのだそうです。南の植物なのに冬に花が咲くのは不思議な感じ。
栽培種が数多く、花色はピンクや白など様々。生け垣に好んで用いられます。

サザンカ(ピンク)

別名も示しているように、同属の椿[ツバキ]によく似ています。
見分けるポイントは以下。

・サザンカの方が、ツバキよりやや早い時季に花が咲き始める
・サザンカの子房(雌しべの根元の膨らんだ部分)には毛が密生している
・サザンカは散ると花弁がバラバラになるが、ツバキは繋がったままポトリと落ちる

サザンカとツバキは、日本では古くは殆ど区別されていなかったようです。
実は「山茶花[サザンカ]」という中国由来の名前そのものが、ツバキと混同された故のもの。
本当はツバキの中国名が「山茶花(山茶)」で、サザンカの正しい中国名は「茶梅」でした。取り違えられたまま定着したようです。
ともあれ、「山茶花」を「さんざか」と読んでいたのが訛って、現代の「さざんか」になったと言われています。

では、中国の名前が伝わる以前の、日本古来の名は何だったのでしょうか?
「カタシ」だったのではと言われています。
四国から九州にかけての方言でそう呼ばれており、各地方で少しずつ差異があります。「カテシ」「カタカシ」「カテイシ」など。

ところが、ここにもまた、ツバキとの混同があります。
「カタシ」はツバキを指すという地方もあるのです。
その場合、サザンカの方は「ヒメカタシ」「ヒメガタシ」「コカタシ」「コガテシ」などと呼ぶのでした。サザンカの方がツバキより葉が小さいので《ヒメ》や《コ》を付けるようです。

「カタシ」の由来は諸説ありますが、どれもサザンカの木質の硬さに帰結します。カタシとは「硬枝」のことであるとか、実の硬さから「硬し(硬い)」だとか。

硬い材はツバキのそれと同様に、農機具の柄や細工物に使われたり、南九州では炭焼きの素材とされました。
また、南九州では実から油を搾りますが、これを「ツバキ油」としています。古くからのまま、ツバキとサザンカを厳密には区別しないようです。


サザンカの花言葉
謙譲、謙虚
困難に打ち勝つ、ひたむきさ、ひたむきな愛、理想の恋
愛嬌




茶の花

茶の木[チャノキ] Camellia sinensis
別名:目覚まし草[メザマシグサ]、草人木[ソウジンボク]

ツバキ科ツバキ属の常緑低木。花期は晩秋で、サザンカやツバキより三回りも小さな花を、自信なさげに俯[うつむ]いて咲かせます。
中国南部原産と言われ、嗜好飲料「茶」の原料として、中国からインド、日本など、世界の広い地域で栽培されています。

そう。「お茶」は、実はツバキの仲間だったのでした……!
花は小ぶりのサザンカという感じで、実もツバキやサザンカに似ています。「ツバキ油」を搾ることも可能。

先に、「山茶花(山茶)」は本当はツバキの中国名なのだと書きました。
同属のうち、山に好きに生えて華やかに花の咲くモノが「山茶」ならば、花は小さいが有用薬草として人里で栽培され続けてきたのが「茶」です。

ご存知のように、初夏に若葉を摘んで加工し(炒る、蒸す、天日に干す、発酵させるなど、方法は様々)、煎じ汁を飲用します。葉を発酵させた場合は紅茶となり、半発酵茶にはウーロン茶などがあります。

茶は、古代から中国で薬草として用いられてきました。
元は菜として「食べて」いたようで、汁の具にしていたようです。今でも、ミャンマーやインドの一部では茶葉を煮てから漬けものにして食べるそうですし、日本にも茶粥など色々ありますよね。

煮て汁の具にする茶を「苦荼[クト]」と呼びましたが、これは茶だけではなく、苦みと薬効のある数種の植物(ニガナ、ノゲシ、チガヤの穂、オギの穂など)全般を指していたようです。
ともあれ、苦みのある草ということから、苦いという意味の「余」に草かんむりを付けた「荼」という漢字が出来、唐代に簡略化し「茶」として、これがチャだけを示す専用の漢字になったのでした。

古代中国では、茶葉を蒸してから搗いて団茶とし、火で炙って削って、煎じて飲みました。ネギやショウガや陳皮(干したミカンの皮を砕いたもの)を加えるとか、いや塩以外を入れるのは邪道だとか、色々な流儀があったよう。

チャノキが日本に伝わった時期は定かではありません。遣隋使・遣唐使が持ち帰ったのが最初ではないかと言われていますが、飲用の定着はしませんでした。
今の日本茶のルーツは、1191年、臨済宗の開祖・栄西が宋から持ち帰って長崎や佐賀に植えたチャノキの種子だと言われます。
茶は長く高級品でしたが、江戸時代頃に大量生産が可能になり、現代のように一般に広まったのだそうです。お百姓さんありがとう。

なお、茶がまだ高級品だった頃の日本では、あくまで薬湯として使われていたようです。戦の時、眠気を覚ます強壮剤として兵に配ったとか。
確かに、茶にはカフェインが含まれますから、覚醒作用がありますよね。
別名中に「目覚まし草」とありますが、薬効そのまんまです。

ところで、別名に「草人木」とあるのは、何のことだと思いますか?
これが載っているのは江戸時代の『本草綱目啓蒙』ですが。
「草人木」。草かんむりの下に人、更に下に木と書くと。そう。「茶」という字になりますよね。これは茶人たちが使っていた隠語なのだそうです。当時のオシャレな言い変えだったんでしょうか。


チャノキの花言葉
追憶
純愛




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 この花なんだ【ヤブツバキ】

【2011/01/17 22:36】 | すわさき・その他
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「カキ」の方に
MAERZ
つけるつもりだったのに間違えました…(-_-;)

柿の花言葉
すわ@管理人
こんばんは。
こちらこそ、今年もよろしくお願いします。

>「私を自然の中に埋めてください」
おお。神秘的なような妖しいような。
そういえば、ネットで検索した時そんな感じの長いのがあった気がします。
なんとなくヤバい気がしたので見なかったふりをして避けたとゆー。(えー)

でもどうして柿で「自然の中に埋めて」なんでしょうね。
クルミならまだ解る気もします。(リスが埋めるから…)


お仕事お疲れさまです。MAERZさんもご自愛ください。
つたない記事ですが、息抜きの一つにでもなれたら嬉しいです。

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アケビの実

山道を通っていたら、アケビが生っていました。
野生のアゲビが実ってるのを見つけたのはすっごく久しぶりです。子供の頃以来かも。
これは採らねばなるまい、と思いました、が。道具が何もありません……。
岩を少しよじ登れば手で取れそうですが、そんな元気も勇気もありません。

むーん……。

その辺の枯れた蔦の太いのを折りとって先が二股の竿にし、片手で蔓や枝を引いてアケビを多少手繰り寄せつつ採取を試みました。
……と、取れない……。何とか先が届くけど、ちっとも引っかかりません。
………(もぞもぞ)
……………(ガサガサガサ)
…………………キィーーッ!

全然取れない! ちくしょう! 高枝切りばさみか脚立か、せめて長柄の網があったらすぐ取れるのに!

疲れた私は、竿で実をバンバン叩きました。運が良ければ落ちてくるかもしれない。
しかし世の中そんなに甘くはありません。
ってか、竿が折れた。おおおおお。

もー諦めるか。
……いやいやいや。頑張ればどーにかできそうな位置なんだし、すぐにあきらめるのはどーなのか。
この場にあるもので何とかできるんじゃないか。

というわけで。
岩に這った蔦と、新しく拾ってきた太い枯れ枝を右と左に持って、蔦を引っ張り枝を絡め、アケビの実のへた部分に引っ掛けて、ぐいっとこじり取るっ!

見事取れました!
落っこちてきたのを入手。やったあ!
やはり人間、道具を活用しなくては。知恵の勝利だね!

と誇らしい気分になりながらも、私の脳裏にはある映像が浮かんでいました。
ほら、テレビなんかでたまにやっているアレ。
高いところからバナナを吊るして、棒を置いて、猿がバナナを取れるか観察する奴……。

アケビの身


ともあれ、アケビは甘くて美味しかったです。
種を持ち帰って蒔いてみましたが、育つかねぇ……。

本当はもう一つ生ってたんですが、流石にそちらは諦めました。根性続かない。


関連記事
 この花なんだ【アケビ】


↓おまけ。アケビがあったところ(車道)の近くの谷川。
谷川

谷川

【2010/10/06 23:59】 | すわさき・その他
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オオバコ

大葉子[オオバコ] Plantago asiatica L.
別名:大葉子[オンバコ/オバコ]、丸子葉[マルコバ]、蛙葉[カエルッパ/ギャーロッパ/ゲェーロッパ]、野良胡麻[ノラゴマ]、相撲取り草[スモウトリグサ]、引き合い[ヒキアイ]

オオバコ科オオバコ属の多年草。日本、朝鮮半島、中国に分布。
踏まれても踏まれても立ち上がる路傍の小さな草。

オオバコの花
春から秋にかけて10~20cmの花茎を立てて、白い花を沢山咲かせます。先に糸のような雌しべが出て、遅れて先端に塊の付いた雄しべが出ます。小さいので、緑の穂の先に白い粉を散りばめたよう。終わった花は茶色くなりますが、オレンジ色の粉を散りばめたように見え、白い穂の色違いのようで面白い。金と銀、という感じ。下から咲いていくので、上半分は白く下半分はオレンジという状態も。

花の後に小さなアーモンド型の硬い実がぎっしり付いた穂になります。熟すと、実は真ん中から横真っ二つに割れ、中から2、3mmの小さな種が、一つの実から4~8個ずつ こぼれ出ます。この種子の形が胡麻に似ているというので「ノラゴマ」の別名があります。空煎りして胡麻の代用品として使うこともできますが、格別風味がいいわけでもないらしい。後述しますが、この種子は漢方薬「車前子」としても使われます。

若葉は普通に野菜として食べられます。
ただ、時期を過ぎると硬く筋張った草になるので美味しくありません。


オオバコの名の由来はそのまんま、「大きな葉」だから。
なお、属名を示す学名「Plantago[プランターゴ]」はラテン語「planta(足跡)」に因み、一説に、大きな葉を足跡に見立ててのこと。ただし別説もあり、踏まれた足跡から増えて行く草だから、と解説されることもあります。

中国名は「車前草」で、漢方生薬としての名もそれ。葉は「車前葉」、種子は「車前子」。
この名は、踏まれても踏まれても生える、車に踏まれても道に生え続けることに因みます。中国での別名「牛遺」「當道」「馬舃」も、牛や馬を引いて通る道に生えることから。

花期に全草を採って干した「車前草」を、煎じて食間に服用。下痢止め、咳止め、止血、利尿、強壮剤とします。
秋に集めた種子を乾燥させた「車前子」は、布か紙の袋に入れて煎じ、咳止めとして服用します。トロっとして少し飲みにくいので、甘草などで甘味を付けるとよいそうな。

オオバコ種子の外皮には粘性があります。雨などに濡れるとねばつき、通りかかった人や動物にくっつく。こうして繁殖範囲を広げ、人や牛馬の通る道に多く生えて行くという仕掛け。
この粘質、生薬の世界では意外にお役立ちらしい。
ヨーロッパ~西アジア原産でインドやイランで栽培されているオオバコ属「デザート・インディアンホイート(Plantago ovata)」の種子(ブロンドサイリウム)は特に粘質が多く、果皮を粉末にしたものを大量の水と共に服用すると、三十倍に膨張してゼラチン状になり、腸内の潤滑剤・吸収抑制の役を果たします。便秘・下痢症の改善、血糖値の改善、コレステロール値の低下に効果があることが臨床確認されているそうです。


さて。別名の中に「カエルッパ」だの「ギャーロッパ」だの、「蛙葉」を意味する一群があって目を引きます。
一説に、縦筋があって丸い葉の形が蛙の背中に似ているからだそうで。

オオバコの葉

確かに、ちょっと似てるかも?

中国での別名に「蝦蟇衣」とあり、同じ由来なのかと思いきや、『本草綱目』によると「蝦蟇がその葉の下に隠れ伏すから」とのこと。
ところが、『九州の薬草』(高橋貞夫/葦書房/1986.)という本にもっと面白いことが書いてありました。

地方によってカエルッパというのは蛙が死んだのを広いこの葉で包んでおくと生き返るといういい伝えから。


これだけの記述ですが、なんだか心惹かれる言い伝えです。


子供の頃、この花の茎を絡ませて引っ張り合う草相撲に夢中でした。
別名の「スモウトリグサ」「ヒキアイ」は、この遊びに因みます。
茎が強くて遊びやすいんですよね。
花茎の中の導管がとても強くて、白い糸のように引き出すことができるんです。何故かその作業が大好きで、よくやってました。長いこと、私の中で「好きな草ランキング」上位をキープ。子供って何を好くのか分かんないですね。


オオバコ属の花言葉
足跡を残す
耐え忍ぶ愛
崇高


踏まれて殖えていく特質に因んだ言葉のようですね。



次に、大きなオオバコ。

セイヨウオオバコ

西洋大葉子[セイヨウオオバコ] Plantago major
別名:鬼大葉子[オニオオバコ]

オオバコ科オオバコ属の多年草。ヨーロッパ~北アフリカ原産で、ユーラシア大陸に広く分布。帰化植物。
草丈30~60cmに達し、オオバコよりぐぐっと大きい。一つの実の中に種子が8~16個入っています。

セイヨウオオバコ

よく似ていて海辺に生える「唐大葉子[トウオオバコ]」は、分類上セイヨウオオバコの変種です。ただ、セイヨウオオバコが(名前の通り)外来種であるのに対し、トウオオバコは(名前に反して)日本在来種。
トウオオバコの中国名は「大車前」で、漢方生薬としては車前草と同様に用います。

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基礎生物学研究所の石川直子研究員、山形大学の横山潤教授、東京大学の塚谷裕一教授らの研究グループによれば、遺伝子解析の結果、日本在来のオオバコがセイヨウオオバコと未知の種の雑種を起源とすると判明したそうです。遠い昔、ユーラシア大陸で生まれた雑種が長い時を経て日本に渡っていたということでしょうか。

オオバコの仲間は雑種だらけ
~日本古来のオオバコは、大陸産のセイヨウオオバコの雑種から生じた~
(基礎生物学研究所プレスリリース)


セイヨウオオバコの花言葉
白人の足跡


「白人の足跡」は普通のオオバコの花言葉として紹介されていることが多いですが、由来を見るにセイヨウオオバコの花言葉と限定する方が相応しいと思いました。
オオバコ属は踏まれることで人や獣の足に種子をくっつけ伝播されていく。アメリカ大陸に白人の移住者たちがやって来た時、彼らの通った後にセイヨウオオバコも広がっていった。それで、ネイティブアメリカンたちが「白人の足跡」と呼んだのだそうです。



花穂が派手なオオバコ。

ヘラオオバコ

箆大葉子[ヘラオオバコ] Plantago lanceolata
別名:英吉利大葉子[イギリスオオバコ]

オオバコ科オオバコ属の一年草。ヨーロッパ原産で、日本には幕末に帰化したと言われます。
セイヨウオオバコより更にぐぐぐっと大きい。小さいと草丈20cm程度で普通のオオバコと変わらない大きさですが、育てば60~80cmくらいの大株になります。
そうなると、普通のオオバコとは似ても似つきません。初めて見つけた時は何かの園芸品種かと思いました。まさか雑草で、しかもオオバコだとは。

ヘラオオバコの花

ヘラオオバコの花
花期は6、7月。
普通のオオバコと同じように、まず糸のような雌しべが出て、次に先端に塊の付いた雄しべが追う。下から咲いて上にあがっていく。花穂に対して雄しべが大きいので、白い飾りが茶色い棒を輪のように取り囲んでいるように見えて愛らしいです。


ヘラオオバコの葉ヘラオオバコという名の由来は、葉の形が他のオオバコより細長く、箆[へら]型をしているから。
中国名は長葉車前。



ヘラオオバコの花言葉
素直な心
惑わせないで



花穂が硬い感じのオオバコ。

ツボミオオバコ

蕾大葉子[ツボミオオバコ] Plantago virginica
別名:立ち大葉子[タチオオバコ]

オオバコ科オオバコ属の越年草。花期は5~8月。
草丈は10~30cmで、オオバコとセイヨウオオバコの中間くらいの大きさ。
北アメリカからの帰化植物。日本では大正初期(1913年)に発見されたのが最初の報告で、日本全国に分布します。

見た目の特徴は、なんと言っても硬そうな花穂。曲がりくねらずに直立します。別名の「タチオオバコ」はここからでしょうか。
オレンジ色の花冠がツンツン尖ってちょっとだけ出ている点も「硬そう」というイメージを後押しします。

ツボミオオバコ

こうした花穂の様子から、「いつまでも硬い蕾のままのように見える」ので「ツボミ」オオバコと名付けられた、とされています。
しかし実際には、花はちゃんと開きます。
ちなみに、葯(雄しべの先端)が淡紫色で、オオバコとは印象が異なっていたり。

他には以下のような特徴があります。

・無毛のオオバコに対し、茎や葉が毛深い
・茎や葉の色がオオバコに比べて明るい黄緑色
・葉がオオバコに比べて小さい。スプーン型のオオバコに対し、ヘラ型。

ツボミオオバコとオオバコの葉の比較


ツボミオオバコ固有の花言葉はなく、オオバコ属の花言葉が適用されるようです。

【2010/06/08 19:00】 | すわさき・その他
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ホルトソウ

ホルト草[ホルトソウ] Euphorbia lathyris L.
別名:ハンシレン、小巴豆[コハズ]、草ホルト[クサホルト]

トウダイグサ科トウダイグサ属の越年草。
強い草でとにかく生える。4~6月頃に緑色の不思議な形の花を咲かせます。
果実は小さなカボチャのような形で、スポンジのように柔らかい。指で簡単に房ごとに千切ることができます。

ホルトソウの花

南ヨーロッパ原産で、日本には江戸時代の天文年間(1532~1555)にポルトガルから渡来しました。
「ポルトガル」が「ホルト」に転訛。ホルト草という名は、ここに由来します。

種子からよく油が採れます。これを、かつては「ホルトの油」だと偽っていました。「ホルトの油」とはポルトガルから輸入されていたオリーブ油のことです。

江戸の頃から、ホルトソウの実で刀や置時計を拭うといいなど、工業用油として用いられていました。近年では石油の代価エネルギーになり得る植物、「石油植物(ガソリン・ツリー)」の一種として注目されています。


ホルトソウの乳汁ところでこの草、毒草です。

茎から乳汁が沢山出ますが、全草にユーフォルビンを含み、食べたり塗ったりすると胃腸炎や皮膚炎を起こす可能性があります。ただし、乳汁をいぼに塗って「いぼ落とし薬」とする用い方もあります。

種子は漢方では続随子と呼び、圧搾して油分を除いたものを一回0.5g服用して利尿薬・下剤としますが、毒を警戒してあまり使われないそうです。




ホルトソウの花言葉
見せかけ

見た目によらず利用価値が高いことに因むそうです。

【2010/06/07 17:35】 | すわさき・その他
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スイバ

酸葉/酸菜/酸模[スイバ] Rumex acetosa L.
別名:スカンポ、スイカノポンポン、キビスイコ、スッカシ、スイコンベイ、スイカショ、スッパショー、スカナ、酸い酸い[スイスイ]、酸い酸い草[スイスイグサ]、スイコ、ダヤス、赤羊蹄[アカギシギシ]

タデ科ギシギシ属の多年草。北半球の温帯に広く分布。

春スイバのロゼット葉

お馴染み、路傍でよく見る草。
普段は地面に放射状に広がるロゼット葉で、太ったホウレンソウくらい。冬には赤紫に紅葉し、春に緑になります。鮮やかなオレンジ色の太い根を地中深くに伸ばすので、厄介な雑草でもあります。

スイバの根

4月頃から30cm~1mの高い薹[とう]を立て、3mmほどの花の集まった穂を付けます。雌雄異株。草は大きいのに花穂は地味ですが、よく見ると雌花は鮮やかな紅色、雄花は緑色ながら可愛い形をしていて、愛らしく思えてきます。

スイバの花穂

スイバの花


風媒花で、花粉をモワモワ飛ばします。虫はあまり寄ってきません。

スイバの実花が終わると左のような実になります。ピラピラと翼片状に見えるのは変化した花被(花びら)で、三枚を貼り合わせた袋になっており、中には小さい種子が一つ。

葉は蓚酸[しゅうさん]を含み、噛むと酸っぱい。それで「酸い葉[スイバ]」という名になりました。
別名の一つ「スカンポ」も同じ由来。ちなみに、タデ科イタドリ属のイタドリも酸味があり、やはりスカンポという別名を持っています。見かけは全く異なります。
イタドリは茎が中空になっていて、折り取ると「ポカン」と音を立てる、それで味は酸っぱいから「スカンポ」だと言うのですが、スイバも同じ理由でしょうか。

中国名は「酸模」。英名は「Common sorrel[コモン・ソレル]」。どちらも酸味があることに因んだ名です。


若葉は食用にします。湯がいて晒してあく抜き。ホウレンソウより多く蓚酸が含まれますから、アクを抜かず食べ過ぎると肝機能障害を起こす可能性があります。
また、昨今は葉や茎からジャムを作る人も多いようです。同じタデ科で姿の似ているルバーブRheum rhaponticum L.)のジャムは有名ですが、その応用の模様。酸味があって美味しいとか。
スイバの栽培種「フレンチ・ソレル」はヨーロッパでは野菜です。

その他、ヨーロッパでは根が染料に使われてきました。

中国では根を薬用とし「酸模根」と称します。刻んで干して煎じて下剤・利尿剤に。
抗菌作用があるので煎じ液を外傷に塗布。生の根をすり下ろして患部に塗布し、タムシや疥癬に。ただ、皮膚の弱い人は負けてかぶれることもあるので注意です。

民間では、虫刺されや腫れもの、湿疹に生葉の搾り汁を塗付します。先に酢を塗っておくのがポイントらしい。もしくは根の粉末を焼酎か酢で練って塗布します。
花穂を干したものにお湯を注ぎ、ハーブティーとして飲みます。健胃、整腸、抗癌作用があるとされています。


スイバの花言葉
愛情、親愛の情、博愛
私を食べてみて



次に、似た草その1。
ヒメスイバ

姫酸葉[ヒメスイバ] Rumex acetosella

タデ科ギシギシ属の多年草。小型のスイバ。薹を立てても20~50cm程度にしかなりません。
花期は5~8月。
ヨーロッパ原産の帰化植物で、日本には明治初期の渡来かと言われています。
やはり蓚酸を含み、噛むと酸っぱい。

種でも殖えますが、横這いする細い根からも殖えていきます。
道端に一面茂って赤緑の草波を作っている様は、よくよく見ればなかなか見事です。

↓実になっている状態
ヒメスイバ

「ヒメ」と名に付いているように、スイバに比べて小型です。
草丈だけを見るならスイバの小さめのものと同じくらいのこともありますが、葉や花穂そのものが小型。
様子が全く異なるので、実際に見比べれば見分けは容易です。

以下の写真は、ヒメスイバとスイバの根生葉の比較です。
スイバの葉は、ヒメスイバと草丈の変わらないような小さめの株のものを選びました。それでもこれだけ大きさが違います。
ヒメスイバの葉
ヒメスイバの根生葉は特徴的な鉾型をしています。


スイバと同じく雌雄異株。
花はほんの2mmほどですが、雄花穂はつぼみの黄色が目立ってスイバより鮮やかに見えます。
ヒメスイバの花


名の由来はそのまま、小さいスイバだから。
英名は「Sheep Sorrel[シープ・ソレル]」。


ヒメスイバの花言葉
甘酸っぱい恋

意外にもロマンチック系の花言葉。
噛むと酸っぱい草で名前が「姫」だからでしょうか?




似た草その2。

ギシギシ

羊蹄[ギシギシ] Rumex japonicus
別名:牛草[ウシグサ]、馬酸葉[ウマスイバ]、犬酸葉[イヌスイバ]、ヘビスイコ、地獄の根[ジゴクノネ]、野大黄[ノダイオウ]、牛葉大黄[ウシノハダイオウ]、羊蹄大黄[ギシギシダイオウ]

タデ科ギシギシ属の多年草。日本や朝鮮半島、中国に分布。

スイバが大体 実になった5、6月頃、1mほどの薹[とう]を立てて花穂を付けます。雌雄両性花。
花穂は過密なほどでボッテリして見え、その様子の差がスイバとの識別点にもなります。
緑色の花は、まず赤みを帯びることがありません。

ギシギシの花

ザラザラ沢山下がった緑色の花の中から黄色い雄しべが覗いています。
上の写真では殆ど見えていませんが、雌しべはスイバの雌花とよく似ています。

ギシギシの実実は、スイバと同じように三枚の花被(花びら)が貼り合わされて袋になり、種子一つを包み込んだもの。

花被はスイバのそれより尖ったハート形で、縁にはギザギザした鋸歯があります。これが特徴で、識別のポイントになります。

上部中央(基部)には粒体と呼ばれるゴマ形のコブがあります。
三面の粒体が全て同じ大きさに揃うのもギシギシの特徴で、近似種との識別点とされます。

実は緑色で、赤味を帯びることは基本的にありません。時間が経つと穂全体が濃茶色になります。


根はやはりオレンジ色で、太く、地中に深く伸びて抜き辛い。雑草としては憎たらしいやつです。

やはり蓚酸を含み、葉をかじると酸味があります。
スイバと同じように湯がいてアク抜きし、食用にします。独特のぬめりがあって美味しいそうです。

晩秋から冬にかけて掘り出した根を、スイバの根と同じ効能の薬として用います。漢方名は「羊蹄根」。
葉の方もスイバと同じように使います。薬草としてはスイバと殆ど区別されないみたいです。


「羊蹄」は中国名で、日本名「ギシギシ」の由来は定かではありません。
江戸時代の『本草綱目啓蒙』など見ると、「羊蹄」の項目、各地での地方名が書かれてある中に、京都では「ギシギシ」と呼ぶとあります。ここから、京都での地方名が全国に広まったとの説もありますが、それはそれで、どうして「ギシギシ」なのか、という話ですよね。

一説に「花穂をしごいて花を取ろうとするとギシギシ鳴るから」「茎と茎をすり合わせるとギシギシ鳴るから」、或いは「実が生った時に穂を振るとギシギシ鳴るから」と言います。


ギシギシの花言葉
忍耐
隠れ話、抜け目のなさ
朗らか

バラバラな感じ…。
どういうイメージで付けられた言葉なんだろう?



次に、ギシギシによく似た近縁種。

ナガバギシギシ

長葉羊蹄[ナガバギシギシ] Rumex crispus

タデ科ギシギシ属の多年草。
ヨーロッパ~西アジア原産の帰化植物で、明治時代に渡来したと言われます。

ギシギシよりも葉の縁が著しく波打っている、根生葉の葉柄が長い等と言いますが、自分が見た限りでは殆ど区別がつきませんでした……。

ナガバギシギシの花

花穂や実が赤味を帯びることがあるのも識別点とは言えますが、必ずしもそうなるわけではないので当てには出来ません。困ったものです。

ナガバギシギシの実最も簡便にして確実な識別法は実を見ること。
花被がスプーンのように丸みを帯び、縁の鋸歯(ギザギザ)は殆どありません。
また、実の三面に一つずつある粒体(コブ)の大きさが不揃いがちです。


ただ、ギシギシとナガバギシギシの交雑もあるそうで、どっちつかずのものもあるそうな。
ややこしいですね。


ナガバギシギシの花言葉はありません。



更にギシギシの近縁種。
エゾノギシギシ

蝦夷の羊蹄[エゾノギシギシ] Rumex obtusifolius
別名:広葉羊蹄[ヒロハギシギシ]

タデ科ギシギシ属の多年草。
草丈50cm~1m。花期は5~7月。
ヨーロッパ原産の帰化植物。最初に帰化が確認されたのが北海道だったため「蝦夷の」と名付けられていますが、日本全国に分布しています。

↓花。雌雄同株。毛玉のようなものが雌しべで、黄色またはオレンジのピラピラぶら下がったものが雄しべ。
エゾノギシギシの花

花~実は時季が過ぎるにつれ赤みが強くなる傾向があります。


エゾノギシギシの特徴は以下の通り。

・茎や、葉の中脈が赤くなる傾向がある
エゾノギシギシの葉
薹[とう]の立っていない根生葉の時点でも赤いことがあるので、見分けが容易です。
また、花期には葉が上の写真のような、やや黄土色がかった黄緑色になることも。

・実の縁の鋸歯が大きく、トゲトゲと突出している
エゾノギシギシの実
この実の形は特徴的です。
また、粒体三つのうち一つが特に大きくなります。


同じような形の実をつける近縁種に「小羊蹄[コギシギシ] Rumex dentatus L.」がありますが、こちらは葉脈や実が赤くなりません。また、花期がエゾノギシギシよりも早いです。


エゾノギシギシの花言葉はありません。



最後におまけ。
以下の写真は、当初「ギシギシ」としてアップしていたものですが、どうも違うんじゃないかと思えてきました。
葉が大きくてツヤツヤし、ちりめん状にシワシワしています。
確信はないのですが、真大黄/土大黄[マダイオウ](Rumex madaio)ではないかと。

マダイオウ?

マダイオウはタデ科ギシギシ属の多年草。日本固有種です。
大型で、1.5mほどの高さに育つことも。花期は晩春から夏。
ギシギシやスイバが街の道端や河原に繁茂するのに対し、比較的山の中の水気の多い場所に生えます。地域によっては絶滅危惧種らしい。
関東以東には、よく似た野大黄[ノダイオウ]があります。(ギシギシの別名とは別)

名前は中国原産の「大黄[ダイオウ]」に似ているかららしいですが、あちらはタデ科ダイオウ属で属が違う。
けれど、ギシギシの別名にも「野大黄[ノダイオウ]、牛葉大黄[ウシノハダイオウ]、羊蹄大黄[ギシギシダイオウ]」等とあるように、よく似た草として認識されてきたようですね。
とりあえず、長い葉の柄の方が太くなるのがギシギシ系、中央辺りが太いのがマダイオウ系らしいです。

花はアレチギシギシのように隙間を空けて輪生し、基本、赤味がかることはありません。
実はナガバギシギシに似て縁がなめらか。最大の違いは粒体(基部のコブ)が全くない点です。

根は、スイバやギシギシ、そしてダイオウ属のそれと同じく下剤として用いられます。

↓出始めの花穂。
マダイオウ?


マダイオウの花言葉はありません。

【2010/06/06 22:03】 | すわさき・その他
【タグ】 この花なんだ  
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